Spangle call Lilli line(SCLL)の徹底解説まとめ
Spangle call Lilli Lineとは、1999年に結成されたバンド。メンバー全員が他に本業を持ち、音楽を趣味と言い切って活動している。
手数の多さや速さなどのテクニカルさや、誰にでもささるトレンドさには手を出さず、音の配置や空間作りを重視して、可能な限り音数を減らす制作スタイル。
枠にはまらないスタイルで作り上げられた彼らの音楽性は、既存のジャンルでは大別できない。
自分たちの好きなことの表現を第一としており、彼らの作品は国内外問わず多くのアーティストから支持されている。
【『VIEW』の収録曲】
1. eye
2. rio the other
3. rara
4. square bird
5. shower beige
6. cliche
7. garden loy
8. apres guerre
9. crawler
10. a priori
2010年4月21日にリリースされた7thアルバム『VIEW』。
今作は2ndアルバム『nanae』を彷彿とさせるようなバンドサウンドが特徴的なアルバムに仕上がっている。
代表曲である「dreamer」や優雅でアップテンポな「eye」といった楽曲からも、今作が『nanae』のポップ要素を引き継いだアルバムであることがわかる。
どの曲もキラーチューンと呼ぶにふさわしいほどのキャッチーさで、Spangle call Lilli lineのアルバムのなかでも評価の高い作品だ。
『forest at the head of a river』
【『forest at the head of a river』の収録曲】
1. zola
2. sea of lights
3. em
4. cobalt
5. out of sight
6. univocal
2010年6月23日にリリースされた8thアルバム『forest at the head of a river』。
前作からわずか2か月でリリースに至った今作は、toeの美濃隆章との共同プロデュース作品だ。
toeとは、2000年に結成された日本のポストロックインストバンド。ポストロックの楽曲である点やメンバー全員に本業がある点はSpangle call Lilli lineとの結びつきが強く、ギターの藤枝はシンパシーを感じているとのこと。
『forest at the head of a river』の特徴として、全曲ともに次々と風景が移り変わり少しずつ変化していく点が挙げられる。
落ち着きのある静かさのなかに煌びやかなドラマ性を含めた今作は、Spangle call Lilli lineの新たな一面が見られる作品として仕上がっている。
『New Season』
【『New Season』の収録曲】
1. seventeen
2. for rio
3. summer's end
4. utashiro ~instead of song~
5. cast a spell on her (Seiichi Nagai remix)
6. dreamer (YAKENOHARA DUB)
7. roam in octave (shinjuku june 2011 version)
2011年9月7日にリリースされたミニアルバム『New Season』。
2010年、LIQUIDROOMのライブで活動休止を宣言してから約1年後のアルバム。
1曲目~3曲目の「seventeen」「for rio」「summer's end」が新譜、5曲目~7曲目は様々なアーティストによるリミックスが収録されたアルバム。
新譜に関しては、どれもロックポップテイストな楽曲であり、そのキャッチーさは7thアルバム『VIEW』を想起させられる。
『Piano Lesson』
【『Piano Lesson』の収録曲】
1. an
2. "telephone"
3. cast a spell on her
4. inc.
5. limi side schedule
6. nano
7. soto
8. sugar
2011年10月5日にリリースされたセルフカバーアルバム『Piano Lesson』。
題名の通り、今までリリースされた楽曲をピアノアレンジでセルフカバーしたのが今作の特徴だ。
ファンから人気の高い楽曲を中心に選曲されており、歌とピアノとミニマムサウンドのみでリメイクされている。
Spangle call Lilli lineの織り成す美しいメロディーが際立つ作品として仕上がっている。
『SINCE2』
【『SINCE2』の収録曲】
Disc 1
1. dreamer
2. felicity
3. cast a spell on her
4. quiet warp
5. eye
6. seventeen
7. rio the other
8. daydreamer
9. unknown
10. out of sight
11. screen
12. sugar (Piano Arrange)
Disc 2
1. nano - VW Version feat.Hitomi Takenaka (salon music)
2. nano - Yuri Miyauchi Remix
3. nano - NS Version feat.Yumi Uchimura (la la larks)
4. nano - Single Version
5. nano - PP Version feat.aoki laska
6. nano - Piano Arrange
7. nano - TK kaleidoscope Remix
2013年6月12日にリリースされた2枚目のベストアルバム『SINCE2』。
第2期のSpangle call Lilli lineの活動が集約された楽曲が収録された作品だ。
今作は2枚組のアルバムである。
活動の歴史でもある楽曲が収録されているDisc1はもちろんだが、代表曲「nano」が様々なアーティストにより再構築されているDisc2も注目すべき。
凛として時雨のTKによる「nano - TK kaleidoscope Remix」や『Piano Lesson』のアレンジのような「nano - Piano Arrange」など、様々な「nano」が収録されている。
『ghost is dead』
【『ghost is dead』の収録曲】
1. azure
2. echoes of S
3. ghost in a closet
4. escort & landing
5. feel uneasy
6. dawn draw near
7. iris
8. evoke
9. anthology of time
10. constellation
11. sogna
2015年11月11日にリリースされた9thアルバム『ghost is dead』。活動休止の宣言から5年が経ち、活動再開の宣言後に発売されたフルアルバムだ。
活動休止中の5年間に蓄えた新たな知識や技術を、今までのSpangle call Lilli lineの音楽性に融合させたのが、今作の特徴。
メンバーによると、アレンジの段階から出来るだけミニマルに削ぎ落とし、自分たちも長く愛聴できるような良いアルバムを目指して制作に取り掛かったとのこと。
とくに、3曲目の「ghost in a closet」は、タイトでミニマムな演奏ながらも豊かに世界観が広がっていく感覚を覚え、メンバーの目的に合った楽曲に仕上がっている。
代表曲であるミツメの川辺素を迎えた「feel uneasy」も収録されており、『ghost is dead』は自分たちの音楽を追及している彼らの姿勢が強く表れている作品だと言えるだろう。
『Dreams Never End』
【『Dream Never End』の収録曲】
1. red
2. lay low
3. so as not to
4. still three
5. touei
6. sai
7. toss out it
8. give each other space
9. mio
10. tesla
11. therefore(bonus track)
2019年1月9日にリリースされた10thアルバム『Dreams Never End』。結成20周年を迎えた彼らの集大成ともいえるインディーロックなアルバムだ。
全曲ともに削ぎ落とされた音数による心地よさがあるが、『TRACE』を想起させるキャッチーなロックポップ「red」、『PURPLE』のようなクールさとスティールパンによるドリーミーさがかけ合わさった「so as not to」など、ジャンルの異なる楽曲により今作は構成されている。
さらに、Spangle call Lilli lineと同時期に活動していたバンド「スーパーカー」のギターボーカルである中村弘二(通称ナカコー)との共作「therefore」がボーナストラックとして収録。
スーパーカーとは、1997年から2005年にかけて活動していた日本のロックバンド。インディーロックやエレクトロの楽曲が多く、ナンバーガールやくるりといったバンドとともに「'97の世代」と呼ばれ、新世代のオルタナロックバンドとして注目された。
ボーカル2人によるけだるさと切なさのある歌声に疾走感あふれるバンドサウンドの「therefore」は、今作の必聴楽曲と言える。
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目次 - Contents
- Spangle call Lilli lineの概要
- Spangle call Lilli lineの活動経歴
- 第1期
- 第2期
- Spangle call Lilli lineのメンバー
- メンバー
- 大坪加奈
- 藤枝憲
- 笹原清明
- 元メンバー
- 椛沢信之
- Spangle call Lilli lineの代表曲・ミュージックビデオ(MV/PV)
- 「dreamer」
- 「nano - TK kaleidoscope Remix」
- 「feel uneasy」
- Spangle call Lilli lineのディスコグラフィー
- アルバム
- 『Spangle call Lilli line』
- 『Nanae』
- 『or』
- 『68 SCLL』
- 『TRACE』
- 『FOR INSTALLATION』
- 『SINCE』
- 『ISOLATION』
- 『PURPLE』
- 『VIEW』
- 『forest at the head of a river』
- 『New Season』
- 『Piano Lesson』
- 『SINCE2』
- 『ghost is dead』
- 『Dreams Never End』
- 『SCLL』
- EP
- 『WS』
- シングル
- 『nano』
- 『dreamer』
- 『tesla』
- ライブDVD
- 『SCLL LIVE』
- 『SCLL LIVE2』
- Spangle call Lilli lineの名言・発言
- 藤枝「3年に1枚アルバムを出すくらいのサイクルがちょうどいい」
- 「迷いがなければ絶対それをやるべきだし、迷いがあれば変えればいいと思う」
- 笹原・大坪「演奏力が課題」
- Spangle call Lilli lineの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- メンバーにとって「音楽はガス抜き」である
- Spangle call Lilli lineの美学は音や情報を削ぎ落とすこと
- 詞は先にできることはなく曲ありきで作られる