マイ・ブロークン・マリコ(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『マイ・ブロークン・マリコ』とは平庫ワカの漫画。webコミック誌『COMIC BRIDGE online』にて2019年7月16日から全4話の連載がスタートした。Twitterでは毎話トレンド入りし、単行本全1巻は即重版が決定する。主人公のシイノは26歳の会社員。ある日ラーメン屋でラーメンを啜っていた彼女は、店のテレビで親友マリコの訃報を知る。心を病んでマンションから飛び下り自殺したマリコへの友情から、シイノは衝動的に彼女の遺灰を奪い、生前のマリコが旅したがっていた岬をめざして逃避行に出る。
マリコの父親
マリコの父親。マリコがマンションを借りて家を出たあとは別居していた。
酒乱で横暴などうしようもない男で、マリコが小学生の頃から妻子に暴力をふるい、妻に愛想を尽かされ出て行かれる。中学生のマリコを奴隷扱いして暴言を浴びせ、高校生のマリコを力ずくで犯した上、彼女に誘惑されたと主張した。
4年前にタムラキョウコと再婚してからは、マリコが中学生の頃に比べ多少はマシな生活をしていたらしい。
マリコの遺影を飾った仏壇の前で肩を落とし、マリコの遺灰を奪ったシイノに掴みかかるなど、娘への仕打ちは最低だが父親としての情はあったらしい。
タムラキョウコ
4年前にマリコの父親と再婚し、一緒にアパートの部屋に住んでいる女性。マリコの義母にあたる。
マリコの父親と一緒になったのが信じられない程お人好しで良識ある人柄で、セールスを装ったシイノの下手な芝居を鵜呑みにし、彼女をあっさり部屋に通す。シイノに掴みかかったマリコの父親を体を張って止め、彼の過ちがマリコを死に追いやったと糾弾した。シイノの自宅にシイノが忘れていった靴とマリコの手紙を届ける。
『マイ・ブロークン・マリコ』の用語
ドクターマーチン
シイノが初めてのバイト代で購入し履き倒したボロボロの靴。強烈な匂いは消臭スプレーでごまかした。ドクターマーチンは実在のブランドで、音楽やカルチャーと繋がりが深く、エッジがきいたロックなデザインが人気を集めている。
まりがおか岬
生前マリコがポスターで地名を知り、行きたがっていた岬。東京から10時間で行ける地方の港町にある。自殺の名所でもあるらしいが、実際に飛び下りたマキオの話だと死亡率は高くないようだ。ちなみに架空の岬であり、現実の日本には存在しない。
ナリタ商店
マキオが働いているらしい店。実家なのかただの職場なのかは不明。本作にはアイスボックスに書かれた店名のみ登場する。
港酒場おもひで
目的地に着いたシイノがマキオに金をもらったその足で向かった居酒屋。奥のテーブル席では常連らしい地元の男たちが騒いでいた。シイノはここで何杯もビールジョッキをお代わりした。
『マイ・ブロークン・マリコ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
「あんたはどうだったか知らないけどね あたしには正直あんたしかいなかった」
物言わぬマリコの遺灰を抱き、夜道を歩くシイノは「あんたはどうだったか知らないけどね あたしには正直あんたしかいなかった」と独白する。
マリコのLINEにメッセージを送ったシイノは、普通に送信できるのにマリコからのリアクションは永遠に戻ってこないと悟り、親友の死の事実を噛み締める。中学時代に両親が離婚し、ガサツな性格のため友人もそう多くないシイノにとって、マリコだけが何でも話せるかけがえのない親友だった。マリコの突然の自殺がもたらした喪失感にうちのめされる、シイノの辛さが伝わるセリフ。
深夜バスで眠りに落ちたシイノが抱いた遺灰が、中学生時代のマリコへと代わるシーン
深夜バスに揺られるシイノが膝上に抱いた遺灰が、シイノが初めて会った中学生時代のマリコに代わるシーン。夢なのか幻覚なのか定かではないが、マリコを救えなかった事を悔やむシイノと、そんなシイノの胸で安らかな寝顔を浮かべるマリコの対比に感動する。救えなかった現実と救いたかった願望の狭間で、2人の心が通じ合った名場面。
「同じこと言ったっけな あたしもこのコに」
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目次 - Contents
- 『マイ・ブロークン・マリコ』の概要
- 『マイ・ブロークン・マリコ』のあらすじ・ストーリー
- エスケープ
- レッツ・ゴー・ハワイ
- リメンバー・ミー
- フリーフォール
- 『マイ・ブロークン・マリコ』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- シイノ トモヨ
- イカガワ マリコ
- サブキャラクター
- マキオ
- マリコの父親
- タムラキョウコ
- 『マイ・ブロークン・マリコ』の用語
- ドクターマーチン
- まりがおか岬
- ナリタ商店
- 港酒場おもひで
- 『マイ・ブロークン・マリコ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 「あんたはどうだったか知らないけどね あたしには正直あんたしかいなかった」
- 深夜バスで眠りに落ちたシイノが抱いた遺灰が、中学生時代のマリコへと代わるシーン
- 「同じこと言ったっけな あたしもこのコに」
- 「そーだよ わたしぶっ壊れてるの」
- マキオ「……大丈夫です?」シイノ「大丈夫に見える…?あたし…」マキオ「大丈夫に見えますよ」
- 『マイ・ブロークン・マリコ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『カドコミミ2020×ダ・ヴィンチ』7月号に特別描きおろし漫画が収録
- 本作は翻訳版・電子書籍をあわせて10万部を達成
- 執筆前のイメージは「遺骨と旅する女」
- キャッチコピー「女同士の魂の結びつきを描く鮮烈なロマンシスストーリー」の「ロマンシス」とは愛情や友情の枠組みを超えた女同士の絆のこと