寄宿学校のジュリエット(アニメ・漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『寄宿学校のジュリエット』とは、金田陽介による漫画作品。2015年8月号~2017年7月号まで『別冊少年マガジン』で連載し、その後『週刊少年マガジン』に移籍。2018年にライデンフィルム製作でアニメ化。本作はウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』を翻案し、対立する東和国の少年「犬塚 露壬雄」とウェスト公国の少女「ジュリエット・ペルシア」の恋模様を描いた作品。ある日、露壬雄がペルシアに告白したことで、二人は敵同士でありながら秘密の恋仲になる。

『寄宿学校のジュリエット』の概要

『寄宿学校のジュリエット』とは、金田陽介の漫画作品。
2015年から2017年まで『別冊少年マガジン』で連載し、2017年43号から『週刊少年マガジン』へ移動。
2018年にライデンフィルム製作でアニメ化。

2017年「第41回講談社漫画賞」少年部門にノミネート。
同年「第3回 次にくるマンガ大賞」コミックス部門で14位を獲得。

本作は「ウィリアム・シェイクスピア」の戯曲『ロミオとジュリエット』を翻案した作品。
そのため、主人公「犬塚 露壬雄(いぬづか ろみお)」とヒロイン「ジュリエット・ペルシア」にはロミオとジュリエットの名が入っている。
二人は対立する東和国とウェスト公国の国民で、両国の生徒が通う「ダリア学園」の生徒である。
敵対する国の人間との恋愛は御法度とされているが、露壬雄はペルシアに片想いをしてしまう。
露壬雄はペルシアに積年の想いを告白し、露壬雄の告白に心をうたれたペルシアは告白を受け入れ、二人は秘密裏に交際をしていく。
結ばれてはいけない露壬雄とペルシアは、人目を忍んで逢引し関係を深め、時にはライバルとして激しくぶつかり合っていく。
美少女が沢山登場するラブコメであるが、個性的で憎めない男性キャラクターも数多く登場し、激しいギャグ要素も満載。
東和の生徒が属する「黒犬の寮」の生徒は犬の名前が入り、ウェスト公国の生徒が属する「白猫の寮」の生徒には猫の名前が入っている。

同級生のリーダーであるペルシアは凛々しく男に負けない強さを持っているが、鈍感な露壬雄に対して幾度もいじらしい態度を見せる。
フリーライターの「立花もも」からは「反則なまでにいじらしく、読む者はみな陥落させられてしまう」と評された。

『寄宿学校のジュリエット』のあらすじ・ストーリー

黒犬と白猫の恋人

東和国(とうわこく)とウェスト公国は、表向きは友好条約を結んでいるが、実際は対立関係にあった。この中間地点にあるダリア学園に通う両国の生徒は、東和国が黒い制服で「黒犬の寮(ブラックドギーハウス)」に、ウェスト公国は白い制服で「白猫の寮(ホワイトキャッツハウス)」に住んでいた。
黒犬と白猫はいつも対立し、争ってばかりいた。

黒犬の寮の高等部1年生リーダーの犬塚露壬雄(いぬづかろみお)は、白猫の寮の高等部1年生リーダーのジュリエット・ペルシアに片思いをしていた。
敵対する関係上恋愛は御法度なのだが、露壬雄は気持ちを隠すことができずペルシアに告白することを決意していた。

そんな中、黒犬の生徒の襲撃にあったペルシアを露壬雄が助けた。
その際使われた催涙スプレーで視界が悪かったペルシアは、露壬雄に襲われたのか、助けられたのか判断ができなかった。
ペルシアは自分を襲ったのか助けたのかを聞くため、露壬雄を呼び出した。
「同情で助けたなら、それは襲うのと同じだ」と言うペルシアと、手加減してしまっていた露壬雄は本気で戦うことになった。
露壬雄は、戦いの最中にペルシアに告白した。

驚いたペルシアは、初めは敵同士だからと拒絶したが、露壬雄の「こんな世界変えてやる」という言葉に動かされ、彼と付き合うことにした。ペルシアは女性だから爵位を継げないという現状に不満を持ち、この世界を変えたいと思っていたのだった。

長年の想いが叶いペルシアと恋人になった露壬雄は、ペルシアともっと仲良くしたかった。付き合い始めた記念に、ウェスト公国の国民が皆持っているロザリオをプレゼントしたかったが、白猫と戦っている間にロザリオを壊してしまった。
落ち込んだ露壬雄は、ロザリオを湖に捨てようとした。そこにペルシアが現れ、壊れたロザリオはペルシアが持ち、ペルシアの大事なロザリオを露壬雄が持つことになった。交換したロザリオは2人が恋人である証となった。

女王シャル

露壬雄は3か月に1度の外出日にペルシアを男装させ、黒犬の後輩ジュリ男(じゅりお)という設定にしてデートを決行した。
綿密な計画を立てて遊んでいたが、しばらくするとペルシアがどこかへ1人で行ってしまい、デートは失敗だと落ち込んでしまった。実は、ペルシアはウィッグが暑かったためトイレで外していただけで、デートを失敗だとは思っていなかった。

この頃、学校を休んでいたウェスト公国の王女で、ペルシアの同級生であるシャルトリュー・ウェスティアが登校してきた。彼女は奔放で我儘な性格から暴姫(タイラント・プリンセス)と呼ばれていた。
シャルはペルシアと露壬雄のデートを目撃しており、その証拠写真で露壬雄に「自分の犬になれ」と脅迫してきた。
ペルシアに迷惑がかかると思った露壬雄は、シャルの命令を聞くことにした。
シャルはペルシアと幼馴染で、大量の写真を所有するほどペルシアが大好きだった。そのため、露壬雄にペルシアを取られる気がしていた。それに、露壬雄といるとペルシアに危険が付きまとうため、交際を止めさせようと嫌がらせをしていた。
しかし、幸せそうに「露壬雄と会う約束をしている」と話すペルシアを見て、2人を見守ることにしたのだった。

蓮季の想い

最近様子がおかしい露壬雄を狛井蓮季(こまいはすき)は心配していた。蓮季は露壬雄を特別な存在として大切に想っていた。そんな蓮季の気持ちに露壬雄は全く気付いていなかった。
ある日蓮季が「露壬雄の役に立ちたい」と話しているのを聞いて、「どうしてそこまでしてくれるのか」と露壬雄は尋ねた。その問いに答えるように、蓮季は露壬雄に告白をした。
純粋に親友だと思っていた露壬雄は、ペルシアと付き合っていることを蓮季に打ち明けた。
動揺した蓮季は、露壬雄を糾弾し粛清すると刀を向けてきた。

蓮季の豹変に驚く露壬雄は、寮から脱出し近くの森に逃げ込んだ。それを偶然目撃したペルシアは露壬雄の後を追った。
ペルシアと一緒にいる露壬雄を見た蓮季は、2人まとめて倒そうと襲撃してきた。
そこにペルシアと露壬雄を監視していたシャルが助けに入り、ペルシアを危険な目に合わせた露壬雄を許さなかった。

その場から逃げようとした露壬雄だったがペルシアに説得され、「ずっと友達でいたい」と蓮季に本音を打ち明けた。
その時、はずみで崖から落ちてしまったペルシアを助けるため、泳げないのに露壬雄は川に飛び込んだ。
ペルシアをシャルが助け、露壬雄を蓮季が助けた。自分の危険を顧みずペルシアを助けた露壬雄を見て、本気なんだと悟った蓮季は2人のことを認めることにした。
そして、露壬雄とペルシアの交際は4人の秘密となった。

白猫のアビ

白猫は女性に人気の高いアビ・シニア率いるアビ派と、ペルシアをリーダーとするペルシア派に分かれていた。アビはペルシアに対抗心を持っていた。

体育祭が近づき、ペルシアと露壬雄はMVPを取るため練習に励んでいた。
体育祭当日、黒犬と白猫が正々堂々と戦う中、女子の棒倒しで白猫のアビ派に属するソマリ・ロングヘアードが、故意にペルシアの足を踏みつけ負傷させた。
その怪我が原因でリレーに敗北したペルシアを、アビがウェスト公国の観客を扇動して責め立てた。
アビは体育祭を利用してペルシアを失墜させ、派閥争いに勝利しようとしていたのだった。

次の騎馬戦でアビが睡眠薬を黒犬側に使ったため、露壬雄の騎馬以外は全員が眠ってしまった。
白猫の騎馬に囲まれた露壬雄だったが、彼の騎馬は強くアビと一騎打ちになった。
アビは「階級社会を生きるために狡猾になる道を選んだ」と同情を誘う話をしたが、ペルシアを傷つけられて怒っていた露壬雄は、アビを片手で観客席まで投げ飛ばしてしまった。

露壬雄は「白猫に完全勝利する」と言って、ペルシアを騎馬戦に参戦させ真剣勝負に挑んだ。その勝負を見てペルシアを批判していたウェスト公国の観客は、ペルシアを応援し始めたのだった。
勝負の結果は、露壬雄が誤ってペルシアの胸を掴んで鼻血を出し負けるというあっけないものだった。そして、体育祭のMVPはペルシアとなった。

後夜祭でペルシアは露壬雄にダンスを申し込み、今回の件に感謝した。
アビは今回の件で人望を失い失墜した。

監督生

露壬雄はペルシアと、豊作祈願のお祭りで最後の花火を一緒に見る約束をした。
一方、生徒を罰する権限を持つ監督生(プリフェクト)の王胡蝶(わんこちょう)と王手李亞(わんてりあ)姉妹は、以前から問題児である露壬雄の部屋でロザリオを発見していた。王姉妹は、露壬雄が白猫のシャルにこき使われ、体育祭ではペルシアを責める観客に怒っていたため、その行動を問題視していた。
明らかに何かを隠している露壬雄を探し、寮生を監督する名目でお祭りに参加することにした。

お祭りでは、花火を見るためペルシアと逃げ回っていた露壬雄だったが、王姉妹が監督生の立場から遊べない様子を見て、2人にお祭りを堪能させてあげるのだった。
露壬雄がそんなことをしていたので、ペルシアとは花火を見ることはできなかったが、露壬雄のやさしい一面が見れてペルシアは満足していた。

王姉妹は露壬雄のことを気に入り、次期監督生選抜に立候補することを勧めた。しかしこれには大きな障害があった。それは現在の黒犬の監督生代表が、露壬雄の厳格な兄の犬塚藍瑠(いぬづかあいる)であるということだった。

ある日露壬雄はペルシアから呼び出され「誕生日を一緒に祝ってほしい」と言われた。
喜んだ露壬雄は、ペルシアが欲しいというペアのアクセサリーを用意することに決めた。

部屋に戻ると蓮季と王姉妹、そして兄の藍瑠がロザリオを持って待っていた。
藍瑠は最近白猫との不審な行動が目立つ露壬雄に、白猫の女と通じているのであれば犬塚家から追放すると警告してきた。
一方的に責め立てられる露壬雄を見かねた王姉妹が仲介に入り、藍瑠が1週間露壬雄を監視し疑いが晴れたら解放することになった。しかしこのままでは1週間後の誕生日に、ペルシアと会えないと思う露壬雄だった。

藍瑠から日常の全てを厳しく監視される中、ペルシアの誕生日が明日に迫っていた。
露壬雄は日付が変わる前に2人で会い、誕生日を祝う約束をしていた。
そのため藍瑠の隙をついて逃げ出したが、すぐに見つかり折檻されて反省室に閉じ込められた。しかし露壬雄はそれを見越し、事前に王姉妹の協力を取り付けており、再び逃走を図った。。
折檻されていたため途中で倒れてしまった露壬雄だったが、ペルシアの膝の上で目覚めた。蓮季から露壬雄の置かれた状況を聞き出していたペルシアは、露壬雄を守ることができず、自分のせいで追い詰められてしまう露壬雄に何度も謝るのだった。

ペルシアの誕生日

ペルシアの誕生日当日、露壬雄は藍瑠が授業を受けている間に、ペルシアと話そうとするが避けられてしまった。
毎年ペルシアの誕生日パーティーには、黒犬たちが乱入してパイ投げ祭りをして妨害していた。露壬雄はこれに乗じて、ペルシアを連れだして和解し誕生日を2人で祝おうと考えていた。

ペルシアを探していた露壬雄は、白猫の寮生に囲まれてしまったが、白猫の監督生代表のケット・シィに助けられた。
パーティーの当事者にもかかわらず、露壬雄を見て部屋を出て行こうとしたペルシアを部屋に閉じ込めていたケットは、露壬雄にペルシアの部屋を教え、そこまでたどり着けるかゲームをしようと持ち掛けた。しかし他の監督生が来たため、ケットと露壬雄は戦うことになった。
劣勢だった露壬雄は、ペルシアの声を聞き窓から飛び降りた。そこには部屋の窓から脱出したペルシアがいた。

ペルシアは、露壬雄が誕生日を祝うためだけに、危険を冒してここまで来てくれたことに心を動かされ、自分たちの間にあるたくさんの壁を2人で乗り越えていこうと思った。
露壬雄とペルシアは気持ちを確かめあった。

騒ぎに気付いた藍瑠が白猫の寮に現れ、今までの露壬雄の行動から2人の仲を疑った。
白猫と黒犬の寮生がざわつく中、ペルシアはこれをはっきり否定し、露壬雄に決闘を申し込んだ。本物の剣で命をかけた決闘に、その場は緊迫した。

2人がお互いの喉を突き刺す寸前で、藍瑠とケットが止めに入った。これを見た寮生たちは、演技だと疑ったことを申し訳なく思った。

露壬雄とペルシアは医務室に運ばれたが、2人とも無事だった。実は、ペルシアが喉元を指し露壬雄に合図を送って、身につけていたロザリオを狙ってお互いを攻撃したのだった。
安堵したペルシアは、涙が溢れて止まらなかった。
露壬雄は誕生日プレゼントのペアリングをペルシアの小指に嵌め、「学校から変えていくため監督生になる」とペルシアに宣言した。

謹慎が明けた露壬雄は監督生になるため、王姉妹の雑用係をすることになった。監督生を目指す露壬雄をペルシアは応援することにした。
そして、いつかお互いに誰にも邪魔されず、露壬雄とジュリエットと呼び合いたいと思うのだった。

『寄宿学校のジュリエット』の登場人物・キャラクター

主要人物

犬塚 露壬雄(いぬづか ろみお)

CV:小野友樹

本作の主人公。
ダリア学園高等部1年、黒犬の寮生。
同期生のリーダーを務めていたが、色々問題を起こすため信頼は薄く、後にリーダーを降ろされ代わりのリーダーは蓮季になった。
東和国の政治家一族「犬塚家」の次男で、運動神経が良く腕力も強いが泳ぎは苦手で、頭は悪く同年代の中でも底辺。
小さい頃から折檻されるなどして兄・藍瑠を苦手にしており、対峙するだけで怯える程兄にトラウマを抱えている。
しかしペルシアの誕生日を祝うために藍瑠に対して従順なフリをするなど、兄へのトラウマを乗り越えようともしている。
ペルシアに対しては前から片想いしていたがずっと言えずに高等部まで来ており、その間何度も戦ったり罵ったり誕生日会をぶち壊すなどしており、露壬雄の好意にペルシアが気づく事はなかった。
ペルシアと付き合い始めてからは交際記念を祝ったり、何かと会いたがったり、デートしたがったり、二人で美しい風景を見たり、手料理をねだったりなど女子より乙女チック。
奥手でもあり、ペルシアと清い関係を保っている。
ペルシアのピンチには全力で助けに入り、立場上表立って助けられなくても何らかの方法でペルシアを救済しようとしている。
とても一途でもあり、蓮季から片想いを受けていてもそれに答えず、シャルから誘惑されても靡かず、ペルシアにだけ想いを捧げている。
ペルシアと一緒に居られるようになるために世界を変える決意をし、まずは監督生代表になって黒犬の寮と白猫の寮の対立関係の改善を目指すことにした。
蓮季とは親友関係であり、蓮季からの好意には応えず蓮季を振っている。しかしその後も蓮季の事は特に大切な友人として扱っている。
シャルとは仲が悪く何かと争っているが、お互いにペルシアが好きな者同士でもあるため理解できる部分を持ち、ペルシアの話題になると盛り上がる事もある。
丸流たち三バカとは同じ黒犬同士でも仲が悪く、何かと対立しがち。特に丸流とは黒犬内でのライバル関係になっている。
王姉妹から気に入られており、特に手李亞から好意を持たれている。

ジュリエット・ペルシア

CV:茅野愛衣

本作のヒロイン。
ダリア学園高等部1年の白猫の寮生。
同期のリーダーで、寮生からの信頼は厚く交流は幅も広いが、その分敵も多い。
才色兼備・文武両道であるが、辛い物・おばけが苦手。
当初は料理も苦手であったが、露壬雄のために練習しまともなクッキーが焼けるようになった。
ウェスト公国の伯爵「ターキッシュ・ペルシア」の一人娘。
ウェスト公国では女は爵位を継げない事から「世界を変える」事を目指し、ダリア学園で活躍して父に認めて貰おうとしている。
露壬雄に対してはライバルとしか思っていなかったが、露壬雄から「ペルシアと一緒にいるために世界を変える」と告白を受け心を動かされる。
交際を始めてから露壬雄に対して好意を持つようになる。
初めはツンツンしていたが、アニメ中盤から後半にかけてはツン要素がかなり薄まり、いつでも露壬雄を信じ支えている。
露壬雄と二人で白猫と黒犬の寮生の関係改善をするために白猫の寮の監督生代表を目指すようになる。
白猫の寮同期の中でペルシアをリーダーにするペルシア派と、アビをリーダーにするアビ派に分かれていたが、体育祭でアビが不正をしたためアビ派は失墜した。
ウェスト公国の王女・シャルとは親友で、身分差などから一時距離があったが、現在は昔のように仲良くしている。
シャルから恋愛視されていることは気づいていない。
側近のスコットからストーカー的に好かれているが、ペルシアがそれを邪険にする事は無く良好な関係を築いている。

露壬雄と一緒に居るために、露壬雄の発案で「ジュリ男」として男装する事がある。
露壬雄のお下がりの制服・カツラ・カラーコンタクトを着用し「黒犬の寮の中等部の男子生徒」という設定となっている。
丸流に女であることがばれ、何者なのかと探られつつも、好意を持たれている。

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