惡の華(The Flowers of Evil)のネタバレ解説・考察まとめ

『惡の華』とは、『別冊少年マガジン』(講談社)2009年10月号から連載が開始された、押見修造による漫画作品だ。多くのファンを集める知る人ぞ知る日本の名作であり、2013年にはテレビアニメが放送された。
誰もが一度は経験する、中学生頃の思春期をそのまま形にしたような作品で、テーマは「絶望」。クラスの美少女である佐伯奈々子の体操服を盗んだ春日高男。そしてそれを目撃した嫌われ者の仲村佐和。春日と佐伯、仲村という遣る瀬無い自我を抱える3人の思春期を描く。

山田正和(やまだ まさかず)

CV:松崎克俊
春日の友人。下の名前はアニメで付けられた。女子に対して、嫌らしいことを考えている。普段は明るいが、春日が避けられるようになった折には手の平を返して素っ気なく振る舞った。兄からDVDを借りて喜んだことも。

小島建(こじま けん)

小島建(こじま けん)

CV:浜添伸也
春日の友人。太めな山田とは対照的に痩せ型である。眉が濃い。春日は嫌がっているが、しばしば佐伯に関する性的な話題を口にしている。

木下亜衣(きのした あい)

木下亜衣(きのした あい)

CV:上村彩子
佐伯の親友。群馬県ひかり市に住む、ひかり市立南中学校2年1組。のちに高校2年生となる。気が強くややキツイ性格で、仲村を嫌い春日を軽蔑している。女子のリーダー的存在で自ら率先して場を仕切るが、潔癖な分度量は広くないため、感情が表に出やすく取り乱しやすい面もある。佐伯と春日が交際を始めたことをきっかけに、その関係に疑問を抱くようになる。放火事件のあと、佐伯とは絶交状態となる。
高校編では、仲村の引っ越し先を知っており、一時帰郷していた春日に仲村の居場所を告げた。大人編で、佐伯に再会し和解する。

『惡の華』の用語

クソムシ

仲村佐和が多用する口癖である。
主に人間に対して用いられる。

ボードレール

シャルル=ピエール・ボードレールは、フランスの詩人、評論家である。

『惡の華』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

仲村「うっせークソムシが」

仲村の口癖「クソムシ」であり、教師に対しても平然と「うっせークソムシが」と発言する。その後、教師には殴られそうになるが、教師は仲村の持つ威圧感に怯まされた。
作者の押見修造は「思春期を描いた」と語っている。
日々移りゆく中高生の感情を繊細に描写している。
思春期の恥ずかしくも懐かしい、戻りたいが、二度と経験したくないようなこの矛盾に満ちた感情を呼び起こし、再起させることのできる。

佐伯の体操着を盗む春日

中一の頃から佐伯に片思いをしていた春日は、ある日の放課後、出来心から彼女の体操服を盗んでしまう。しかしそれは仲村に目撃されていた。そのことから春日は仲村に脅されて無茶な要求に応えなくなってしまった。体操服を盗んだことが物語の始まりとなり、思春期真っ只中の春日や仲村、そして佐伯の運命を大きく狂わせていくことになる。

『惡の華』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

ヒロインの仲村のモデルは作者の妻

ヒロインの仲村だが、外見は仲村みう、性格は押見修造の妻がモデルだと作者本人が語っている。
作者の妻は、日常的に「お前はクズだ」「この世界はクズばっかり」と発言していることから妻をモデルにしたそうだ。

身近な人間を題材として設定することで、よりリアルな人間の描写が生まれている。

原作とアニメの違い

原作とアニメでは登場人物の顔が大きく異なっている。これは監督の長濱が、史上初の全編ロトスコープ(モデルの動きをカメラで撮影し、それをトレースしてアニメーションにする手法のこと)を用いた作品にすることを決め、実写の撮影をしている途中に「もうキャラでも役者でもない人になっていく、言ってしまえばモーションキャプチャーに近い形になっていく、自分達のやりたいのはモーションキャプチャーかな?そうじゃない」と思うようになったことがきっかけ。原作者の押見は「原作の絵に近付けたりした方がいいですか?」と聞かれたところ、「全く違う物の方がいいです。役者さんの顔に寄せて下さい、役者さんの顔でやって下さい」と答えたそうである。

またストーリーに関しても、原作冒頭から春日が仲村に契約しようと誘う場面まで描かれ、最終回終盤に春日と仲村が夏祭りの櫓で包丁を手に「クソムシどもッ」と叫ぶ場面までをダイジェストで挿入するという形をとっており、原作をただなぞる展開ではない。

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