初恋限定。(Hatsukoi Limited.)のネタバレ解説・考察まとめ

『初恋限定。』は、河下水希による漫画作品。
『週刊少年ジャンプ』にて、2007年44号から2008年26号まで連載された。
中学2年生の有原あゆみと江ノ本慧を中心に、中学生と高校生計8人の恋が同時進行で進む姿を描いたオムニバス作品だが、連載期間は約半年と短命に終わった。
いわゆる「打ち切り」となった作品であるが、打ち切りに遭いながらドラマCDやアニメといったメディアミックス化された珍しい作品でもある。

岬がどれだけアプローチを仕掛けても、有二は一切振り向く様子がない。興味のない人物からの好意に困惑していた有二だが、良彦から岬に歩み寄るよう進言されたことを機に、岬のことを知ろうと質問攻めにする。意外にも相手から押されることに弱かった岬は、戸惑ってペースを崩され、ミスを連発するなどらしくない姿が目立ち始めた。そして岬は友人の江ノ本夕と渡瀬めぐるに、有二から距離を置くと宣言する。2人から岬の宣言を伝え聞いた有二が岬を追いかけ話を聞くと、いきなり距離を置くと宣言したのは、有二によって狂わされた調子を取り戻すための時間が欲しいからであった。ここ最近の「らしくない」岬に興味を持ち始めていた有二は、まだ自分に見せていない一面も含めて彼女の事をもっと知りたいと思うようになっていた。
有二は、カッコよくないところも見せあえるのが恋愛じゃないのかと、岬がこれまで人に見せなかった「らしくない一面」を受け入れる発言をする。有二の言葉でいつもの笑顔を取り戻した岬は、雨で濡れた服も乾かないまま笑顔で有二に抱きつくのだった。

「ハツコイリミテッド。」 - あゆみの出した結論

周りが両想いになる中、衛を振り向かせる事が出来なかったあゆみは自分の想いが報われる日は来るのかと悩んでいた。
友人たちに相談するが、あゆみが納得するようなアドバイスは貰えない。しかも、いまだ操に正式な返事をしていないという大問題にも直面する。最初は操のことを迷惑に思っていたあゆみだが、恐い見た目とは違って本当は優しく、自分を一途に想い続けてくれている彼に少なからず惹かれていた事も事実だった。悩んだ末に結論を出したあゆみは、財津家に向かう。そして、やはり衛が好きだと財津兄弟に告げ、操に謝罪をする。勿論、衛が抱く岬への気持ちが変わっていない事は分かっているが「もうちょっとだけ自分の初恋を追いかけてみたい」と、衛への気持ちを改めて伝え、あゆみは財津家を後にする。操は「衛が岬の事を諦められないように、自分も衛の事を諦められない。だから操も自分の事は諦めなくていい」というあゆみの言葉に、まだ可能性があると弟に闘志を燃やす。衛はそれに恐怖心を抱いていた。
そして、財津兄弟に想いを伝えたあゆみは「どっちの財津くんに決めたの?」という周囲の声に「ひーみーつ!」と笑顔で答えるのだった。

『初恋限定。』の登場人物・キャラクター

中学生女子

有原あゆみ(ありはらあゆみ)CV:伊瀬茉莉也

作品がオムニバス形式を採用しているため公式に主人公と決められている訳ではないが、作者の中では彼女が主人公と位置付けられている。
実質的なメインヒロインとして作品を引っ張る江ノ本慧に比べると出番は少ないが、事実上の主人公として一番最初に登場したキャラクターで、物語の最初と最後を飾って作品を締める「おいしいポジション」を担っている。

作中通して財津兄弟との恋が描かれているが、兄弟に対する告白も要約すると「今でも岬を想い続けていても衛の事が好き。だから操も諦めなくていい」という非常に曖昧な内容であり、後日談含め明確な答えが出る事のないまま終わってしまった。

別所小宵(べっしょこよい)CV:豊崎愛生

兄の良彦を心から愛しており、普段から「お兄ちゃんLOVE」を公言する重度のブラコンで、主要メンバーの中で唯一他の男子との絡みも恋愛もないまま終わった。

母親と死別した父子家庭で、父親が単身赴任で家を留守にしたため良彦との二人暮らしを喜んでいるが、家計を顧みない散財で豪華な料理を作る事が多々あり、良彦を喜ばせるどころか逆に散財を咎められる事が多い。

兄に近付く女性を敵視しており、良彦と仲のいいクラスメイトである岬を嫌っているが、妹が欲しかったという岬からはかわいがられている。

千倉名央(ちくらなお)CV:藤村歩

美術部に所属しており、廊下でぶつかった曽我部に声を掛けた事から好意を寄せられる事になる。

曽我部の不器用を通り越した下手すぎるアプローチに気付く事なく、自身の憧れている絵を描いた連城由紀人と出会い、絵の技術は勿論「海外ボランティアをしながら子供達と絵を描く」という彼の立派な夢を知って心から尊敬するとともに恋心を抱くが、連城は海外に飛び立ってしまったため叶わぬ恋となる。

「生まれ変わりたい」という理由で家出した曽我部の告白を聞いて、連城先輩の事は忘れられないと前置きしながらも、千倉名央に相応しい人間になるという曽我部の気持ちは認めており、お互いに頑張ろうと前向きな返答をしたが、あくまで前向きな返答をしただけで付き合っている訳ではなく、作者も千倉が連城を想い続けるのか、曽我部の想いを受け入れるのかは決めていないと語っている。

土橋りか(どばしりか)CV:寿美菜子

日焼けした肌とショートカットがトレードマークのテニス部員。

2年生ながら部のエースとして大きく期待されており、体育祭でもチームの主力として活躍するなど身体能力も高い。
クールというより無口であり、恋人である寺井春人に対しても淡々とした態度で接しているが、恋愛に慣れていないためで、手を繋ごうとする寺井を避けるのも恥ずかしいだけである。

練習しても上達しない寺井のコーチ役として面倒を見るうちに彼の努力する姿に惹かれ、付き合う事になる。
主要人物の中で唯一の彼氏持ちだが、他の女子の恋愛に尺を使うため簡潔に纏められ、あゆみ、小宵、千倉、江ノ本に比べて出番も少ない(彼氏とデート中)など、プライベートではメンバーの中で一番充実しているが、作品的にはある意味不遇な扱いを受けている。

作者としては破局の試練を二人で乗り越える、いわゆる「カップルの危機」も描きたかったようだが、打ち切りとなったためお蔵入りとなってしまった。

江ノ本慧(えのもとけい)CV:伊藤静

イギリス人の祖母を持つクォーターで、年商13億円の男にプロポーズされるなど彼女の美貌を強調するエピソードも多いが、中学生離れした美少女という設定故に「大人びている」を通り越した「老け顔中学生」と周囲からいじられる事もある。
中学生パートでは彼女と楠田の恋愛がメインに進行する。

連載開始当初は「男は顔」と公言するなど典型的な人を顔で選ぶタイプだったが、顔を合わせれば憎まれ口を叩き合っていた楠田の事が徐々に気になるようになり、体育祭にクリスマスデートといったイベントを経て彼の事を好きになる。

最終的には恋愛の価値観も大きく変わっており「男は顔」から「男は中身」と言うようになるなど、楠田との恋を経て恋愛観が180度変わっている。

不動宮すみれ(ふどうのみやすみれ)CV:川澄綾子

演劇部部長の2年生で、眼鏡、ツインテール、チョーカー、巨乳など多くの「属性」を持っており、出番は少ないものの、後述する楠田勧誘のために行った行動の数々で強烈なインパクトを読者に与える。

演劇に必要な「カッパ役」を探している最中に「カッパ顔」の楠田と出会い、演劇に出て貰うためキュウリを用意したり、中学生離れした自慢の巨乳で誘惑したりとスカウトを通り越した「奇行」で楠田を勧誘する。
巨乳好きで色仕掛けに弱い事を自分で認めながらも、楠田は最後まで断り続け、楠田が出てくれないのでは意味がないと台本はお蔵入りになった。

ちなみに、そのカッパ役とは皿回しをしながら姫の後ろを通り過ぎて行くだけという、謎どころか必要性があるのか疑わしい役だった。
本人曰く「卒業生に向けての深いメッセージがこめられてる重要なシーン」との事で、部員はお蔵入りになった事を本気で残念がっていた。

安藤そあこ(あんどうそあこ)CV:後藤沙緒里

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@leina19y6

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