はたらく細胞(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『はたらく細胞』とは、清水茜による漫画作品。人体の中で活動する細胞を擬人化したユニークな物語と、各細胞の描写の正確さで話題となり、学生のみならず医療関係者からも評価された。2018年にはdavid production制作によってアニメ化された。
舞台は、人間の身体の中。細胞たちが擬人化、侵入した病原体などがモンスター化・怪人化して描かれている。酸素を運ぶ赤血球や、細菌と戦う白血球。傷口をふさぐ血小板や、殺し屋のキラーT細胞など、そんな約60兆個もの細胞たちの知られざるドラマが展開される。
『はたらく細胞』の概要
『はたらく細胞』とは、清水茜による漫画作品。人間の体内にある細胞を擬人化し、キャラクターの名前は、すべて細胞名で統一されている。原作の漫画は、宝島社『このマンガがすごい』にて、2016年に7位となった。2018年には『DRIFTERS』、『ジョジョの奇妙な冒険』などを手がけた鈴木健一監督、『妖狐×僕SS』、『モンスターハンター ストーリーズ RIDE ON』などを手がけたdavid productionによってアニメ化された。
細胞たちの活動は、実際のそれをかなり正確に映像化しており、医科大に通う学生などからも「漫画を読みながら勉強できる」と好評を得た。
スピンオフ作品は、『なかよし』にて、2017年5月号から吉田はるゆきによる漫画『はたらく細菌』、『月刊少年シリウス』にて、2017年9月号から杉本萌による漫画『はたらかない細胞』、『モーニング』にて、2018年27号から原田重光(原作担当)と初嘉屋一生による漫画『はたらく細胞BLACK』が連載されている。さらに『月刊少年シリウス』にて、2018年3月号からは、杉本萌によるアニメ版制作現場のレポート漫画『はたらけ!アニメ化見学』が連載されている。
『はたらく細胞』のあらすじ・ストーリー
赤血球と白血球
人体の内部にはおよそ60兆個にも及ぶ細胞が存在し、それぞれに様々な役割を持って動いている。今日も、明日も、その先も、人間の生命活動が続く限り彼らは人知れず働き続けるのである。
「各細胞に酸素を届ける」ことを役割とする赤血球のAE3803は、ある日外部からやってきた細菌に襲われるが、「細菌を攻撃する」ことを役割とする白血球の1146番によって危ういところを助けられる。
感謝したAE3803は、いつか何かの形でお礼をするべく1146番に「また会えるか」と尋ねる。しかし「細胞たちからすると宇宙のように広大で、60兆もの数がいる細胞たちの中にあって自分たちが再会することはまずないだろう」と正論を説かれて肩透かしを食らう。
しかし運命のいたずらか作劇の都合か、その後もAE3803はたびたび1146番と出会い、細胞たちの様々な働きをまざまざと目撃する。さらにいえば、2人はそれぞれ赤血球と白血球になる以前の赤芽球(せきがきゅう)と好中性骨髄球(こうちゅうせいこつずいきゅう)だった頃にも1度会っているのだが、どちらもそのことには気付いていなかった。
出血とカサブタ
ある時、人体が外傷を負って出血。赤血球たちの一部が外部に飛び出し、さらには外部から細菌が次々と侵入する事態となる。これに巻き込まれたAE3803は、またも1146番によって細菌の攻撃から救われ、彼との奇跡的な再会を喜ぶ。
外傷は赤血球たち細胞からすると「底無しの大穴」のようなものであり、このままでは出血も細菌の侵入も止まらない。どうやって穴を塞げばいいのかとAE3803たちが頭を抱える中、その愛らしい姿で細胞たちからも人気の血小板たちが進み出る。
血小板は人体が破損した時に最初に応急処置をすることが役割の細胞で、大穴に対しても果敢に挑んでいく。その方法は「巨大な網を生成し、これに血中細胞を絡め取って穴を塞ぐ(カサブタを作る)」というもので、AE3803と1146番もこの網に巻き込まれて動けなくなってしまう。
それでも血小板たちの活躍によって大穴は塞がれ、出血と細菌の侵入は食い止められるのだった。
がん細胞の脅威と悲哀
人体に迫る危機は外傷だけでなく、様々な病もまた大きな脅威だった。インフルエンザ、食中毒、杉花粉アレルギー。これらはそれぞれに異なる原因で発生する人体への脅威であり、ヘルパーT細胞やキラーT細胞といった免疫系の細胞たちが協力して対応するのが常だった。
赤血球であるAE3803は、「全身に酸素を届ける」というその役割上、様々な細胞の役割と活躍を直接目の当たりにしていく。
そこには、生命活動維持のために繰り広げられる細胞たちの様々なドラマがあった。遺伝子の異常によって生まれたがん細胞が発見された時には、「生き延びるために逃げ続けるがん細胞」と、「一定以上に増える前に、別のどこかに転移する前に始末しようとする免疫細胞たち」との間で熾烈な攻防が繰り広げられる。
この時発生したがん細胞は無事に処分されるも、「ただ仲間を増やしたかっただけなのに」と訴えながら消えていく彼の最後の姿を見て、AE3803は思わず同情するのだった。
人体最大の危機
人体内部では、細胞は一定期間ごとに作り直されており、AE3803にもNT4201という後輩ができる。AE3803に同行して赤血球としての仕事を覚えようとするNT4201だったが、道に迷うわ酸素の届け先を間違うわでミスばかりしている彼女に呆れ、「本当にこんな人と一緒に仕事をして大丈夫だろうか」と案じられるようになる。
そんな時、人体に非常事態が発生。細胞たちに原因を知ることはできなかったが、人体の主である人間が事故か事件に巻き込まれ、生命維持が困難なほどの大量出血を起こしたのだ。傷口が大き過ぎて血小板たちにもどうすることもできない、まさに人体そのものの危機だった。
大量の赤血球が失われたことで、人体各部に十分な酸素が届かなくなり、細胞たちは機能不全に陥っていく。「この体はもうダメだ、何もかも終わりだ」と多くの細胞が絶望と共に滅びを受け入れる中、AE3803は「これが自分の仕事だから」とあくまで酸素を運び続ける。
そんなAE3803の奮闘に報いるように奇跡が起きる。人体の主である人間が病院に運ばれ、外科的処置で傷を塞がれた上で輸血が施されたのである。新しくやってきた赤血球たちによって再び人体各部に十分な酸素が行き渡り、細胞たちが正常な活動を再開。人体の危機は回避される。
AE3803の奮闘を見ていたNT4201は彼女を先輩として尊敬するようになる。1146番や馴染みの血小板たちと共に今回の危機をなんとか乗り越えたAE3803は、今日も明日もその先も、人体のために働き続けるのだった。
風邪との戦い
風邪の季節がやってくる。風邪は、医学的には「風邪症候群」と呼ばれる呼吸器系の炎症性の症状、またその状態表す総称で、「感冒」「急性上気道炎」とも呼ばれる。炎症により、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、のどの痛み、咳、たん、発熱といった症状が起こる。
風邪の諸症状を引き起こす代表的なウイルスであるライノウイルスが体内に侵入し、これに感染した細胞たちのイタズラによって人体内部は混乱。しかし免疫細胞たちがライノウイルスを叩きのめし、大きな被害が出る前に事態は解決するのだった。
『はたらく細胞』 の登場人物・キャラクター
血球細胞
赤血球(せっけっきゅう)/AE3803
CV:花澤香菜
個体識別番号はAE3803だが、作中ではほとんど用いられず、単に「赤血球」と呼ばれることが多い。
ヘモグロビンを多く含むため赤い。
血液循環によって酸素と二酸化炭素を運搬する。
つまり、体中を駆けめぐり、酸素を体の隅々の細胞に運び届け、肺へ二酸化炭素を運ぶ。
新人の女の子。
先輩赤血球(せんぱいせっけっきゅう)/AA5100
CV:遠藤綾
AE3803の先輩。個体識別番号はAA5100だが、作中ではほとんど使われない。
ヘモグロビンを多く含むため赤い。
血液循環によって酸素と二酸化炭素を運搬する。
つまり、体中を駆けめぐり、酸素を体の隅々の細胞に運び届け、肺へ二酸化炭素を運ぶ。
面倒見のいいお姉さん。
後輩赤血球(こうはいせっけっきゅう)/NT4201
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目次 - Contents
- 『はたらく細胞』の概要
- 『はたらく細胞』のあらすじ・ストーリー
- 赤血球と白血球
- 出血とカサブタ
- がん細胞の脅威と悲哀
- 人体最大の危機
- 風邪との戦い
- 『はたらく細胞』 の登場人物・キャラクター
- 血球細胞
- 赤血球(せっけっきゅう)/AE3803
- 先輩赤血球(せんぱいせっけっきゅう)/AA5100
- 後輩赤血球(こうはいせっけっきゅう)/NT4201
- 白血球・好中球(はっけっきゅう・こうちゅうきゅう)/1146番
- 白血球2001(はっけっきゅう2001)
- 白血球2048(はっけっきゅう2048)
- 白血球2626(はっけっきゅう2626)
- 白血球4989(はっけっきゅう4989)
- 血小板(けっしょうばん)
- 免疫細胞
- ヘルパーT細胞(へるぱーTさいぼう)
- 制御性T細胞(せいぎょせいTさいぼう)
- キラーT細胞(きらーTさいぼう)
- マクロファージ
- 樹状細胞(じゅじょうさいぼう)
- その他の細胞
- 一般細胞(いっぱんさいぼう)
- がん細胞(がんさいぼう)
- 細菌
- 肺炎球菌(はいえんきゅうきん)
- 黄色ブドウ球菌(おうしょくぶどうきゅうきん)
- 化膿レンサ球菌(かのうれんさきゅうきん)
- 緑膿菌(りょくのうきん)
- カンピロバクター
- ライノウイルス
- 『はたらく細胞』の用語
- レセプター
- 言い伝え
- ヒスタミン取扱マニュアル
- 鼻腔温泉
- グルコースまんじゅう
- 『はたらく細胞』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 赤血球を気づかう白血球
- 血小板のはたらき
- 好中性骨髄球「白血球は自分の命を犠牲にしても、他の細胞を守るんだ!」
- がん細胞「本当は、僕はただの細胞なんだ。この世界の一員として、みんなとただ毎日平和に生きていくはずだった」
- 単球の正体
- 奇跡の雨
- NT4201「仕事は知識だけじゃなく、経験と熱いハートが大事ってこと」
- 『はたらく細胞』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- はたらく細胞ゼミナール
- 『はたらく細胞』の主題歌・挿入歌
- OP(オープニング):赤血球、白血球、キラーT細胞、マクロファージ『ミッション! 健・康・第・イチ』
- ED(エンディング):ClariS『CheerS』