ASIA(エイジア)の徹底解説まとめ

ASIAとは、イングランド出身のプログレッシヴ・ロックバンド。1982年の結成時よりメンバーは別バンドでの実績があった事もあり、そのデビューはセンセーショナルなものであった。後に80年代を代表する「スーパーグループ」として知られるようになる。ヴォーカル&ベーシストのジョン・ウェットンを中心とし、ドラマティックで清々しいポップなサウンドが特徴。展開のある楽曲は「3分間のドラマ」とも呼ばれる程、ストーリー性に富んでいる。メロディアスで美しいサウンドにファンも多い正統派バンド。

ASIAの概要

エイジアとは、1980年代を代表するスーパーバンドの一つと言われている。

1980年。プログレバンドとして既に名声を得ていたイエスはメンバーの脱退等で崩壊状態にあった。イエスに残留していたスティーヴ・ハウとジェフ・ダウンズの2名であったが、イエスの継続を断念。
その時、イエスのマネージャーだったブライアン・レーンはジョン・ウェットンを2人に引き合わせて新バンドの結成を企画する。そしてウェットンとハウが一緒に曲作りをするようになり、デビューアルバムの約半分を書き上げる。ドラマー、キーボーディストは紆余曲折するものの、結局はハウの紹介というメンバー同士の繋がりにより、アルバムデビューの時点のメンバーが固まった。ジョン・ウェットン(vo.b/元キング・クリムゾン、ロキシー・ミュージック、U.K.)、スティーヴ・ハウ(g.vo/元イエス)、カール・パーマー(ds/元エマーソン・レイク・アンド・パーマー)、ジェフ・ダウンズ(key/元バグルス、イエス)の4名のオリジナルメンバーが集結。バンド名はレーンが提案した「Asia」に決定し、ついにデビューを迎えた。
1982年3月8日、ロジャー・ディーンのイラストをジャケットに使ったファースト・アルバム『Asia(詠時感〜時へのロマン)』とシングル『Heat of the Moment』をリリース。
シングルの『Heat Of the Moment』は全米ロックチャート1位、全米ポップチャートでも4位と、デビュー作より大成功を収める。
美しいサウンド、アルバムの世界観が表現された幻想的なアルバムジャケット、「Aに始まり、Aに終わる」というコンセプトのアルバムタイトル。
これらはプログレの真骨頂としてAsiaは確実にファンの心を掴み、本物の「スーパーバンド」として音楽界に君臨するに至った。

その後、幾多のメンバー・チェンジを繰り返し、曲調の変化はありつつも、おしゃれ感のある正統派プログレという方向性は変わらずAsiaブランドは存続していく。
2007年にはオリジナルメンバー四人での「初来日コンサート」を開催。そして続く2008年にも来日を果たしている。
2012年には結成30周年記念アルバム「XXX~ロマンへの回帰」をリリース。同年9月には30周年記念ジャパンツアーが開催された。

デビュー時よりスーパーバンドと呼ばれ続け、常にハイクオリティーを求め続けられてきたAsia。
新作リリースにあたっても、ファンは期待を裏切られることなく、常に新鮮さが溢れ、進化したアルバムに触れる事ができた。
この先もずっと変わらぬ活動を続けていくであろうと誰もが期待する中、2017年、病気がちであったジョン・ウェットンががんによって他界。

この後は追悼ライヴのキャンセル等、目立った活動が見られぬまま現在に至る。

現ラインナップは、以下の通りとなっている。
●ジェフ・ダウンズ "Geoffrey Downes" - キーボード (1981-1986, 1990- )
●サム・クールソン "Sam Coulson" - ギター (2013- )
●カール・パーマー "Carl Palmer" - ドラムス (1981-1986, 1989-1992, 2006- )

<サポート>
●ビリー・シャーウッド "Billy Sherwood" - ボーカル/ベース (2017- )

ASIAのメンバー

オリジナルメンバー

ジョン・ウェットン(Vo、B)

ジョン・ケネス・ウェットン(John Kenneth Wetton)。 1949年生まれ。イングランド出身のロック・ミュージシャン、ボーカリスト、ベーシスト。
「キング・クリムゾン」「U.K.」「エイジア」など数々のロック・バンドに参加した実績を持ち、主にプログレッシブ・ロックの分野での活動で知られる。
技巧的なベース演奏と歌声がロック・ファンに評価された。デーモン閣下の好きなボーカリストの一人にも挙げられている。
マルチプレイヤーでもあり、ギターやキーボードもこなす。

U.K.、エイジアなどでの来日公演時には、ボーカル担当としてMCをする機会も多く、英語での挨拶、演奏曲やメンバー紹介もすることも多かった。
U.K.のライヴ・アルバムに収録されている「キミタチ、サイコダヨ!(君たち最高だよ!)」の日本語が本人も気に入っていたようで、その後、日本で彼が公演する時には必ず「君たち最高だよ!」と言うことにしていた。日本酒と焼き鳥が大好物で、それが原因で太ってしまったという噂もある。
また日本のバンドとも関わりがあり、VOW WOWやRX(聖飢魔Ⅱのライデン湯澤、ゼノン石川らのユニット)といったバンドともセッション経験があった。

2000年以降は病気がちとなるが、その中でも「Asia」「U.K.」の再結成、ジェフ・ダウンズとはICONというユニット結成など、音楽活動は精力的に行う。
しかし2017年、大腸がんの治療に専念する、とエイジアでの活動を一時休止することを表明するも、間もなく症状が悪化し、逝去。

英プログレッシブ・ロック界のレジェンドのひとりである。

スティーヴ・ハウ(G、Vo)

1947年生まれ。本名:Stephen James Howe。ロンドン出身のギタリスト。
1960年代から様々なプロジェクトに参加、特にイエスやエイジアでの活動が有名である。
ギタープレイ的には、いわゆる“ロック”的なプレイを好まないことから、カントリー、ジャズ、クラシック、フラメンコ、トラッドといったスタイルを融合させる事を得意とする。また、ライヴ中に何度も楽器を持ち換えたり、ギター以外の楽器、エレクトリック・シタール、ペダル・スティール、リュート、マンドリンなどを使用したりもする。

カール・パーマー(Dr)

カール・パーマー(Carl Palmer)。1950年生まれ。イングランド出身のロックミュージシャン、ドラマー。
主にプログレッシブ・ロックの分野で活動し、特に在籍した「エマーソン・レイク・アンド・パーマー」「エイジア」で世界的な成功を収めた。自ら率いる「カール・パーマー・バンド」でも活動している。
ローリング・ストーン誌選出「歴史上最も偉大な100人のドラマー」第10位。

時にライヴで「走る」ほど前のめりでアグレッシヴなプレイを見せる、自称「根本的にロックなドラマー」。
クラシックの教育も受けており、バンドやユニットなどにフィットしたスタイルを巧みに盛り込み、プレイに応用している。

ジェフ・ダウンズ(Key)

ジェフ・ダウンズ(Geoff Downes)。 1952年生まれ。
イングランド出身のロックミュージシャン、キーボーディスト、音楽プロデューサー。

1979年、「ラジオ・スターの悲劇」がヒットしたシンセポップ・バンド「バグルス」のメンバーとして音楽シーンに登場。その翌年、バグルスのもう一人のメンバーであるトレヴァー・ホーンと共に「イエス」に加入。
しかし、1980年にイエスのアルバム『ドラマ』でキーボードを担当し、イエスのメンバーとして欧米をツアーするものの、翌年ツアー終了時にイエスは解散となる。
1981年、イエスの同僚だったスティーヴ・ハウや、ジョン・ウェットン、カール・パーマーと共に「エイジア」を結成。

他のオリジナル・メンバーが次々に脱退し、ダウンズはエイジアの唯一のオリジナル・メンバーとして中心人物となっていく。
2017年にジョン・ウェットンが亡くなったのを受けて、長文の追悼文を公開。このジョンの死を受けて、2005年来のユニット「Icon (ウェットン/ダウンズ)」の活動が不能となった

現ラインナップ

●ジェフ・ダウンズ "Geoffrey Downes" - キーボード (1981-1986, 1990- )
●サム・クールソン "Sam Coulson" - ギター (2013- )
●カール・パーマー "Carl Palmer" - ドラムス (1981-1986, 1989-1992, 2006- )

<サポート>
●ビリー・シャーウッド "Billy Sherwood" - ボーカル/ベース (2017- )

サム・クールソン(G)

サム・クールソン(Sam Coulson)。1987年生まれの英国出身のギタリスト。加入当時は25歳。
スティーヴ・ハウの後任として加入が発表された。
エイジア結成後に誕生した若きギタリストであるが、ポール・ギルバート(MR.BIG)やトニー・マカパインとの共演歴があり、その実力は認知されていた。
エイジアへの加入もポールの働きかけによるもので、特別なオーディションを経てのものではない。
ジョン・ウェットンには、スティーヴ・ハウのクローンは望んでいないと明言され、自分のスタイルを心掛けるようアドバイスされる。
ハードでエッジのあるリフ、テクニカルなリード・プレイは、スティーヴ・ハウとは趣も異なり、エイジアの年齢的な若返りのみならず、技術面でも新風を吹き込んだとも称される。

サポート・メンバー

ビリー・シャーウッド(Vo、B)

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