ASIA(エイジア)の徹底解説まとめ
ASIAとは、イングランド出身のプログレッシヴ・ロックバンド。1982年の結成時よりメンバーは別バンドでの実績があった事もあり、そのデビューはセンセーショナルなものであった。後に80年代を代表する「スーパーグループ」として知られるようになる。ヴォーカル&ベーシストのジョン・ウェットンを中心とし、ドラマティックで清々しいポップなサウンドが特徴。展開のある楽曲は「3分間のドラマ」とも呼ばれる程、ストーリー性に富んでいる。メロディアスで美しいサウンドにファンも多い正統派バンド。
1965年、アメリカ出身。イエスなどで活躍したマルチプレイヤー。
2017年にジョン・ウェットン他界後のツアーに、Vo&Bとして代役を務める。
旧メンバー
グレッグ・レイク(Vo、B)
1965年に初めて組んだバンド、ユニット・フォーを皮切りにザ・タイム・チェックスなど多くのローカルバンドで徐々に有力ギタリストおよびヴォーカリストとして頭角を現し、数々の活動を経てキング・クリムゾン結成に参加。
1969年にデビューを飾ったプログレッシブ・ロック・グループ、キング・クリムゾンは、後にプログレッシヴロックを代表するバンドとなるわけだが、このバンドにおいてデビュー・アルバムの『クリムゾン・キングの宮殿』でベースとボーカルを担当(2ndアルバムではギターを弾いている)。
1970年にエマーソン・レイク&パーマー(ELP)を結成。同バンドの人気とともに、グレッグ・レイク自身も世界的な知名度を獲得していった。
1980年にELPが解散した後、ソロや他のミュージシャンとの活動を行い、1983年には一時的にエイジアのメンバーとなってカール・パーマーと合流し、この時「伝説的な武道館」公演を行っている。
ベース奏者としては過小評価されているが、キング・クリムゾンのリーダーであるロバート・フリップと、若い頃に同じクラシック・ギターの先生に教わり、ほぼ実力が均衡していたといわれる。
レイクは若い時は長髪でスマートな体系であったが、年々巨体化。ロンドンの日本食レストランの常連で、寿司カウンターでもくもくと寿司を食べる姿も目撃されている。2016年に逝去。
ジョン・ペイン(Vo、B)
ジョン・ウェットン不在時、後期エイジアを支えたヴォーカリスト&ベーシスト。
1989年、ジョン・ウェットンが脱退したエイジアはジェフ・ダウンズの主導体制になり、後任としてジョン・ペイン(元エレクトリック・ライト・オーケストラ)を迎えての編成で活動していた。
やがてバンド形態というより「ジェフ・ダウンズのソロプロジェクト」の色彩が強まって行き、ジェフとペイン以外はゲスト・アーティストの参加による演奏が多くなり、ツアーに参加するメンバーも非常に流動的なものとなる。
2006年、ダウンズはオリジナル・ラインナップのバンド再興を企図し、ペインは離脱を余儀なくされ、別バンド「エイジア featuring ジョン・ペイン」として活動していくこととなった。
ASIAのディスコグラフィー
詠時感〜時へのロマン(エイジア〜ときへのロマン、原題:Asia)
1.ヒート・オブ・ザ・モーメント(英語版) "Heat Of The Moment"
2.時へのロマン(英語版) "Only Time Will Tell"
3.孤独のサヴァイヴァー(英語版) "Sole Survivor"
4.ワン・ステップ・クローサー "One Step Closer"
5.タイム・アゲイン "Time Again"
6.この夢の果てまで "Wildest Dreams"
7.ウィズアウト・ユー "Without You"
8.流れのままに "Cutting It Fine"
9.ときめきの面影 "Here Comes The Feeling"
プログレッシヴ・ロックの大御所ミュージシャン達が結集したバンドの1stアルバムに、世間も注目していた。
ポップでキャッチーなメロディーは全世界に受け入れられ大ヒットアルバムとなり、シングルカットされた「ヒート・オブ・ザ・モーメント」も全米シングルチャートトップ100に4位でランクインした。しかし、元々メンバーがプログレ(プログレッシブ・ロック)のジャンルを確立していた事もあり、プログレの最高峰プレイ、難解な曲調を期待していたファンからは批判的に、産業ロック(前衛的でない、管理された音楽)と称する声もあった。結果的にはバンド史上、最も売り上げたアルバムとなり、80年代を代表する名盤としても語り継がれる作品となっている。
アルバム名「ASIA」は、“A”で始まり、“A”で終わる。このタイトルの法則は、しばらく踏襲されていく。
アルファ(ALPHA)
1.ドント・クライ "Don't Cry"
2.偽りの微笑み "The Smile Has Left Your Eyes"
3.ネヴァー・イン・ア・ミリオン・イヤーズ "Never In A Million Years"
4.マイ・オウン・タイム "My Own Time"
5.ザ・ヒート・ゴーズ・オン "The Heat Goes On"
6.悲しみの瞳 "Eye To Eye"
7.時の旅人 "The Last To Know"
8.トゥルー・カラーズ "True Colors"
9.ミッドナイト・サン "Midnight Sun"
10.永遠の輝き "Open Your Eyes"
11.デイライト "Daylight" (Cassette bonus track/LP未収録)
1983年にリリースの2ndアルバム。
デビューアルバムよりもよりキャッチーな仕上がりで、もはやプログレッシヴロックの難解さ、堅苦しさは微塵も感じられないポップアルバムとなっている。
セールスとしては1stに続くものとなる。3枚目以降はメンバーチェンジや、バンドの不安定さが目立ち、今作が最後のヒット作と言える。
M1「ドント・クライ」とM2「偽りの微笑み」がヒット。ギタリストのスティーヴ・ハウ作曲の曲が採用されていない為か、ギターサウンドは抑え気味のアルバムである。
アストラ(Astra)
1.ゴー "Go" (Wetton/Downes) – 4:07
2.ヴォイス・オブ・アメリカ "Voice of America" (Wetton/Downes) – 4:27
3.ハード・オン・ミー "Hard On Me" (Wetton/Downes/Palmer) – 3:34
4.ウィッシング "Wishing" (Wetton/Downes) – 4:15
5.ロックンロール・ドリーム "Rock and Roll Dream" (Wetton/Downes) – 6:51
6.カウントダウン・トゥ・ゼロ "Countdown to Zero" (Wetton/Downes) – 4:14
7.ラヴ・ナウ "Love Now Till Eternity" (Wetton/Downes) – 4:11
8.トゥー・レイト "Too Late" (Wetton/Downes/Palmer) – 4:12
9.サスピション "Suspicion" (Wetton/Downes) – 3:45
10.アフター・ザ・ウォー "After the War" (Wetton/Downes) – 5:11
1985年リリースの3rdアルバム。日本での人気は高かったがビルボードでは67位と振るわず、ジョン・ウェットンもその理由が分からなかったという。
ギタリストがスティーヴ・ハウより、スイス人のマンディー・メイヤーとなるが、このアルバムのリリース後、ジョン・ウェットンが脱退。
そしてマンディ・メイヤーも以降、エイジアで演奏することはなかった。
バンドはアルバム「アストラ」のツアーをキャンセルし活動を終え、再開は1990年まで待たねばならなかった。
また、アルバム名は「ARCADIA」となる予定であったが、デュランデュランのサイモン、ニック、ロジャーによってアーケイディアのデビューが発表されたため、変更したという。
愛についての歌詞が少なく、アストラはこれまでのエイジアの作品と少し異なり、サウンド的には、1「ゴー "Go" 」、6.「カウントダウン・トゥ・ゼロ "Countdown to Zero"」のようなスリリングでドラマティックな曲調が印象的なアルバムである。
アクア(Aqua)
1.アクア・パート1 "Aqua Part 1" (Downes,Howe,Payne) 2:27
2.フー・ウィル・ストップ・ザ・レイン? "Who Will Stop The Rain?" (Downes,Warman,Woolfenden) 4:35
3.バック・イン・タウン "Back In Town" (Downes,Payne) 4:09
4.ラヴ・アンダー・ファイアー "Love Under Fire" (Downes,Lake) 5:15
5.サムデイ "Someday" (Downes,Warman) 5:48
6.リトル・リッチ・ボーイ "Little Rich Boy" (Downes,Payne) 4:37
7.ヴォイス・オブ・リーズン "The Voice Of Reason" (Downes,Payne) 5:37
8.レイ・ダウン・ユア・アームズ "Lay Down Your Arms" (Downes,Payne,Hart) 4:14
9.クライム・オブ・ハート "Crime Of The Heart" (Downes,Warman) 5:57
10.ファー・クライ "A Far Cry" (Downes,Payne,Hart,Mitchell) 5:30
11.ドント・コール・ミー "Don't Call Me" (Downes,Warman) 4:55
12.ヘヴン・オン・アース "Heaven On Earth" (Payne,Nye) 4:54
13.アクア・パート2 "Aqua Part 2" (Downes,Payne) 2:14
1992年、ヴォーカル・ベースはジョン・ペインとなり、新生ASIAとしてリリースした4thアルバム。
ジョン・ウェットン色が失せた事で、新生バンドとなった感もあるが「おしゃれなハードロック」の路線は踏襲されている。
1,2,3,5,7,10には元メンバーのスティーヴ・ハウも参加している
美しい幻想的なイルカのアルバムジャケットは、前作までのロジャー・ディーンではなく、同傾向のイラストを手掛けるロドニー・マシューズが担当している。
天空のアリア
1.エニータイム "Anytime" (Downes, Payne) – 4:57
2.アー・ユー・ビッグ・イナフ? "Are You Big Enough?" (Downes, Payne) – 4:07
3.デザイア "Desire" (Downes, Andy Nye, Payne) – 5:20
4.最後の夏 "Summer" (Downes, Payne) – 4:06
5.サッド・シテュエーション "Sad Situation" (Downes, Payne) – 3:59
6.ドント・カット・ザ・ワイヤー "Don't Cut the Wire (Brother)" (Downes, Payne) – 5:20
7.フィールズ・ライク・ラブ "Feels Like Love" (Downes, Payne) – 4:49
8.TOWA NO TOKI〜永遠の瞬間〜 "Remembrance Day" (Downes, Payne) – 4:18
9.イナフズ・イナフ "Enough's Enough" (Downes, Payne) – 4:37
10.時空の戦士 "Military Man" (Downes, Payne) – 4:10
11.天空のアリア "Aria" (Downes, Nye, Payne) – 2:27
1994年リリースの5thアルバム。
1992年にレコード会社を「バンドホール・レコード」に移し、バンドメンバーを一新した新生エイジアとしては2枚目のアルバムとなる。
前作を踏襲したハード・ポップ路線のなかにも英国的な憂いのあるトーンを感じさせ、ペインのドラマティックなヴォーカルとアル・ピトレリの哀愁を帯びたギターが心を打つ。ジョン・ウェットン在籍時のオリジナル・エイジアの作風とはまた違った趣ではあるものの、決して劣るとも勝らない独自の魅力を打ち出したアルバムとしてファンの間でも評価が高い。
エイジアのイメージを決定づけたロジャー・ディーンがひさびさにジャケットのアートワークを手がけたことでも話題となった。
目次 - Contents
- ASIAの概要
- ASIAのメンバー
- オリジナルメンバー
- ジョン・ウェットン(Vo、B)
- スティーヴ・ハウ(G、Vo)
- カール・パーマー(Dr)
- ジェフ・ダウンズ(Key)
- 現ラインナップ
- サム・クールソン(G)
- サポート・メンバー
- ビリー・シャーウッド(Vo、B)
- 旧メンバー
- グレッグ・レイク(Vo、B)
- ジョン・ペイン(Vo、B)
- ASIAのディスコグラフィー
- 詠時感〜時へのロマン(エイジア〜ときへのロマン、原題:Asia)
- アルファ(ALPHA)
- アストラ(Astra)
- アクア(Aqua)
- 天空のアリア
- アリーナ
- オーラ(Aura)
- サイレント・ネイション
- フェニックス
- オメガ
- XXX〜ロマンへの回帰
- グラヴィタス~荘厳なる刻
- エイジア・フィーチャリング・ジョン・ペイン(Asia Featuring John Payne)
- もうひとつのエイジア
- ASIAの裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 聖飢魔ⅡによるHeat of the Moment
- キース・エマーソンを呼んで来い!
- 伝説の武道館公演
- ASIAの代表曲
- Heat of the Moment
- Don't Cry
- Sole Survivor
- ASIAの関連サイト