電波教師の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

「電波教師」は、東毅による少年漫画。
かつて天才と呼ばれていた男「鑑純一郎」は大学卒業後、ニートのオタクとして暮らしていた。その現状を改善すべく妹の「鑑純音」は純一郎に教師をやらせることを決意する。
最初はやる気の無かった純一郎だが、一癖も二癖もある生徒達と出会い、オタク純一郎ならではの手段で導いていく物語。およそ教師らしくない「教師・純一郎」として、生徒を導く名言が数多い。

フィクション(作り物)の世界でも登場人物達は必死に生きて物語を紡ぐ――――そこに現実とフィクションの垣根なんかないでしょ。そして彼ら(登場人物)は自分の世界こそ現実だと思い、奇跡を起こしてみせる。私…純一郎に会って気付いたんだ――――決まった現実の世界があるんじゃなくて。自分が世界を決めつけてるだけだってことに。教えてくれて…ありがとう。こんなにもキレイなこの世界は――――フィクションなんだね。

純一郎の高校時代、病院で出会った重音のセリフ。
銀杏学園の生徒達のように、重音も純一郎と出会うことで純一郎の生き様に影響を受けていた。重音は純一郎同様「YD」を自称するようになり、二人で病院を抜け出して、巨大な岩に「石化されたドラゴン」の設定を付け足して遊んでいた際のセリフである。
捉え方次第で世界はいくらでも面白くなるという、二人の生き方を表しているシーン。

そうだな重音。とりあえず俺――――、どこでもドア、作ることにするわ。

病気で床に伏す重音に純一郎が宣言したセリフ。
「医者になる」と言おうとした純一郎を制し、重音は「純一郎は純一郎にしかできないことをして、世界を面白くしてほしい」と願う。その際、脇に置かれていた「ドラえもん」を見て、純一郎が思い付きで言った約束である。思い付きとはいえ、純一郎はこの約束のために興味もない物理を一から勉強し、後に「どこでもドア設計論」を完成させることになる。

俺は重音のように生き、重音のように死ぬと決めている。重音はもう鑑純一郎(俺自身)の一部だ。あいつに会うまで俺は「YD」という言葉も、ただ興味のないことをやらない言い訳みてーに使ってただけだったが、あいつは…それ(YD)が「生き(死に)方」を示していることを教えてくれた。「YD」がいいモンかどうかなんてわからねえ。ただ俺も自分の一生をかけて確かめるつもりだ。それが…あいつが俺に自分の命をかけてやってくれた、「授業」だからな。

重音は「やりたいこと」をやるために、外の世界で自由に生きるために、極めて成功率の低い手術を強引に受け、そしてそれは失敗してしまった。
手術を受けずとも、重音はベッドの上でなら生き延びることができた。「純一郎に触発されなければ重音は死ぬことはなかった」と、数年後の現在になって重音の妹の那由他が純一郎の下にやってきた。その那由他に向けた純一郎のセリフ。純一郎にとって重音がどれほど大きな存在であったかが窺える。

妄想と現実の区別をつけてるようじゃ、「魔法」なんて使えねーんだよ。

国中のあらゆる才能を持つ子供を集めた小学六年生のクラス、「S(シード)」クラスが国家プロジェクトとして発足され、その担任として純一郎が任命された。
そのことに不満を持つ教員の古居とSクラスの担任の座をかけてビブリオバトル(本のプレゼン競争)を行うことになる。そこで純一郎は小学生相手に本格的な物理学の専門書をプレゼンした。
物理学にはトンネル効果という概念があり、素粒子の世界では物体が物体を通り抜けることがある。人体や壁も素粒子で構成されているので、人が壁を通り抜けることも、素粒子物理学的には不可能と断ずることはできない。
「この本を読めば、壁を通り抜けたりなどといった魔法が使える」、そんなプレゼンをした純一郎に対し、古居は「現実を見ろ」と吐き捨てるが、純一郎は何食わぬ顔で上記のセリフを返した。
かつて空を飛ぶ妄想をした人間がいるから、現代の人間は空の旅ができる。人の限界を決めつけているのは常に人であり、昔の人から見たら飛行機も魔法と変わらないということである。

現実なんて見るな。他人の言う現実はお前達にとって、常に間違っている。お前達の「現実」は、お前達自身の手で造るモノだからだ。

古居とのビブリオバトルで放ったセリフである。
「現実を見ろ」という古居の言葉に対して純一郎が言ったもの。
他人がどう言おうと自分の現実は自分のものであり、他人が言う現実は全てただの押し付けでしかない。どの現実を進むのか決めるのは必ず自分なのだから、人の言葉にただ流されるのでなく、自分の進みたい道へ進むべきである。

私の願いは、親である女王を殺さないと…叶えられることはない。そのためには城まで攻め上がり、女王の首をとるしかない! ただ、そうしたら敵も味方も死に絶える!! 最後に舞台に立つのは私だけ。…世界は崩壊する。だから、私はこれまでお前たちが好き放題やるのを横目に、ずっと自分の役割を演じてきた。しかしお前たちが、私の願いを叶えるために全てを懸けると言うなら、私はもう我慢しない! 私は――――生きたい。私は世界と…自分の運命と闘うぞ! 戦争だ!!

Sクラスは文化祭の出し物で「白雪姫ネクストジェネレーション」という演目をやることになった。白雪姫を基盤に、個性豊かなSクラス生徒達がそれぞれ演じたいキャラで演じたい内容を演じるという、純一郎の案だった。

白雪姫の役であり、実際にSクラスの「姫」と称される女子、綾子の実家は巨大な悪徳宗教団体だった。
クラスメイトなどが、綾子に近付きすぎるとほぼ強制的に入信させられてしまう。故に綾子は愛想を振りまきつつ周りとの壁を作り、方々に気を配りながら環境や状況をコントロールしてきており、宗教団体の手がクラスメイト達に伸びることはなかった。その綾子の現状をなんとかしようと純一郎やクラスメイトが動くも、綾子は全く動じずに、仮面を被り続けていた。

白雪姫ネクストジェネレーションは、生徒達の個性全開な様々なキャラが白雪姫を助けようとはちゃめちゃに暴れ回っている、筋書のないアドリブ劇の様相を呈していた。自分の役を守りずっと棺桶で眠ったままだった綾子は、そんなクラスメイト達を見ていて、ついに本心が爆発してこのセリフを放った。
白雪姫という劇になぞらえつつ、綾子を助けようとお節介を焼くクラスメイトや純一郎に向けて出た本心。現実でずっと「役割」に徹してきた綾子が、初めて「自分」をさらけ出した瞬間である。

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