LCD Soundsystem(LCDサウンドシステム)の徹底解説まとめ

LCDサウンドシステムは2002年にニューヨークで結成されたダンスロックバンドである。DFAレコーズの創始者であるジェームス・マーフィーによるソロプロジェクトであり、ライブではバンドメンバーを率いてパフォーマンスをする。2005年に「LCD Soundsystem」でデビュー。パンクとダンスミュージックの融合を試みたサウンドで2000年代のポストパンク・リバイバルと呼ばれるムーブメントを牽引した。

LCD Soundsystem 概要

2002年〜2005年

LCDサウンドシステムはフロントマンであるジェームス・マーフィーによって設立されたDFAレコーズにて、いくつかのシングルを製作し、リリースしたことによって始動した。最初のシングル「Losing My Edge」はイギリスのシングルチャートで115位とまずまずの滑り出しだったが、ダーティだと評されるエレクトロなビートが一部のリスナーから注目を集め、アンダーグラウンドでは人気ダンスミュージックのうちのひとつになった。続くシングル「Give It Up」、そして「Yeah」、「Movement」でもコアなリスナーに受け続け、イギリスのシングルチャートで「Yeah」は77位、「Movement」は52位を記録した。

そして2005年1月に代表作でもあるデビューアルバム「LCD Soundsystem」をリリースした。収録曲でもあり、のちにシングルカットされた「Daft Punk Is Playing at My House」は彼らの最初のトップ40を記録した作品となり、最高29位を記録した。オーストラリアやベルギー、オランダでもヒットとなりバンドの知名度を上げるきっかけとなった。今作のリリースツアーをイギリスのミュージシャンM.I.A.とともに行った。

2005年6月、バンドはスージー・アンド・ザ・バンシーズの曲「Slowdive」をカバーした。

2005年12月、バンドはその年のグラミー賞でデビューアルバムがベスト・エレクトロニック/ダンス・アルバム賞、シングル曲「Daft Punk Is Playing at My House」がベスト・ダンス・レコーディング賞にノミネートされた。またデビューアルバムはAmazon.comの編集者が選ぶ2005年の100枚の音楽アルバムのランキングで94位を獲得している。

2006年〜2008年

2006年10月、LCDサウンドシステムはナイキとコラボレーションし、企画盤「45:33」をiTunesにてデータ販売のみでリリースした。タイトルは「45:33」だが、実際の収録時間は45分58秒となっている。

2007年3月20日、LCDサウンドシステムはセカンドアルバム「Sound of Silver」をリリースした。世界的にヒットを記録し、批評家からの評価も大変高く、アメリカのインターネット音楽メディアのピッチフォークでは10点中9.2点の高得点を今作につけている。ガーディアン紙では5つ星を獲得した。アルバムのリリースに先立って、同年2月にシングル「North American Scum」がリリースされている。
その後にリリースしたシングル「All My Friends」にはイギリスのバンド、フランツ・フェルディナンドと元ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのジョン・ケイルがカバーした「All My Friends」が収録されている。デジタルリリースされた「All My Friends EP」にはジョイ・ディヴィジョンの「No Love Lost」をカバーしたものが収録されている。
2007年9月、LCDサウンドシステムはアメリカのバンド、アーケイド・ファイアとツアーを共に行った。2007年の終わり頃にはセカンドアルバムからサードシングルとして「Someone Great」をリリース、そしてデジタルリリースのみだったナイキとの企画盤「45:33」をCDとアナログレコードで再リリースした。同じ頃、バンドはまたも2007年のグラミー賞においてセカンドアルバム「Sound of Silver」がベスト・エレクトロニック/ダンス・アルバムにノミネートされた。ガーディアン紙やUncut、Drowned in Soundなどの音楽メディアは今作を2007年のベストとして挙げていた。タイム誌は「All My Friends」を2007年のベストソング10の中にピックアップしていた。ライターはこの曲における"マジック"とも取れる各楽器の響きが素晴らしいと賞賛していた。のちに「All My Friends」はピッチフォークで2000年代のベストソングで2位を獲得している。

セカンドアルバム「Sound of Silver」のリリースツアーを終えたバンドは21という映画のサウンドトラックに「Big Ideas」という曲を提供した。この「Big Ideas」はローリング・ストーン誌にて2008年の100曲で63位に選ばれている。

2009年〜2011年

2008年12月18日、バンドのメンバーとして活動していたアル・ドイルがインタビューにてバンドの活動が困難になりつつあることを明かしたという噂が広がったが、数日後にアル・ドイルとジェームス・マーフィーはこの噂を一蹴し、新しいアルバムの制作の準備段階であることを述べた。ジェームスはロサンゼルスにて2009年の夏に新作のレコーディングを開始した。2009年のレコード・ストア・デイには80年代のユニット、スーサイドのメンバーのアラン・ヴェガの曲「Bye Bye Bayou」をカバーしてリリースしている。

2010年2月23日にLCDサウンドシステムの公式ウェブサイト上で新作が完成したとアナウンスされた。先行シングル「Drunk Girls」が3月25日にインターネット上にストリーミングで配信された。3月30日にはDFAレコーズのウェブサイトでアルバムタイトルとアートワークが公開された。2010年5月にサードアルバム「This Is Happening」がリリースされた。リリース前にジェームス・マーフィーが今作品に関して、過去の2作よりも完全に良いものになる、と述べていた。そして同時に今作がLCDサウンドシステムの最後のアルバムになるかもしれないことも明らかにされた。
バンドは2010年4月9日と12日にニューヨークにてシークレット・ギグを行った。このギグではアルバムをインターネットにリークしたり、違法ダウンロード、アップロードをすることをやめるようにファンやプレスに訴えかけた。

2010年のレコード・ストア・デイにはバンドは「This Is Happening」収録の「Pow Pow」の12インチシングルを限定1,000枚リリースした。同年8月に雑誌の取材の際にはLCDサウンドシステムを継続していきたい旨を述べている。

しかしながら2011年2月8日、LCD Soundsystemは公式サイトにてニューヨークにあるマディソン・スクエア・ガーデンにて4月2日に最後のライブを行うことを明らかにした。ウェブサイトでのチケット先行販売では回線障害なども起こり、早々に売り切れたことにより、バンドは急遽ウォームアップのライブとして最後のライブの前にニューヨークのターミナル5という場所でもライブを行うことを明らかにした。
最後のライブの一番最後の曲は「New York, I Love You but You're Bringing Me Down」であった。ライブはゲストとしてアーケイド・ファイアなども登場し、約4時間行われた。こうして10年にわたるバンド活動は幕を閉じた。

2011年〜2014年

2011年4月12日にバンドのフェイスブックのページにてジェームスがニューヨークで行われた最後のライブの模様を収録したDVDがリリース予定であることを認めた。それに加え、ラストライブ前のジェームス・マーフィーの48時間を追ったドキュメンタリー「Shut Up and Play the Hits」2012年のサンダンス・フィルム・フェスティバルで上映された。

2013年にはローリング・ストーン誌にて活動を再開してほしいバンドとして取り上げられた。
2014年5月19日にはラストライブの音源「The Long Goodbye: LCD Soundsystem Live at Madison Square Garden」がリリースされた。

2015年〜

2015年10月、シカゴの音楽ウェブマガジンが2016年にLCDサウンドシステムが再結成し、アメリカとイギリスで行われる音楽フェスでヘッドライナーを務めると報道された。しかしながら、バンドが所属するDFAレコーズのマネージャーは再結成の噂は間違いであることを明らかにした。
2015年12月24日にバンドはクリスマスをテーマにしたトラック「Christmas Will Break Your Heart」をリリースした。この曲はジェームスがLCDサウンドシステムのメンバーを集めてニューヨークで録音された。

2016年1月4日、LCDサウンドシステムが2016年のコーチェラ・フェスティバルのヘッドライナーとして発表されたことにより、再結成が事実となった。数日後バンドは正式に再び活動を開始することを発表し、2016年のうちに新しいアルバムをリリースする予定があることも明かした。
2月13日、バンドは新たにコロンビア・レコードと契約した。3月23日、バンドはロラパルーザ・フェスティバル2016のヘッドライナーも務めることをアナウンスした。他にも2016年にはアウトサイド・ランズ、オースティン・シティー・リミッツ、ボナルー、ロウフェスト、ウェイ・ホームフェスティバルでヘッドライナーを務めた。活動休止から初めてのライブは3月27日、28日にニューヨーク・マンハッタンで行われた。

2016年8月、バンドはアルバムの制作のため、アジア圏とオーストラリアのライブをキャンセルした。新しいアルバムは2016年内にリリースされる予定だったが、レコーディングが長引いたことによって延期になってしまった。2017年4月6日にバンドはこの年初めてとなるライブをニューヨーク・ブルックリンで行った。このライブでは「Tonight」、「Call Police」、「American Dream」というタイトルの3曲が初披露された。「Emotional Haircut」というタイトルの新曲も数日後同じくブルックリンでのライブで披露された。2017年5月5日バンドは「Call the Police」と「American Dream」の2曲を両A面シングルとしてリリースした。

2017年6月19日、バンドは4枚目のアルバムは「American Dream」というタイトルに決定し、9月1日にコロンビア・レコードとDFAレコーズからリリースされることを発表した。

LCD Soundsystemのメンバー

James Murphy(ジェームス・マーフィー)

1970年2月4日生まれ、アメリカのシンガーソングライター、DJ、レコードプロデューサーである。
彼の最も有名な音楽プロジェクトはLCDサウンドシステムである。LCDサウンドシステムではボーカル、その他楽器全般を担当する。
2002年にシングル「Losing My Edge」で注目を集める。インディー・レコード・レーベルDFAレコーズの創立者である。
LCDサウンドシステムは基本的に彼のソロプロジェクトである。

主なバンドメンバー

Nancy Whang(ナンシー・ワン)

出典: cdn2.pitchfork.com

ナンシー・ワンはLCDサウンドシステムでの活動で有名なアメリカのシンガー、ミュージシャンである。
ポーランド生まれで、中国系韓国人の両親を持つ。LCDサウンドシステムではヴォーカル、キーボード、シンセサイザーを担当している。
LCDサウンドシステムの他にも、ソウルワックスなどとも仕事を行なっている。

Tyler Pope(タイラー・ポープ)

1977年アメリカ生まれのギタリストである。1996年からアメリカのバンド!!!(チック・チック・チック)のギタリストとして活動している。
LCDサウンドシステムではライブメンバーとして参加し、その他ヘラクレス、ラヴ・アフェアー、ケイクなどのバンドにも参加している。
LCDサウンドシステムではベース、シンセサイザー、ギターなど多くの楽器を担当している。

David Scott Stone(デヴィッド・スコット・ストーン)

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