ヒックとドラゴン(How to Train Your Dragon)のネタバレ解説・考察まとめ

「ヒックとドラゴン(How to Train Your Dragon)」とは、イギリスの児童文学作家クレシッダ・コーウェルの原作をCGアニメ化した作品。知恵はあるが腕力がいまいちのバイキング一族の少年ヒックが、彼がツゥースと名付けたドラゴンと共に冒険を繰り広げるファンタジー・アドベンチャー。世界興行で5億ドル近い大ヒットを放ち、14年に続編「ヒックとドラゴン2」が作られた。

体格は良いが、うぬぼれの強いバイキングの少年。ドラゴン退治の訓練でも良いところを見せようとするが、後先を考えずに突っ走ってしまい、あまりうまくいかないようだ。アスティに気があるのか、訓練の時に彼女を口説こうとするがこちらもうまくいかない。

タフ&ラフ(声:T.J.ミラー&クリステン・ウィグ、日本語吹替:南部雅一&村田志織)

バイキングの双子の兄妹。二人とも口が悪く、いつも口げんかばかりしている仲が良いとは言えない双子。でも、巨大ドラゴンとの戦いでは、力を合わせて危ない状況に陥ったスノットを救うなど、ナイスな活躍を見せる。

『ヒックとドラゴン』の名シーン・名場面

ヒックがアスティと共にトゥースに乗って大空を飛翔

ヒックがアスティをトゥースに乗せて初めて一緒に空を悠々と飛びまわる、なんとも爽快で美しいシーン。
最初は怖がっていたアスティも、いつしか海の上や雲間を流れるように飛んでいく中で、ヒックの気持ちを理解しはじめ、これって最高の気分だわと両手を高く上げて思わず口ずさんでしまい、トゥースの頭をそっと撫でる。そして、ヒックにもたれかかり、彼の腰に腕をまわす。
憧れだったアスティが自分に心を開いてくれたんだと喜び、笑みを浮かべるヒック。
まるで実写映画さながらの大自然のリアルな風景描写と、ジョン・パウエルの穏やかにして雄大な音楽もあいまって、心にグッと来てしまう名場面だ。

ドラゴンの棲み家での巨大ドラゴンとヒック達との豪快バトル

トゥース救出のためドラゴンの棲み家に飛んできたヒックたちが、巨大ドラゴンとバトルを繰り広げるスリリングで迫力満点のシーンだ。
戦いのさなか、ヒックがトゥースに乗って巨大ドラゴンに立ち向かおうとしたとき、ストイックが自分が誤解していたことを謝り、無理して戦いに行くことはないと息子に語りかける。それに対し「われ等バイキング、危険は付きものだろ」と凛々しく答えるヒック。「お前が息子で誇りに思う」と息子の手を握りしめるストイック。初めて父と子の気持ちが通じ合った瞬間を目の当たりにして胸がジーンときてしまう。
そして巨大ドラゴンを倒したあと、トゥースが愛する大事な息子の身を守ってくれたことに感謝し、ストイックがトゥースの頭に手を置き「ありがとう」と語りかける。父と息子の絆、そして息子とトゥースの絆に父が理解を示す、心に染み入る見応えたっぷりの場面でもある。

『ヒックとドラゴン』のスタッフ

監督:ディーン・デュボア&クリス・サンダース

ディーン・デュボアは、1970年生まれで80年代末からカナダのアニメ作品に関わったのち、ディズニー作品「ムーラン」「アトランティス 失われた帝国」に参加。「リロ・アンド・スティッチ」をクリス・サンダースと共同で監督し、高い評価を受ける。「ヒックとドラゴン2」ではデュボア単独で監督し、2015年ゴールデン・グローブ賞アニメ作品賞やアニメ界のアカデミー賞と言われるアニー賞を受賞し、アカデミー賞・長編アニメーション部門にもノミネートされた。「ヒックとドラゴン3」の公開は2019年春に予定されている。
なんでも、「ヒックとドラゴン」は3部作として考えられていたそうで、「ヒックとドラゴン2」に登場したキャラクターや出来事が「3」では重要な役割を果たすらしく、3本を通して見て初めてその壮大な物語を堪能することができるんだとか。

クリス・サンダースは、1962年にアメリカのコロラド州で生まれる。ディズニー作品「ビアンカの大冒険 ゴールデン・イーグルを探せ!」(90)でキャラクターデザイン他を担当し、「アラジン」「アラジン」「ムーラン」などに参加。カーク・デミッコと共同監督した、ドリームワークス作品「クルードさんちのはじめての冒険(原題:The Croods)」(14)が世界30ヶ国でナンバーワン・ヒットを放つ。「リロ・アンド・スティッチ」では、主人公のスティッチの声も担当する多才ぶりだ。

「ヒックとドラゴン2」は、日本では劇場未公開・ソフトスルーとなったが、劇場公開されないことを知ったファンが署名活動を行ったとき、ディーン・デュボアも署名に参加し日本での公開を望んだとか。その甲斐あってか、2015年3月に東京アニメアワードフェスティバル(TOHOシネマズ日本橋)で1日限りの限定公開が無料で実施された。
「クルードさんちのはじめての冒険」も、世界的大ヒットにもかかわらず、日本では劇場未公開・ソフトスルーとなった。

『ヒックとドラゴン』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

黒いドラゴン、ナイト・フューリーは、原作では緑と赤の色だった

映画に登場したトゥースことナイト・フューリーは、コーウェルの原作では緑と赤色の小さなドラゴンだったが、彼女の許可を得て見栄えが良いように黒一色にし、ヒックやアスティが乗ることが出来る大きさに変更したんだそうだ。

ヒックとトゥースのキャラクターデザインを担当したのは、日本人・野口孝雄

ドリームワークス・アニメーションに在籍しているキャラクターデザイナー・野口孝雄がデザインしたヒックのキャラを監督が気に入り、トゥースのデザインも彼が任されたそうだ。
作品では、他のドラゴンが爬虫類をベースにデザインされているのに対し、トゥースには哺乳類を感じさせるデザインを心掛けたらしい。
大まかなフォルムは、野口氏が子供の頃に近くの田んぼで捕獲することができたアカハライモリがベースになっているそうだが、ウーパールーパーや古代魚なども参考にし、親しみやすいトゥースを作り上げたんだとか。
ちなみに、野口氏は、クリス・サンダース監督「クルードさんちのはじめての冒険」にも参加し、この作品でアニー賞・最優秀キャラクターデザイン部門賞を受賞している。

宮崎駿作品の影響がうかがえる場面の数々

guruguruguru6
guruguruguru6
@guruguruguru6

目次 - Contents