ホタルノヒカリ(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ホタルノヒカリ』とは、ひうらさとるによって2004年から2009年まで『Kiss』に掲載された漫画作品。2007年に綾瀬はるか主演にてテレビドラマ化され、2010年に『ホタルノヒカリ2』、2012年には『映画 ホタルノヒカリ』と続いた。恋愛するより家で寝ていたいと思っている27歳の干物女雨宮蛍が、枯れ果て忘れていた恋心を取り戻す物語。

『ホタルノヒカリ』の概要

『ホタルノヒカリ』とはひうらさとるによる日本の漫画作品。講談社「Kiss」にて2004年No.16から2009年No.13まで掲載された。全15巻。2007年7月日本テレビにて綾瀬はるか主演でテレビドラマ化された。2010年7月、ホタルノヒカリ2が放送。2012年6月ホタルノヒカリ2のその後の物語が映画化された。

SW社に勤める27歳独身の雨宮蛍は、会社では有能な仕事ぶりを見せるOLだが、家に帰るとジャージにちょんまげ、片手にビール。合コンよりも家でゴロゴロするのが大好きな干物女だった。それがある日、上司の高野部長と同居することに。
高野部長と新進家具デザイナーの手嶋マコトを相手に、枯れ果てた干物女が数年ぶりの恋愛に向き合う物語。

20代の女性であるにも関わらず、平日は会社から帰るとだらだらと漫画を読み、一人手酌で酒を飲む。休日はぐうたらと過ごすことを至上の幸せと感じている、だらけて恋愛から遠ざかっている女性を干物女といい、主人公・蛍の性格や生活スタイルなどに共感を持つ女性たちに高い人気を誇った。

『ホタルノヒカリ』のあらすじ・ストーリー

干物女・雨宮蛍

干物女と称された蛍。

雨宮蛍(あまみや ほたる)は恋愛よりも、家でゴロゴロ寝ていたいタイプである。
ある休日、いつものように家でゴロゴロしていると、会社の部長である高野誠一(たかの せいいち)が現れた。蛍が住んでいる家は、飲み屋で意気投合した高野の父親から借りていたのだ。

高野は、妻との別居を機に家に戻ってきたのだが、27歳という年頃でありながらジャージにちょんまげ姿、部屋は片付いておらず汚い。高野は蛍に激怒し呆れ、恋愛にも縁がない蛍を「干物女」と言い切った。
蛍に出ていくように言う高野だが、泣き落としに負けて仕方なく内緒で同居することになった。

干物女の恋

蛍の務めるSWインテリア事業部に、新進気鋭のデザイナーの手嶋マコト(てしま まこと)がやってくる。若く才能あふれるマコトは事業部のアイドルで、蛍もマコトに憧れる一人だった。
ある日、蛍はマコトのサポートを任されるものの、舞い上がって大失敗してしまう。落ち込む蛍を慰めるマコト。会話の最中、バランスを崩した蛍を支えたマコトは、思わず蛍にキスをしてしまう。マコトは蛍のことが少し気になっていた。
動揺した蛍は、マコトを突き飛ばして家に逃げ帰った。

家に戻り高野に、男は好きでもない女にキスをするのかと聞いてしまう蛍。高野が惚れた女にしかしないと答えたのを聞き、蛍はマコトとの恋愛を頑張ってみようと決めた。
蛍はマコトからの連絡を待つが、一週間何もなく過ぎてしまう。マコトが関わった仕事のパーティーの司会を任され、マコトをパーティーに誘うものの、断られてしまい落ち込む蛍。マコトは蛍に嫌われていると勘違いし、蛍を避けるようになっていた。

気持ちを切り替えてパーティーの司会をしていると、マコトが遅れてだが来てくれた。蛍はマコトに家具の感想を聞かれ、家具だけでなくマコトのことも好きだと伝えた。マコトは「俺のほうが絶対好き、彼氏になってもいい?」と答えて、二人は付き合うことになった。

恋愛から遠ざかり経験も乏しい蛍は、高野にアドバイスをもらい、ぎこちないながらも恋は進んでいった。

恋のライバル

蛍とマコトは新しいプロジェクトで、LD社の三枝優華(さえぐさ ゆうか)と一緒に仕事をするようになった。優華はロンドンでマコトと知り合い、マコトに好意を寄せていた。
優華は、蛍とマコトが付き合っているのを知っていたが、構わず積極的にマコトにアプローチしていた。
蛍はマコトの仕事の打ち上げのためにパーティーを企画するものの、優華が企画したパーティーのレベルの高さに圧倒され、パーティーは開催できずに終わってしまう。

優華が企画したパーティー当日、蛍は優華を僻んで卑屈になっていた。そして、パーティーにはいかずに、同日開催されていた同窓会に出かけてしまう。その同窓会で、好きだった男子と一緒にいた女子が付き合っていると思い込み、事実確認をする前に諦めてしまっていたことが判明する。

思い込みと僻みから失敗した当時と今の状況が重なり、反省する蛍。蛍はパーティーに向かい、みんなの前で優華に「マコトは譲れない」と言った。
マコトも蛍の気持ちに答えて、二人は公認のカップルとなった。

同居解消

公認のカップルとなり幸せな蛍だったが、マコトの前で素の自分を出せず、リラックスできないでいた。蛍のリラックスは、干物姿で高野と縁側でビールを飲みながら過ごす時間だった。
マコトは自宅に呼んでくれない蛍に不安を抱いて、アポなしで蛍の家に行った。蛍は高野に連絡を取り、同居がバレることをなんとか避けた。

突然の訪問にも、優しい対応で家庭的な蛍を見たマコトは、同棲を提案する。蛍は聞こえないふりをしてやりすごした。これをきっかけに、蛍は自立するのを真剣に考え、庭にテントを張って住んでみたりする。
挙動不審な蛍の姿を見て、事情を察した高野は自ら家を出て行った。
高野は蛍との同居を解消したものの、心配で蛍をほっとけないという思いだった。

ある休日、蛍の甥っ子2人にたまたま会った高野は、一緒に蛍の家に行くことにした。
久しぶりに帰った家は、蛍と初めて出会った時のように汚くなっていた。かつてのように叱られ、掃除をさせられる蛍。綺麗になった部屋の縁側でビールを飲む2人。
蛍は、高野が復縁してマンションに戻っていたと思っていたが、実際は「ヨリが戻らないことに話が収まった」という話を聞く。

なぜこの家を出ていく必要があったのかと聞く蛍に高野は、2人で住んでいたこの家にマコトを泊めたことが原因だと告げる。高野の言葉に、蛍は激しく動揺した。

カミングアウト

蛍とマコトは、マコトの友人の結婚式に2人で出席することになった。
花嫁を見て結婚を意識してしまう蛍は、以前言われた同棲のことをマコトに聞いてみる。マコトに「このまま一緒に住みたいくらい」と言われ、プロポーズと思い込んだ蛍は、話の途中で逃げてしまう。

数日後マコトに連絡を取るが、マコトはニューヨークに行くところで、詳しい話はできなかった。マコトがニューヨークから帰ってくると、プロポーズされるのではと早とちりする蛍。マコトにその気配がなく、結婚が意味のあるものかわからないとも言われてしまう。蛍は振られたと思い、落ち込んでしまう。
一方のマコトは、友人から蛍に誤解を与える言い方だと指摘され、誤解を解くために蛍の家に向かう。

高野のマンションが水浸しになり、一時的に高野と同居を再開していた蛍は、マコトが家に向かっていることに焦る。なんとか同居がバレずに済むも、バレた時にマコトにショックを与えると感じて、正直に話すことを決めた。
マコトに高野との同居のことを一から話し、ここからもう一度始めたいと訴える蛍。しかし、気持ちの整理がつかないと言われ、マコトには受け入れて貰えなかった。

マコトは蛍の告白に混乱していた。蛍が家の時間を大切にしていることを知っていたマコトは、その相手が高野と知り悶々としていた。それでも、今まで蛍と過ごしてきた時間やバレずに済んだことをあえて告白した蛍に、向き合わなければと考え始めていた。

ある日、仕事場で偶然あったマコトと高野は、2人で話すことにした。マコトは高野に諭され、高野に対する対抗心から「今すぐ一緒に暮らそう」と蛍に伝えた。

干物女の別れ

マコトと暮らすために荷造りを始める蛍。そんな時に、高野が事故に遭ったと連絡が入った。
手術をするための同意が必要なため、高野の妻の連絡先を知るために、蛍は高野のマンションに向かう。

マンションに行くと、出していない婚姻届と指輪を見つけてしまう。高野は結婚していなかったという事実を、妻が出ていって初めて知ったのだった。10年も一緒に暮らして信じていた人に隠し事をされ、高野はショックを受けて悩んでいたのだ。蛍はそんな高野を放っておくことができず、マコトに同棲は待ってほしいと伝える。
マコトは了承したものの、高野と蛍の絆の強さを見た気がして、内心穏やかではなかった。

病院で高野に付き添う蛍は、引っ越しの準備と看病で余裕がなくなり、綺麗に装うことをやめて干物姿で動き回っていた。その姿をマコトに見られてしまう。
蛍の干物姿を自然に受け入れている高野を見て、マコトは蛍を受け入れることは無理だと感じ、別れを告げた。

マコトに振られるも、蛍はまだマコトを好きだった。マコトの元に向かうも、話せずに追い返されてしまう。
自立しなければ今までと変わらないと思った蛍は、高野の家を出てとりあえずウィークリーマンションに住むことを決めた。

別れたことを誰にも告げていない蛍は、「手嶋マコト作品展」という企画を任され、複雑ながら懸命に取り組む。作品展は好評で、オープニングパーティーにも沢山の人が集まった。パーティーでは海外のアーティストから、マコトと共に蛍もニューヨークに来るように誘われてしまう。うろたえる蛍の前でマコトは、蛍と別れたことを宣言する。大勢の前で別れを発表された蛍は、いたたまれない気持ちになり、誰もいない裏口で一人泣いた。

蛍とマコトが上手く行っていると思っていた高野は、蛍が振られたことを退院後に知った。高野は蛍に会って蛍の仕事ぶりを褒め、作品展のブログにマコトがコメントしているのを知らせた。
蛍はマコトの蛍に対する感謝のコメントを見て、辛いやりきれない気持ちが和らいだ。

定住先が決まらず、貯金も底をついた蛍。高野から初めに戻ればと助言を受け、元居た家に戻る蛍。そこにはいるはずのない高野がいた。高野はマンションを売り、ここで暮らしていた。
身の丈にあった生活をしろ、というつもりで言った助言だったが伝わらず、蛍は戻ってきてしまった。高野は仕方なく蛍を家政婦として雇うことにし、2人で同居を始めた。

高野の恋

蛍と再同居を始めた高野は、自分も恋愛してみようかと、軽口を叩いていた。すると本当に、高野の前に女性が現れた。
女性は高野の亡き親友の妻の葵とその子供だった。葵は娘のために父親を探しており、高野に目をつけたのだ。

葵は休日に家に押しかけ、高野にアプローチする。娘も母と高野をくっつけようとするが、蛍に邪魔をされる。
高野は、まだ父親が亡くなって3年なんだから、無理して見つけなくてもいいのではないかと葵を諭す。蛍と住んでいる家に、他人を受け入れることはできないと伝えたことで、葵は高野を諦めた。
高野は他人を家に入れたことを蛍に謝った。

蛍は高野と住む家に、他人が入り不快に感じた気持ちが恋だと気づいた。

再会

高野に向かって恋を頑張ろうと決めた矢先、高野の前妻の深雪から、高野の父が怪我をしたという連絡が入る。
沖縄に移住した父は、偶然沖縄で店を出していた深雪と会って、看病をしてもらっていたのだ。高野が沖縄に向かったことで、いてもたってもいられない蛍は、追いかけて沖縄に向かった。
都合よく沖縄での仕事が入り、仕事をこなしつつ高野に会いに行くことにした蛍。

仕事でアーティスト村を訪れると、偶然マコトと再会した。2人は別れの際に言えなかったことを語り合い、和解することができた。蛍はマコトに高野への思いを正直に告げた。そして、高野に会いに深雪の店に向かった。
そこには安心した様子で、和やかに深雪と接する高野の姿があった。ショックを受けた蛍を慰めるマコトは、高野に一泡吹かせないかと提案する。

なりゆきで4人で休日を過ごすこととなり、高野とマコトはフリークライミング、蛍と深雪は体験教室と別行動をする。
蛍は笑顔で振る舞う深雪に我慢できず、深雪のせいで高野がどんなに傷ついたかと問い詰めてしまう。深雪はちょっとした我慢が積み重なって、2人の間に大きな隔たりができていたと話した。
そして、気持ちが若い頃のまま、気持ちが終わっていたと語った。

マコトは、高野の大人ぶった態度が気に触り、蛍とよりを戻しニューヨークへ連れていくと宣言してしまう。もちろんこれは、一泡吹かせたいマコトの嘘だが、真に受けた高野は激しく動揺する。

干物女の告白

沖縄から戻った高野に冷たくされ、仕事に身が入らない蛍。同じプロジェクトに参加するマコトも東京に来ていた。マコトは本当に蛍をニューヨークに誘っていた。

高野の態度とマコトの誘いで、蛍は仕事に行き詰まっていた。そんな蛍に高野は、冷たくしたことを謝った。高野は、妻とのことに決着をつけようとしていたのに、中途半端なところを見られてバツが悪かったという。
蛍がヨリを戻すのかと聞くと、そんなことはしないと微笑む高野。それを聞いた蛍は、「部長が好きなんです」と告白した。

高野は蛍の告白を、気の迷いもしくは同情だと切り捨てた。蛍は自分の気持を否定されたことに怒り、家を飛び出してしまう。
体調を崩した蛍は、マコトに付き添われて帰宅する。その様子を面白がった同僚に後をつけられてしまい、高野と蛍が同居していることがバレてしまい、会社全体に知られてしまった。
たまたま東京に来ていた蛍の姉がその情報を知り、高野に怒鳴り込む。高野は蛍の気持ちや社会的な責任などを考えて、「蛍と結婚させて下さい」と思わず口走ってしまう。

姉から高野が結婚すると言っていると聞いた蛍は、高野に真相を確かめる。高野はお互いの欲求と社会的責任を統合すると、結婚するのがベストという結果が出たと言う。
高野の仕事のような割り切った発言と急展開に唖然とする蛍。

高野は会社を立ち上げ独立するため多忙であったが、蛍のために色々と動いてくれていた。2人の家も区画整理のために立ち退かなければいけなかった。高野は新しい家を探してくれているが、蛍は気持ちが追いつかずにいた。
そして、今までの幸せは全て高野が与えてくれていたことに気づく。蛍は高野と対等な恋愛をするためには、自立した大人にならなければいけないと、別れを決意する。

高野は独立し、蛍は大阪支社に転勤となった。

エピローグ

5年後、蛍は仕事に励み、確実にキャリアアップしていた。以前高野にもらった桜の盆栽を大切に育て、高野に見てもらうことを励みに頑張っていた。
そして東京に戻った蛍は、高野と暮らしていた家に似た古民家を購入し、桜を植えた。
高野の会社とコンペで競うことになり、負けたものの、対等に渡り合える成長を見せた。

ある日の休日、街で偶然高野に会った蛍は、桜を見てもらおうと家に誘うが断られてしまう。落ち込む蛍だが、これからも高野が好きなんだと気づく。
高野に向き合うため、高野の自宅を訪ねようとすると、蛍の家にいると高野から連絡が入る。慌てて家に戻ると、縁側に座って文句を言ってくる高野の姿があった。その光景は一緒に暮らしていた頃のようだった。

高野と穏やかな時間を過ごすうちに、蛍は「干物女」と以前言われたことを思い出す。干物は悪い言葉ではないと反論していると、高野は「何がよくて悪いのか、人生と同じで最後まで分からないけど、蛍と一緒ならこれからも一生オレは楽しい」と告げる。
2人はようやく結ばれることができた。

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