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taka51f13のレビュー・評価・感想

フルメタル・ジャケット
9

ベトナム戦争の凄惨さを非凡な演出で描き出す、鬼才キューブリックの怪作映画

「フルメタルジャケット」とは軍隊用語で銃弾のうち「完全被甲弾」を意味します。スタンリー・キューブリックが共同脚本、監督、製作にあたった1987年の映画作品の題名でもあります。映画『フルメタルジャケット』にはマシュー・モディン、リー・エルメイ、ヴィンセント・ドノフリオ、アダム・ボウルドウィンらが主演しています。映画の脚本にはキューブリック、マイケル・ハー、グスタフ・ハスフォードが名を連ねており、ハスフォードの1979年の小説『短期除隊兵』を原案としました。作品のストーリーラインは2つの部分に分かれており、前半は海兵隊の小隊が南カリフォルニアの新兵訓練所で教官にシゴキあげられる顛末。新兵ジョーカーとパイルが教官の先任軍曹ハートマンからの陰湿なイジメにあって、遂にハートマンを射殺する。第二部では、テト攻勢下のベトナムで、ベトナムの都市ダナンとフエで北ベトナム正規軍の狙撃兵と対峙する小隊の体験が描写されています。映画のタイトルの「フルメタルジャケット」(完全被甲弾)は米国海兵隊の小隊兵が使用する銃弾の種類のことを言い当てています。
米国での映画の後悔は1987年6月26日。製作費1600万ドルで収益が4640万ドル。キューブリックとハー、ハスフォードがアカデミー脚本賞にノミネートされました。

銀と金 / Gin to Kin
8

伝説の福本作品『銀と金』

ギャンブル中毒だった無一文の主人公、森田鉄雄は競馬場で裏社会のドン・平井銀二に出会う。銀二の才覚・カリスマ性に感化された鉄雄は、悪党が暗躍する裏社会で生きていく決意をする。銀二は裏社会での様々な駆け引きや死闘を通して成長していく森田鉄雄を後継者にするべく期待と信頼を抱くも、ある出来事をきっかけに二人は別々の道を歩む。勝敗に関わる駆け引きがストーリー随所に現れる本作。
例えば、最初に銀二が森田を相棒として相応しいか確かめる為に森田に課した問いがあります。「5000万円で人を殺してほしい」。性悪説を肯定するかのような銀二の誘いを森田は最終的に断るのですが、このような心理的描写が複数現れます。
のちの、画商・中条との戦いでは絵画の目利き勝負を挑み、札束で「金の橋」を作る名場面ですが、この回でも巧みな作戦で中条の目を欺きました。頭脳戦が特徴的な本作ですが、漫画バージョンで印象に残る回があります。それは伝説の仕手戦の後、暴力団がらみの仕事で対峙する羽目になった殺人鬼・有賀研二との死闘です。狂気的な殺人能力を誇る有賀は自身の監視人を次々と殺害し、森田はただ一人密室で有賀と戦うことになるのですが、これがなかなかの迫力。森田は類まれな発想でなんとか有賀の刃を躱し、最終的に銀二に救われるのですが、これは素晴らしい手に汗握るアクション回でした。

僕のミッシー
8

ミッシーみたいな女性はなかなかいない

ティムがブラインドデートしたミッシーは、かなりぶっ飛んだ女性だった。
そのデートでひどい目にあわされたティムは、ミッシーとは二度と会わないつもりでいた。
そんなある日、出張に向かう空港で魅力的な女性と出会う。
その女性の名は『ミッシー』。
つい先日出会った、ぶっ飛んだ女と同じ名前だった。
そこで、事件が起こる。
ハワイでの社員旅行に、理想のミッシーを招待したと思ったら、間違えてぶっ飛んだ方のミッシーを誘ってしまったのだ。
とにかく、ぶっ飛んだ方のミッシーが強烈!
いい意味でも悪い意味でも、一度会ったら忘れることができないだろう。
しかし、次第にティムは彼女のそういう、社会通念に捉われることなく物事を見るところや、自信に満ち溢れている様子、正直で、誰に対しても媚びることがないミッシーに、次第に魅了されていく。
自分にぴったりで完璧な相手はもちろんいいが、自分という垣根を越え、新たな世界や価値観を教えてくれるミッシーと居る方が楽しい。
ティムの成長と心境の変化にも、注目したいところ。
コメディとしても良くできた、良作。

かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜 / Kaguya-sama: Love is War
10

最高!恋の感情

誰もが経験する若い頃の恋のもどかしさや切なさを、ギャグで楽しく見られます。主人公とヒロインとその仲間を通じて、人間関係の面白さと仲間の大切さ、ドキドキの行方がとても面白く、まるで自分の夢の中で物語が進行していくようなアニメです。
恋愛で優位に立とうと頭脳戦を繰り広げるのですが、次第に恋の魅惑に取り憑かれ頭脳では理解できないような関係まで発展していきます。
恋は盲目というように、人を好きになることの素晴らしさと共に愚かさをうまく表現してくれています。
登場キャラクターも多彩で、頭はいいけど空気が読めないキャラや、ものすごくネガティブだけど頭がいいキャラなどシチュエーションも豊富でたくさんの恋の形を見せてくれます。
このアニメを見て私自身も恋の美しさを知りましたし、疑似恋愛したような錯覚に囚われました。
たかがアニメ、されどアニメ。このアニメから伝わってきたのは人を好きになるという複雑な感情です。
時に苦しく時に切なく時に嬉しく。喜怒哀楽を感じさせてくれます。
学生時代に好きになった人を思い浮かべましたし、何よりもこのアニメを見て幸せな気持ちを味わえました。

お父さんは心配症
8

少女漫画に咲いた異質な変態ギャグの世界

一部に熱狂的なファンがいると噂される、岡田あーみんの代表作。とても少女漫画雑誌「りぼん」に載っていたとは思えないディープかつエキセントリックな笑いが楽しめます。しかも巻を進めるごとにその暴走ぶりが加速するのでもはや手に負えません(笑)。登場人物は佐々木光太郎という心配性すぎるお父さん、娘の典子、典子の彼氏である北野という三人が中心ですが、わき役のキャプテン、緒方親子、寝棺親子など、みな超個性的。ほぼまともな人は出てきません(笑)。お見合い相手の安井さんもまともなようでちょっと変です。ただ、笑いがストレートで嫌味がないので、素直に笑えます。いや大爆笑です。ただただ笑いたいときにおススメです。ちょっとした言葉遣いの巧みさ(「にんべんに夢と書いてはかない」「水泳は苦手ですが垂涎は得意です」等)からは、天才的センスすら感じます。単行本の4巻には同時期に「りぼん」で連載していたさくらももこ「ちびまる子ちゃん」とのコラボも載っています。コラボ後のおまけページではお互いのエピソードや作者紹介も描かれていてなかなか貴重です。岡田あーみんは他に「こいつら100%伝説」「ルナティック雑技団」があり、どちらも安定した面白さですが、やはり「変態ギャグマンガ」というジャンルを築き上げたこの作品のインパクトが一番です。