少女漫画に咲いた異質な変態ギャグの世界
一部に熱狂的なファンがいると噂される、岡田あーみんの代表作。とても少女漫画雑誌「りぼん」に載っていたとは思えないディープかつエキセントリックな笑いが楽しめます。しかも巻を進めるごとにその暴走ぶりが加速するのでもはや手に負えません(笑)。登場人物は佐々木光太郎という心配性すぎるお父さん、娘の典子、典子の彼氏である北野という三人が中心ですが、わき役のキャプテン、緒方親子、寝棺親子など、みな超個性的。ほぼまともな人は出てきません(笑)。お見合い相手の安井さんもまともなようでちょっと変です。ただ、笑いがストレートで嫌味がないので、素直に笑えます。いや大爆笑です。ただただ笑いたいときにおススメです。ちょっとした言葉遣いの巧みさ(「にんべんに夢と書いてはかない」「水泳は苦手ですが垂涎は得意です」等)からは、天才的センスすら感じます。単行本の4巻には同時期に「りぼん」で連載していたさくらももこ「ちびまる子ちゃん」とのコラボも載っています。コラボ後のおまけページではお互いのエピソードや作者紹介も描かれていてなかなか貴重です。岡田あーみんは他に「こいつら100%伝説」「ルナティック雑技団」があり、どちらも安定した面白さですが、やはり「変態ギャグマンガ」というジャンルを築き上げたこの作品のインパクトが一番です。