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sekireimonのレビュー・評価・感想

ガールズ&パンツァー / GIRLS und PANZER / ガルパン / GuP
9

新作を重ねる毎に傑作を更新するおそろしい作品

2ちゃん感想などで、オリジンのテレビアニメ第三話あたりで「戦車がかっこいだけのアニメ」という評が出ていた。正にその通りの作品である。そしてこの表現は例外としてポジティブにはたらく稀有な作品でもある。
個人的にかつてのアスキーメディアワークスの電撃ホビーマガジンでのかなり前からの放送前日からの特集により、しつこいくらいの印象がつけられていたが。その時はよくある「美少女と戦車」などというタイトルであっても畢竟「戦車どこいった?」の美少女が、きゃーのいやーんのイエローボイス聞かされるだけの気恥ずかしくて見ていられないものでしかないであろう予測はたてていた。
カレントに疎いものの第一話冒頭の背景動画のすさまじさから「おもしろいのは第一話開始数分だけなんだろうな…」という不安と対になるような、製作遅延の果ての最終回放送が、正直本当の意味で「待っててよかった!」と言える作品が生まれて初めてなほどの体験をさせてもらえた作品だった。そしてそれ以降、やりきったスタッフの「もういいじゃないですか…」感ともうらはらに劇場版、場つなぎのOVA作品、
そして最終章版。新しく登場する作品により過去作が色あせる…。これ以上最高のものはできないだろうを毎回更新してしまうおそろしい作品である。個人的にこれもテレビアニメシリーズ全部を見終わってから動画サイトで番組開始の宣伝動画を見たのだが。何故このような事が可能だったかの答えはそこにあった。
「パンチラはありませんby監督」この点は問題点でもあるのだが当記冒頭の「戦車がかっこいいだけのアニメ」。これを思い出してほしい。戦車以外は全くおもしろくないのだ。
例外はある。「戦車がかっこいい」に添える美少女の役割である。早い話前記もしたが、他の作品では当該メインモチーフがどこかへいってしまって単なる美少女かわいいでしょう?欲情に訴えるでしょう?欲しいでしょう?の「売り方」であるのに対して、この作品はひたすら「戦車がかっこいい」のみに力点を置き、美少女単体の描写やエピソードがかなりいいかげんなのである。深刻そうな事象を盛り込むものの結果単にそういう事が出てきただけで終わり全く本道とのからむ点がなかったりする点である。
この手法は『S.S.S.GRIDMAN』でも人のパートとヒーローのパートでスタッフが完全分離した形で行われたそうだが、ここでも美少女のみのパートと戦車の部分のパートは完全にわけて作業されたのであろう。これこそ完全に他作品と全く違う本来の美少女売りと全く違う、美少女置いてけぼりな稀有な例なのである。
無論力量はこの作品では戦車の登場場面に軸足を徹底して重く置かれている以上、美少女の部分はやりたい事はやらせてもらえるが、担当した者の力量が及ぼうが及ぶまいが。早い話完全放任の末「これはいったいなんだったんだ?」ほどの本道からの無意味さになってしまっても、本道の「戦車がかっこいだけ」のスタッフのメインストリーム層にはおかまいなしに、その「戦車がかっこいいだけ」の巧緻を極める事に専心していたのだろうと思う。その事が殆ど「最後の男の子向けアニメ」という感を個人的にはしてしまう一抹の寂しさもあった。
ボークスでのイベントだったろうか、この作品の「大音響上映会」というものがあった。「戦車がかっこいいだけ」は、鋼鉄の軍勢がその驚嘆たる膂力となにものも傷一つつける事のかなわぬ鉄壁の頑強さを持った鉄塊が、轟音や摩擦の火花をあげてぶつかり全てを完全に破壊する大火力の咆哮をあげ、その場所にいるものに音ひとつだけでそこが戦場である完全なる緊張感に支配される。最早そこには「戦場」というものに支配され一指たりとも動く事かなわずな状態になってしまう…。
よくある美少女メインを単なる添え物に落とし、本来の「男の子らしい」エンタメにしたてながら尚且つ「いいかげん」なふわふわしたもので深刻さをなくした状態で、やはり「男の子らしい」興奮と余韻を残す。この点がこの作品の特に傑出した優秀な点であろう。
それが象徴的である、というのはいささか違うが、巨大な戦車の上に小さな美少女がちょこんと乗っているあの姿は、男女の理想の姿にも見えた。
劇場版クライマックス戦での描写は特に象徴的で、戦車=男の扱いな下手なひと…エリカさんなんかはやれあっちいけこっちいけどなりちらして上手い事いかなかったら「なにやってんのよ!」とまた怒鳴る。それが怒鳴るだけで全く効果的に働いていない。
対してアリスちゃんは戦車=男との信頼ができているので、手信号だけで男は動く。なんだったら信頼は経験則に基づいているので女が指示しなくても自分の方から動き女は余計な指示をしない。もし修正が必要なら怒鳴る事もなく端的に静かに言うか、手信号。表情だけでもいいのかもしれない…。

女性の方が視野は広いと言われている。賢い女性と本来「盾」の役目としての男の理想的な姿…。
無論そんなものがないからこそ、この作品が「創作物」として憧憬の意味も込めて評価される所以のように思える。

るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚- / るろ剣 / Samurai X / Rurouni Kenshin
9

るろうに剣心 不殺(ころさず)を誓った伝説の剣客「人斬り抜刀斎、緋村剣心」が繰り広げる王道バトル漫画

幕末期、倒幕派の志士として多くの人々を殺め、伝説の剣客「人斬り抜刀斎」と恐れられた「緋村剣心」は幕末の動乱終結と共に姿を消した。

時は経ち、明治11年の東京。物語は「不殺(ころさず)」を誓い10年間、流浪の旅をしてきた剣心が、剣術道場の師範である女性、「神谷薫」に出会うところから始まる。ある事件で薫を助けた剣心は、薫が営む道場に居候することになった。薫の道場で暮らしながら、周辺で起こる事件を、人が斬れない刀「逆刃刀」を駆使して解決し、やがて剣心の評判は高くなり、彼の正体が人斬り抜刀斎であると気付き近づく者も現れ、人斬りの感覚が目覚めていくことに葛藤していくが、薫がそばにいながら剣心を支えていく。

しかし、かつての仲間、「志々雄真実」が京都で暗躍し、国内でまた動乱が起こりそうだと感じた剣心は、自らの意志で薫に分かれを告げ、道場を去る。
志々雄真実を倒すべく、更なる力を手に入れたい剣心は、逆刃刀をくれた刀匠、剣術を教えてくれた師匠の元を目指す。

心優しい青年はなぜ人斬りになり、人斬りを辞めたのか?
時代の動乱、師匠との出会い、そしてある女性の存在が「人斬り抜刀斎、緋村剣心」作り上げ、その時出来た「ある私怨」が日本の行く末を左右する事件に繋がる。

自身で切り開いた新たな時代、「明治」に答えと生き方を見出していく一人の剣客物語。

トレーニング デイ
8

デンゼル・ワシントンが本当に悪い男

今日1日をトレーニングデイにってことで、濃い一日の話でした。アロンゾはすごく嫌な奴だけど、それくらいの警官はいるっていう汚職警官役なのかなと思っていたら、本当の悪役でびっくりしました。デンゼル・ワシントンってちょっといい人っぽい顔って気がしていたので、こんな悪い役もするのかって思いました。でも、彼が悪ければ悪いほど後の展開がスッキリします。本当に悪い男なんだけど、人ったらしというか、なんかいい人っぽく見えるところがにくいです。もしかして彼の言っていることは正しいのではないか、悪に染まらないとギャングとか相手にできないし、犯罪も取り締まれないのかもしれないと勘違いしてしまいます。そう観客に思わせるために、彼を配役したのだとしたら、正解だったと思いました。イーサン・ホークも若くて、まじめっぽくて役にぴったりです。彼は本当にひどい目にあっていて、麻薬取締係にいって、ここから刑事へのし上がるぞと思っていたのに、1日でここまで悲惨な目を見るだなんて、警察も大変だなと思いました。ずっとテンポもよく、ワクワクするような、怖いような映画でおもしろかったです。アンダーグラウンドな話が好きな人におすすめの映画です。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン / Violet Evergarden
10

京アニの本気

この作品を一言で表すなら、きっと「美しい」です。
この作品は、「兵器」として育てられたヴァイオレットが手紙を代筆していく中でいろいろな人の心に触れながら自らを育ててくれたギルベルトの遺した「愛してる」の意味を探す物語です。作中でヴァイオレットはお客様が待つ場所へ向かうのですが、どの場所の風景もきめ細やかに描かれていてまるでそれが一個の風景画のように綺麗です。そしてこの作品の一番の魅力はヴァイオレットの心情の描かれ方です。幼少の頃より兵器として育てられ文字を書くことはおろか、他人との日常的なコミュニケーションもまともにとれませんでした。しかし、人の心に触れ手紙を代筆していくうちに彼女は「心」を理解し始めます。そして、自分の兵士時代の行いの本当の意味を理解し苦しみます。自分が殺してしまった人にも大切な人がいて彼らにも届けたい心があったのではないか、と。そして、最後にはギルベルトの遺した言葉も少しなら分かるようになります。このヴァイオレットの苦しい気持ちと、驚異的な作画力によって生み出される美しい世界のマリアージュがより一層この作品を美しくします。
これまで見てきた数百本のアニメの中で間違いない一番美しく、アニメーションとして素晴らしい推せる作品です。

お酒は夫婦になってから
7

夫婦だけが知る幸せ空間 「しふく」のひと時

主任として会社に勤めるちーちゃんと、彼女の夫であり家具デザイナーのソラ、二人の甘々な夫婦生活を様々なカクテルが彩ります。

ちーちゃんはクールで実力ある、かっこいい系の女性として会社の人たちからも憧れられる存在ですが、飲み会でもアルコールを口にしないという姿勢を貫かなければならない秘密を持っています。それは、カクテル一杯でふにゃふにゃになるほど酔ってしまい、普段の凛とした雰囲気とは一転、可愛らしく甘える性格になってしまう事。
酔った際には「しふくぅぅぅ(至福)」と幸せの声が漏れてしまいます。

この姿は夫であるソラだけが知っていて、彼女を「しふく」へと誘うカクテルもソラが作るもの。
ソラは優しく、酔ったちーちゃんの甘えを一心に受け止める愛を持ち合わせ、彼女のコンディションに合わせたカクテルを的確に作り出す実力があります。

この二人だけの時間はちーちゃんにとっては文字通り至福であり、夫婦にとってかけがいのない、多忙な日常を過ごす糧になっているのだと感じさせられます。

登場するカクテルは実在のものもあり、シャンディガフ(ビールとジンジャーエールのカクテル。ビールが苦手な人でも比較的飲みやすい)やベリーニ(スパークリングワインとピーチ、シロップを混ぜ合わせた女性人気の高いカクテル)が登場し、作中ではレシピも公開されています。

甘々な夫婦が魅力的なカクテルで彩られる「しふく」のひと時を満喫できる、愛情カクテル漫画です。