京アニの本気
この作品を一言で表すなら、きっと「美しい」です。
この作品は、「兵器」として育てられたヴァイオレットが手紙を代筆していく中でいろいろな人の心に触れながら自らを育ててくれたギルベルトの遺した「愛してる」の意味を探す物語です。作中でヴァイオレットはお客様が待つ場所へ向かうのですが、どの場所の風景もきめ細やかに描かれていてまるでそれが一個の風景画のように綺麗です。そしてこの作品の一番の魅力はヴァイオレットの心情の描かれ方です。幼少の頃より兵器として育てられ文字を書くことはおろか、他人との日常的なコミュニケーションもまともにとれませんでした。しかし、人の心に触れ手紙を代筆していくうちに彼女は「心」を理解し始めます。そして、自分の兵士時代の行いの本当の意味を理解し苦しみます。自分が殺してしまった人にも大切な人がいて彼らにも届けたい心があったのではないか、と。そして、最後にはギルベルトの遺した言葉も少しなら分かるようになります。このヴァイオレットの苦しい気持ちと、驚異的な作画力によって生み出される美しい世界のマリアージュがより一層この作品を美しくします。
これまで見てきた数百本のアニメの中で間違いない一番美しく、アニメーションとして素晴らしい推せる作品です。