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luck_pluck4のレビュー・評価・感想

女を修理する男
9

第2次コンゴ内戦後に戦火に傷ついた女性たちを心身ともに癒し続ける医師ムクウェゲの日常を静かに描いた映画『女を修理する男』

『女を修理する男』は、コレット・ブラックマンの著作をもとに制作され、2005年4月に公開されたティエリー・ミシェル監督によるドキュメンタリー映画で、ブラックマンとミシェルは共同脚本に名を連ねています。副題は「ヒポクラテスの怒り」といった意味です。このドキュメンタリーは、2014年のサハロフ賞を受賞したコンゴ人の婦人科医で人権擁護者で、コンゴ民主共和国ブカヴのパンジル病院で強姦被害者の女性に修復手術を施術している、デニス・ムクウェゲ博士の足跡を追ったものです。映画のタイトルは、コレット・ブラックマンが2013年2月に出版した著書『医師ムクウェゲ: 女を修理する男』を踏まえたものです。
デニス・ムクウェジ博士の活動はこれ以前にも既に、セネガルのドキュメンタリー映画監督アンジェレ・ディアバングによる2014年の映画でも取り上げられていました。2015年9月、『女を修理する男』は「コンゴ軍に危害を与え、そのイメージを傷つけようとする明白な意図 」を理由として、コンゴ民主共和国における上映が差し止められ、政府のスポークスマンであるメディア・コミュニケーション大臣は、この映画の監督がスワヒリ語やシ語の翻訳の一部で悪意ある誤訳をしていると非難しました。

ZARD / ザード / 坂井泉水 / Izumi Sakai
10

平成を生きる昭和の女

90年代に女性のソロアーティストで最も多くのCD売り上げ枚数を記録したのはどなたかご存じですが?
それはZARDです。
元々はバンドとしてグループで活動してしましたが、途中からボーカルの坂井泉水のみとなり、ソロ活動となりました。
そんな彼女のコンセプトがタイトルの「平成を生きる昭和の女」です。
彼女ののCDジャケットは目線が外したものが多いです。
これは坂井さんがカメラを向けると緊張する、という事情もあったそうですが、はっきりとした顔立ちで正面から撮ると美人過ぎたためだそうです。
男女共に人気になってほしいという願いがあったそうですが、そのままの坂井さんは美しいため女性が嫉妬する恐れがある、という心配があったそうです。そのため、数少ないテレビ出演もノーメイクで挑んでおり、飾り過ぎない自然な雰囲気が彼女の魅力となっています。
また歌声は美しくて力強く、それでいて優しいものです。
非常に多くの曲を世に送り出している一方で、どの曲も完成度が高いことが聴いていて感じられます。
メディアの前での仕事が少ない一方、レコーディング作業には非常に力を入れていたらしく、これが彼女の作品のクオリティの高さにつながっていると考えられます。
ご存じの方も多いと思いますが多くの作詞も担当しています。
歌詞になる前の言葉のメモも数多くの発見されており、ここからも、日頃から曲を届けるために努力をしていたことが感じられます。
ZARDはアーティストという一見華やかそうな立場でありながら、ほとんど人前に立つことはありませんでした。
しかし見えないところでストイックに曲と向き合っており、これが彼女が多くのファンを獲得し記録にもつながったのではないでしょうか?
影で努力をする姿はまさしく、ちょっと控えめな「昭和の女」です。

ビョーク / Björk
10

北欧の神秘、アイスランドの至宝の歌姫

ヨーロッパの北の海に浮かぶ島国、アイスランドが生み出した至宝のアーティスト、ビョーク。
彼女の音楽にはアイスランドの地が育んてきた文化や、その独特の自然が色濃く反映されています。
アイスランドを訪れたことがないとしても、その写真を見れば、ビョークの摩訶不思議な音楽の秘密が少しわかるような気になります。
それぐらい、アイスランドという国には他とは違う風情があるのです。

ビョークの音楽の魅力は、やはりその前衛的な芸術性にあるのではないでしょうか。
安住するということを知らず、新しいものをクリエイトし続けるアーティスト魂には尊敬の念が湧き上がります。

そして、ただ単に芸術的に尖がった作品を作っているわけではなく、ビョークの歌には情熱があり、温かみがあります。
北極圏に近い国、アイスランドの冷えた空気の中で心を温めるような、そんな音楽だと思います。
だからこそ、乾いた日常を生きる私たちはビョークの音楽を求めるのではないでしょうか。
彼女のインスピレーションの泉は、私たちの心を癒すのです。

1993年のアルバム『Debut』からすでに質の高い音楽を発表していたビョーク。

1995年の『Post』では創造性に磨きがかかり、「Hyper- Ballad」という美しい名曲が誕生しました。
この頃は、まだまだ可愛らしいところも残っていたと思います。

しかし1997年の『Homogenic』で才能が爆発。
プロデューサーのガイ・シグスワースの手腕も素晴らしいもの。
もうここにあるのは容赦のない世界で、剥き出しの自然の中を生き抜くしかない。
そんな厳しさがあります。
そこに響くビョークの歌には魂に訴えかけるものが。

そこから2001年『Vespertine』までの流れは鳥肌モノです。
前作で作り上げた感動の世界をさらに進化させ、より心に寄り添うサウンドとなりました。
日常生活の中の音を曲に取り入れたことで、親密度が増しています。
『Homogenic』と比べると音の印象としては静かなのに、押し寄せてくる感情の波は減っていない。
逆にその音のない余白というか、間が功を奏しているのかもしれません。
侘び寂びを手に入れたという感じでしょうか。
壮大なオーケストラがなくても、ビョークの歌唱がそれを補って余りあるほどに熟練していることも見逃せません。

ラ・ラ・ランド / La La Land
10

リアルを描いた感動作

とても有名な映画なので、言わずもがな、と言った感じではありますが最初に観た時涙が止まりませんでした。大人になってあんなに大号泣したのは久々でした。
話の内容は売れない作曲家と売れない女優の恋愛模様や仕事のことを描いた、ありきたりなものです。しかし、この作品はラスト、主人公の男性の空想、理想をこれでもかと描きます。その上で現実はそうではない、彼女と自分の間には大きな溝があるのをまざまざと見せつけられます。見てるこっちまで、えぐられる気分です。切なすぎる。彼の理想と現実のギャップが激しすぎて、辛い。辛すぎる。でも、現実って、そんなもんだよね、とも思えます。それ故とてもリアル、より親近感が沸きます。
映画はある程度理想というか、実際はこんなお花畑なこと起こらないよね、と思いつつ、「所詮虚構。だからこそある程度現実不可能な結果でもハッピーエンドで終わっても、だってそれが映画の醍醐味だもの!」と思わせてなんぼだと思うのですが、そんなこちらの都合は全くの無視。そう言う意味ではえぐいラストです。古傷開いてしまう人もいるかもしれない。
でも、2人で一緒にいて幸せだった時間も嘘ではないのです、それをLAの大きな空と綺麗な夜景が更に倍!な感じで素敵に魅せてくれるのです。悲しいラストだけれど、何度でも観たくなる、そんな作品です。