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kazuhia2のレビュー・評価・感想

彼岸島 / Higanjima
8

グロテスクだけど泣けるマンガ

『彼岸島』は、「グロテスク」だが「泣ける」マンガでもある。
吸血鬼ウイルスに感染した人間との殺し合いが描かれており、大変グロテスクで、残酷なシーンが多い。しかし、友人同士や兄弟同士の殺し合いでは、「今まで言えなかった気持ち」や「最期の言葉」があり、涙なしでは読めないシーンがあるマンガなのだ。
主人公の「宮本明」は、妄想癖のある弱々しい高校生で、行方不明になった兄貴を探すため、友人達とともに彼岸島へ行く。しかし、すでに島民のほとんどが吸血鬼ウイルスに感染し、吸血鬼になっていたのだ。
なぜ、吸血鬼ウイルスというものが存在するのかというと、主人公の兄貴「宮本篤」が、婚約者とともに訪れた彼岸島の神社に封印されていた吸血鬼のボス「雅」を、悪ふざけで封印を解いてしまうという失態のせいだった。兄貴のとんでもない失態のせいで、婚約者が「雅」に強姦されたあげく、吸血鬼にされてしまうシーンは、作品の見どころのひとつである。
主人公の「宮本明」は、彼岸島で「師匠」に出会い強い男に成長していく中、兄貴もまた、彼岸島で戦う術を身に着け強くなっていく。しかし、兄貴は吸血鬼ウイルスに感染してしまうのだ。「師匠」の教えで吸血鬼になった人間は殺さなければならないルールがある。兄弟同士の殺し合いはとても残酷でグロテスクなのだが、死直前の兄貴の行動にはグッとくる。
是非読んでほしいマンガのひとつである。

LOST JUDGMENT 裁かれざる記憶
4

息子の復讐などしていない。

作品のテーマは「いじめ」で、不条理や正義の物語のはずだが、 いじめ被害者であるはずの江原敏郎、楠本充の内面や心情が描かれていない。いじめを題材にする以上、彼等の人間性を出すことは必然だと思う。
また、父親の行った行動は復讐というよりも八つ当たりに近い部分が多すぎて、一切同情できない。そもそもの話、江原敏郎が中学生の時のいじめを相談した時に息子に向き合うことをしていれば、江原敏郎は御子柴弘がいる高校に進学しなかった可能性もある。
何よりも父親の江原明弘の凶器の隠し場所からして息子のためではなく自己満足である要素が強い。もし本気で息子の無念を晴らす復讐なら息子が眠る仏壇を凶器の隠し場所にするようなことはしない。何故なら、息子を自殺に追い込ませた御子柴弘の血の着いた薄汚い物を息子にお供えしたようなものだからだ。そんな穢れた物をお供えする姿は人としても親としても失格だ。
その上、自分が最初に息子の助けてほしいというお願いを拒否したくせに裁判で自分の思い通りにいかないという理由で法律にまで八つ当たり染みたことをしている。
そもそも江原明弘は最初に息子を助けなかった時点で本編での全ての行動、発言は意味をなしていない。
極論でいうと、江原敏郎にとって父親の江原明弘という存在は、自分をいじめた連中と同類でしかない。

Aimer / エメ
8

Aimerという名の歌手について。

Aimer(えめ)の『コイワズライ』という曲を聴いてみて、彼女の持つ才能と歌声にかなりの魅力を感じました。ぜひアコースティックギターで弾き語りたいと思い、YouTubeでいくつかの奏法を学びました。Salyu(さりゅう)という歌手が好きだったんですが、Aimerのような楽曲を与えられていたら、もっとブレイクしたような気がします。
言葉の一つひとつをかすれた声でつむぎあげるように歌うスタイルはまさしく《Lily Chou-Chou》だった。そんな錯覚をおぼえました。詞はもちろん、曲の完成度という点においては同時期に歌う《あいみょん》さえも凌駕するのではないでしょうか。まあ、好き嫌い別れるタイプであるのは間違いありませんが。リズム感がいい。抜群に優れているのは曲に合わせてギターを練習していてもよく解ります。
どこかしらネガティブな印象を与えるAimerですが、彼女特有の自己肯定感は現代において稀有だとも思います。コイワズライの中でも『寂しい時こそ、悲しい時こそ、大事なことがあるんだよ』というように力強く歌っています。負の要素をプラスに変える直前の勇気や覚悟が現代の人々の心を打つのではないでしょうか。