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2umokotarojのレビュー・評価・感想

パティシエさんとお嬢さん
7

パティスリーを舞台にしたふんわり甘いストーリー

甘いものが大好きで、仕事をがんばる自分へのごほうびのために週に1度だけお気に入りのパティスリーにケーキを買いに行く「お嬢さん」と、そのパティスリーでケーキを作る「パティシエさん」ふたりのお話です。

お嬢さん視点とパティシエさん視点の両方が描かれていて、読者側からは1話目からお互いに好印象ないし恋心を抱いていることが分かるのですが、本人たちは相手の思っていることなど分かりません。
言葉を交わせるのはお嬢さんが週に1度ケーキを買いに来た時のわずかな時間のみ。シャイなふたりの距離がほんのちょっとずつ近づいていくのを見守るのが楽しいストーリーです。
お嬢さんの所作や言葉遣いが綺麗で素敵ですし、登場するおいしそうなスイーツの数々も魅力的です。ケーキが食べたくなります。

このお話には基本的に「読んでいて辛い展開」が出てこないので、刺激的な場面や先の読めないハラハラするストーリー展開はないのですが、その代わり最初から最後までやさしく甘い穏やかな気持ちで読み進めていくことができます。
Twitter(現在のX)発の漫画なので1話当たりのページ数はとても少ないですが、それでも1話ごとにきちんとお話はまとまっていますし、読み終わった後にはしっかりした満足感もあります。
ふんわりやさしい気持ちで漫画を読みたい方におすすめの作品です。

ロスト・ケア
7

見ていて楽しい気分でもないが見て損はない作品

葉真中顕原作の「ロストケア」は、超高齢化社会を迎え慢性的な介護の問題を独特の切り口で抉り出す、いやな気持ちになる小説だ。映画化されると聞いて、正直成功するのかかなり疑問だった。映画は原作とは違う展開になっており、見たくない映像世界を繰り広げてくれるやっぱりいやな気分になる作品だった。
検事役の長澤まさみと、介護士役で高齢者を何人も殺してしまった松山ケンイチが対峙する場面は迫力があり、見応えがある。彼の父親役の柄本明の演技は言わずもがな、舞台を見ているような印象。しかしやや長すぎるかといった感じを受けた。最初から展開はわかっているようなところもあるので、ずるずるといやな場面が長引くのもどうなのか。犯人の親子のシーンが濃密で細かく描かれているのに比べ、検事側の家族ドラマはいたってあっさり。父親は顔すら出てこなかった。これはこれでいいのだろうが、もう少し彼女の心の奥の方ものぞいてみたくなった。家族の心と心のつながりとか、絆とか超安全地帯にいる偉い方々からよく聞く言葉が、ますます空虚に聞こえる。
1度穴に落ちたら這い上がることはできない。安全地帯にいる人たちに是非見てもらいたい作品だ。エンディングで流れる森山直太朗の「さもありなん」が悲しくも美しすぎて、ずっと聞いていたいような気分だった。

STEINS;GATE / シュタインズ・ゲート / シュタゲ
10

タイムリープものの王道作品

本作品は、主人公が何度も過去にさかのぼり、現実に起こる困難に立ち向かうというタイムリープものになっています。
タイムリープものとは言っても、突如その能力が覚醒するといった超常現象的なものではなく、偶然の産物として作り上げてしまったタイムマシンを活用します。主人公は誰もが認める中二病で、常に白衣を身にまとい、口調や笑い方もとても癖のあるなんとも変哲キャラですが、タイムリープを繰り返し、困難に立ち向かう際の苦悩や葛藤といったシーンは、とてつもなく人間的で共感せずにはいられません。特に、最愛の人をとるのか、古くからの親友をとるのかの究極の二択を迫られ、そのどちらも手に入れるために奮闘する姿は涙せずにはいられません。ただの中二病だった主人公が、人類史上最大の発明であるタイムマシーンを偶然作り出してしまい、社会の闇へと飲み込まれていく様は、怒涛の展開が待ち受けており、次はどうなるのか、この先が気になるといった感情を刺激されること間違いなしです。

僕のヒーローアカデミア / ヒロアカ / My Hero Academia
9

世界総人口の8割が個性(何らかの特異体質)を持った超人社会。の中無個性の少年がヒーローになっていく物語

超人社会では、珍しく無個性で生まれてきた主人公緑谷出久(みどりやいずく)、本来個性が出ていれば幼稚園の頃に個性が発動し始めてきます。緑谷には、個性が出る前から仲の良い友達爆豪勝己(ばくごうかつき)がいました。二人とも同じナンバーワンヒーローのオールマイトに憧れていました。爆豪は、何でもすぐに出来る器用な所があり、人の輪の中心で自尊心の塊のような人間。一方、緑谷は気弱で縮こまった性格。友達からいじめの対象になった所から物語は始まっていきます。
私は始め、「異能力のアニメ面白そうじゃん!」と軽い気持ちで見始めましたが、主人公がボロボロになりながらも戦い、勝利し成長していく姿と爆豪の緑谷に感化され怒りながらも、負けまいと成長していく姿に、このアニメを見た方も感化されると思います。
私は、ジャンプの戦闘がかなり激しいアニメで初めてめちゃくちゃ泣きました。アニメ5期の制作も決定しました。四期が終わったばかりだというのに、わくわくさんが止まりません。僕のヒーローアカデミアを楽しむ上で、キャラクターの名前に個性が分かるような名前なので、キャラクターの個性をアニメを見ながらあてるのも面白いと思います。
そして、映画も2作公開しているので気になった方はアニメと一緒に是非!!見てみてください。

無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜 / Mushoku Tensei
9

「小説家になろう」5年連続1位を記録した魅力とは

「無職転生 〜異世界行ったら本気だす〜」とは2012年より小説投稿サイト「小説家になろう」で連載され、2013年10月〜2019年2月まで小説家になろう累計ランキング1位を維持していた異世界転生ものの金字塔である。
なぜこの小説は数多ある異世界ものの中で人気が高いかというと、ストーリー構成やキャラ設定がしっかりされているというのは勿論のこと、登場人物の心理描写が細部まで表現されているというのが大きいのではないだろうか。
例えば主人公の「人を殺してしまった時の心理描写」である。異世界ものの主人公によくあるパターンで、何の苦悩もなく、敵を倒して自分の強さを誇示することで格好良さを表現する作品がよく散見されるが、本作は人を殺してしまった時の「不安」「恐怖」「罪悪感」などが事細かに描かれている。人間の負の感情を見せずに美しい箇所だけを表現する作品が多い中、それとは対照的に異世界という非現実の物語でありながら、深いリアリティをうまく表現している作品と言えるのではないだろうか。
また、主人公を含めた登場人物に完璧な人間はほとんど存在せず、性格的に何かしらの欠点を抱えており、それがまた「人間らしさ」を感じる良いアクセントになっているように思われる。
2021年にはアニメ化もされているため、機会があれば是非視聴してみてはいかがだろうか。