京都発のいなたくも器用なバンド10-FEET
野外フェス「京都大作戦」の主催であったり、京都の地下ライブハウス叩き上げのキャリアであったりと、メジャーアーティストでありながら、10-FEETは京都に根を張り続けているご当地バンドとしての一面も強いと思う。
そういった東京に染まらない関西人としてのスタンスが、良い意味で厚苦しいTAKUMAの歌声や歌詞にも現れており、人間の弱さや愚かさにも寄り添った歌詞は共感しやすい。特に、「VIBES BY VIBES」という曲でのリスナーのナイーブな心に関西弁で問いかけるように歌うスタイルは、TAKUMAの真骨頂だと思う。
多くの楽曲にみられる特徴として、ひとつの楽曲の中での大きな曲調の変化が多い、という点がある。明るい、暗い、激しい、穏やかといった曲調がパート毎にかなりはっきり分かれており、それに対し、ボーカルTAKUMAは幅広い歌唱スタイルで、レゲエのような声や歌い回しまでこなして対応する。時にコミカルに、シリアスに曲が急展開していくので、劇を観ているような気分にもなる。
そういった楽曲の振り幅の広さやメッセージ性等、広い層に通用するようなポテンシャルは元々高かったのだと考えると、スラムダンクのテーマソング「第ゼロ感」を担当することになり、大ヒットしたのも納得出来る。
バスケ部であってもなくても、思春期の若者に聞いて欲しいバンドである。