いい意味で狂った映画
プロのジャズドラマーを目指す主人公アンドリューと、有名鬼教師・フレッチャーの「狂気」とまで言える熱意をぶつけ合う、名門音楽学校が舞台のストーリーです。
指導のためなら楽器を投げつけたり、他の学生を外で待機させて何時間も1人を監禁して練習させたりと、スパルタ教育が有名なフレッチャー。
一方手から血が出ても、移動中に車での接触事故があっても、一切妥協を見せない新人のアンドリュー。
お互い違う「狂気」を持った学生と教師が、ぶつかりながらも成長していく姿は凄まじい緊張感です。
誰もが萎縮しながらフレッチャーのもとで練習を積み重ねる中、アンドリューだけはフレッチャーに負けない狂気で食らいついていきます。
お互いに憎みあった存在で、大衆の面前で恥をかかせるようにしむけたり、殴ったりと一般人からしたら師弟関係にあるとは思えない描写だらけです。
ただ2人に共通しているのは音楽に対する熱意。これがどれだけお互いを憎みあっても、最後には同じ目的を持った仲間にさせてしまう。年齢や立場問わず一流になるためには、一定の狂気が必要なのかと感じさせられます。
またストーリーもさることながら作中で演奏される音楽、間、カメラワーク、すべてに魅了されます。
ラストの5~10分は圧巻です。「あのシーンを観るための2時間だった」と言っても過言ではないほどの見事な最後でした。