音楽好き必見!胸糞展開と衝撃のラストシーン
本作品はジャズプレイヤーを志す主人公・ニーマンと、プレイヤー育成に強いこだわりを持つ音楽学校教師・フレッチャーの葛藤やぶつかり合いを描いている。
個人的に本作品の最大の魅力は、フレッチャーを演じるJ・K・シモンズの憎たらしい演技である。
観ている側は恐らく終始彼の言動に心中を振り回されるわけだが、思わず「なんて嫌な奴なんだ」と言いたくなったり、「もしかしていい人なのか」と、不信感を抱き続けさせる描写が素晴らしい。あまりにも彼の演技が憎たらしいため、踏んだり蹴ったりな目に遭うニーマンの扱いを直視出来ないほどである。
また、ニーマンの「何事も受け身な性格」が、フレッチャーとの関わりを介して徐々に成長する姿も見どころのひとつであると言える。
テーマであるジャズは作中で演奏シーンが繰り返し登場し、音楽好きにはたまらない出来であることも高評価の理由である。
ラスト9分19秒は、主人公ニーマンがこれまで築き上げた音楽の集大成といえる演奏シーンなのだが、ここでのフレッチャーの心境変化が本作品を観た者の中で様々な考察を生み出している。
中盤まで延々と続く「スパルタ音楽教師の胸糞モラハラタイム」に対してのフラストレーションが解消されるラストシーンは、とにかくいろいろな意味で爽快。
映画全体としての意味合いの受け取り方はそれぞれだが、個人的には非常に観た後すっきりとする仕上がりであり、音楽が好きだという方には是非見てほしい作品である。