思い出のマーニー / When Marnie Was There

『思い出のマーニー』は2014年に公開されたスタジオジブリ映画である。
監督は2010年公開の『借りぐらしのアリエッティ』を手がけた米林宏昌が務めており、イギリスの作家ジョーン・G・ロビンソンの児童文学「思い出のマーニー」(岩波少年文庫刊)を映画化したファンタジーアニメである。
物語の舞台は北海道。心を閉ざした12歳の少女杏奈は喘息の療養のため、夏の間、親戚の暮らすのどかな海沿いの村で過ごすことになる。そこである日「湿っ地屋敷」と呼ばれ、長らく誰も住んでいない湿原にある古い洋風のお屋敷で、金髪の不思議な少女マーニーと出会い、2人は秘密の友達となる。マーニーと出会ってから杏奈の閉ざされた心は少しずつ開いていく。なぜマーニーは杏奈の前に現れたのか。杏奈とマーニーを繋ぐものは何か。
2人の少女の友情と成長の物語である。
杏奈役は高月彩良、マーニー役は有村架純が務め、それぞれジブリ作品初参加でアニメ映画の声優に初挑戦である。
アメリカでは2015年にDVDとブルーレイが発売され、第88回アカデミー賞長編アニメ映画賞にノミネートされている。

思い出のマーニー / When Marnie Was Thereのレビュー・評価・感想

思い出のマーニー / When Marnie Was There
7

思春期の少女の心の描写がうまい。

主役の子がかなりひねくれていたけど、それなのにかわいいと思える、そういう女の子でした。私もあれくらいの年の時はあんな感じだったと思うし、とくにアンナちゃんは養母のことでちょっと悲しい思いをしちゃったから仕方ないのかなと思います。まあ、児童手当なんて普通にもらえるもので、それをもらっているから子どもをそのために育てているとかそんなことないと思いますが、そういうので極端な考えにいきついちゃうところも、子どもっぽくて共感できました。
マーニーはとてもかわいらしく、いろいろアンナのこと教えてってウキウキしているところとかたまらないです。私にはそういう経験はないけど、女の子同士って妙に仲良くっていうか、依存しちゃうとことかもあるよねと思いました。彼女が誰なのか、生きているのかもわからない感じがミステリーチックでおもしろかったです。その謎を解くために、アンナが他の子と協力したり、1人で閉じこもっていた彼女が変わっていくところがよかったです。オチはなんとなく予想できるけど、それでも感動的でした。もともとは外国の話ということですが、日本の話にしても違和感はなくてすごいなと思いました。ジブリといえば、宮崎駿さんって感じですが、彼以外の監督さんの話も素敵だなと思いました。

思い出のマーニー / When Marnie Was There
7

異質の

ジブリの中で異質の作品ですが、思った以上に面白かったです。
何が異質って、まず、主人公がやなやつです。
やなやつっていうのは、ひどいですが、普通の思春期の女の子って感じで、扱いにくく、人に対して態度をよくする余裕もなく、ジブリの女の子のような強さがないかんじでした。
そこが共感がもてました。
私は、思春期をこじらせている女なので、いまでもときたま親に嫌な態度をしたり、ひねくれてしまいますし、思春期にはもっとひどかったと思います。
だから、親戚の家に預けられて、そこの近所の子にいろいろ追われて、仲良くしようとしてくれてるのに、うっとうしいとか思う気持ちがよくわかります。
でも、ひどいと思いますけど。あんなこと言われたのに、そんなに怒らない、あの太い女の子はだいぶさっぱりしたいい子だと思いました。
来年は仲良くしてねと思いました。
マーニーと会うシーンはどこも幻想的で、きっとこの子は今の子じゃないというのはわかりましたが、どういう子なのか幽霊なのか、過去の子で生きているのかとかは、だんだんと解き明かされる感じでよかったです。
百合的要素というのは、ちょっとわかりませんが、まあ外国の子だし、そうじゃなくても、若い女の子って疑似恋愛的なふれあいとかを求めるのかもなあと思いました。
私はそういうことができなかったので、大きくなるまで、スキンシップってあまりしなかったけど、お母さんに抱きしめられたりするのとおんなじで、人と抱きしめあうのって安心できるし、主人公は家族と離れてた子だし、マーニーも寂しい子だったから、二人で一緒にいて、触れ合うことが必要だったのかなと思います。
恋愛とかそんなふうには感じませんでした。

思い出のマーニー / When Marnie Was There
8

癒しを求めた映画

思い出のマーニーはジブリ映画の一つですが、トトロや魔女の宅急便と比べるとあまり有名でないかもしれません。だから見たことないなと思う人はぜひ見てください。

物語の内容は主人公である思春期の少女が学校に馴染むことができず、学校を離れ田舎の親戚のもとで自分自身と向き合っていく、というものです。
主人公の少女は、親戚のもとで過ごすうちに無口なおじさんや同年代の人々とも触れ合いますがどこかぎこちない。

そんなある日、近所の湖にあるキレイな廃墟の館で金髪の少女と出会います。
金髪の少女との出会いから主人公と金髪の少女に関わる秘密が少しずつ紐解かれていきます。最後の展開のあたりでは感動し、そして優しい気持ちになれます。

恋愛映画ではなく、ドキドキする展開も少ないために終始安心していられます。
この映画のいいところは全体を通して風景が非常に色鮮やかに描かれていることです。舞台は日本でありながらも色彩の豊さに驚き、幻想の中にいるのではないかと錯覚します。
どこか哀愁が漂い続ける雰囲気ですが、前述した色彩の豊かさが雰囲気にあっておりとても穏やかな気持ちになれます。
プリシラ・アーンさんが歌う映画の主題曲もとても優しい雰囲気で映画を見終わった時、心の穏やかさにきっと驚くことでしょう。

思い出のマーニー / When Marnie Was There
7

伏線のある不思議なお話。

宮崎駿監督が引退を宣言してからの、2014年公開のスタジオジブリ映画。イギリスの作家、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学作品を原作としている。スタジオジブリ作品としては、あまり好評ではなかったが、私個人としては、後期の宮崎駿作品に比べたら、冒険や大きな盛り上がり等はないながらも、この作品が何を言わんとしているかがわかる、とてもすっきりした内容になっていると感じた。物語は、かたくなに心を閉ざした少女杏奈が、海辺の村に住む少女マーニーとの交流を通じて心を開いていく様子が描かれているのだが、この海辺の少女マーニーにはある秘密があり…という物語。物語の途中にちょっとした伏線があり、それが最後に回収される様も、かなり納得感のある内容となっている。舞台をイギリスから日本に変更していることが功を奏しているのだ。ただ宮崎駿の想像力をふんだんに盛り込んだ作品群には劣るので、そういったところが作品として評価されなかったのかもしれないが、見た人の心をなごませる、スタジオジブリ作品らしいといえばらしい作品ではないだろうか。声優に有村架純、松嶋菜々子など、豪華な配役を行っている。あまり面白くなさそう、と毛嫌いすることなく、一度見ていただきたい作品である。