伏線のある不思議なお話。
宮崎駿監督が引退を宣言してからの、2014年公開のスタジオジブリ映画。イギリスの作家、ジョーン・G・ロビンソンによる児童文学作品を原作としている。スタジオジブリ作品としては、あまり好評ではなかったが、私個人としては、後期の宮崎駿作品に比べたら、冒険や大きな盛り上がり等はないながらも、この作品が何を言わんとしているかがわかる、とてもすっきりした内容になっていると感じた。物語は、かたくなに心を閉ざした少女杏奈が、海辺の村に住む少女マーニーとの交流を通じて心を開いていく様子が描かれているのだが、この海辺の少女マーニーにはある秘密があり…という物語。物語の途中にちょっとした伏線があり、それが最後に回収される様も、かなり納得感のある内容となっている。舞台をイギリスから日本に変更していることが功を奏しているのだ。ただ宮崎駿の想像力をふんだんに盛り込んだ作品群には劣るので、そういったところが作品として評価されなかったのかもしれないが、見た人の心をなごませる、スタジオジブリ作品らしいといえばらしい作品ではないだろうか。声優に有村架純、松嶋菜々子など、豪華な配役を行っている。あまり面白くなさそう、と毛嫌いすることなく、一度見ていただきたい作品である。