クロノ・クロス / Chrono Cross

クロノ・クロス / Chrono Cross

『クロノ・クロス』は『クロノ・トリガー』の続編として1999年に発売された。
美麗なグラフィックやBGMは高評価を得たが前作との比較から賛否が別れることとなった。
前作のテーマが「タイムトラベル」であるのに対して、今作では「パラレルワールド」がテーマとなっている。
主人公セルジュは、「ホームワールド」と「アナザーワールド」という2つの世界を行き来し、パラレルワールドの秘密を解き明かしていく。

クロノ・クロス / Chrono Crossのレビュー・評価・感想

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クロノ・クロス / Chrono Cross
8

心に残るノスタルジックRPG

本作は1999年スクウェアから発売されたPlayStation用ソフトのRPGゲームです。
主人公の少年セルジュは、ある日幼馴染の少女レナのために大トカゲのウロコを探しに砂浜に行き、そこで異世界へと迷い込んでしまいます。その異世界ではセルジュはもう亡くなったことになっていました。セルジュは自分と世界の関係を解き明かすため旅に出ます。
ゲームは美しいグラフィックと心に残る郷愁ある音楽が魅力的です。冒険で仲間になるキャラクターはなんと41名という数です。そのキャラクターごとに用意された技やセリフ、そしてストーリーがあるのでとてもボリュームがあります。仲間にしたかどうかでシナリオに分岐が発生する場合もあります。元の世界と異世界のどちらで仲間になるかはキャラクターごとに決まっており、もう片方の世界の同一キャラクターは仲間にはなりません。特定のキャラクターの組み合わせで使用できるスキルもあり演出などが細かいところまで作りこまれています。エンディングは感動的で哲学的でもあり、周回プレイも楽しめます。
本作はPlayStation用ソフトですが、2022年4月7日にリマスター版が各機種から発売予定なので、当時プレイされた方も未プレイの方も是非おすすめしたい1本です。

クロノ・クロス / Chrono Cross
9

名作「クロノ・トリガー」の続編として、人と次元が交差する壮大な星のドラマ

1999年、PSで発売されスクウェア・エニックスが手掛けた作品「クロノ・クロス」。キャッチコピーは「殺された未来が、復讐に来る。」
本作は、パラレルワールドの設定なのでストーリー・操作が少し複雑かつ、前作「クロノ・トリガー」とのつながりがイマイチ分かりづらく、攻略が難しいところがあります。
しかし、操作がイマイチよく分からない、攻略が難しいという理由で手放すのはかなり勿体ない作品です。

クロノ・クロスならではの独特な雰囲気やBGMは、流れてくる音楽、自然音、効果音が凄くマッチしていて、20年以上たった今でも聞きたくなるくらい素晴らしいのが魅力のひとつです。
また、物語も壮大でキャッチコピー「殺された未来が、復讐に来る。」のとおり、話が進むにつれどんどん物語が核心へ繋がっていき、プレイしている自分もその世界観にのめり込んでいきます。その物語上で出会う仲間は総勢で40人以上いますが、キャラクター、一人ひとりにもちゃんとストーリーがあり1周では物足りないくらいやり込み要素があるのも魅力的です。
前作のクロノ・トリガーの物語を知らない、そもそもクロノシリーズをプレイした経験がない人でも十分楽しめる作品だと思います。2周目、3周目以降も飽きることなく楽しめる作品なので、続編又はリメイク版が出て欲しい作品No.1です。

クロノ・クロス / Chrono Cross
9

出会い

言わずと知れたクロノ・トリガーの続編……ですが、ストーリー上のつながりは薄く、世界観も違います。
続編というよりはクロノ・クロスという別作品として魅力にあふれるゲームです。

最大の魅力は「選択」です。
二つのパラレルワールドを舞台としてストーリーが進行していきます。
一つは、主人公が幼少期に海でおぼれて死んでしまった世界(アウェイ)。そして、もう一つが主人公が海でおぼれた後に一命をとりとめた世界(ホーム)です。
どちらもマップや出てくる人物は同じですが、環境や境遇がすこし異なっています。ストーリーには直接絡んでこないモブキャラクターの職業や考え方が、ホームとアウェイでは大きく異なるのです。
例えば、ホームでは父親の後を継いで漁師になった男がアウェイでは宗教に依存する男になっています。それは、男の過去の選択の違いにより生じた結果の差異なのですが、こういった選択により未来が変わってしまうのです。

仲間に出来るキャラクターは総勢44名。ただし、一度のクリアで全員を仲間にすることはできません。選択によって、仲間に出来るキャラクターが変わるのです。あの時、こっちの道を選んでいれば、この出会いがあった、そうしたら今とは違う自分になっていたのかもしれない。そんなたらればの出会いと別れが、ファンタジックな絵柄、世界観でありながらどこか現実の人生とシンクロするところがあります。

二周目以降も魅力的。一回目のもしもの別の選択をすることで、まだ経験していないたらればの出会いを経験することができます。

選択による出会いと別れ、そこに感じるのは現実の人生での過去を懐かしむ気持ちです。郷愁が味わえる良作です。