クロノ・クロス / Chrono Cross

クロノ・クロス / Chrono Cross

『クロノ・クロス』は『クロノ・トリガー』の続編として1999年に発売された。
美麗なグラフィックやBGMは高評価を得たが前作との比較から賛否が別れることとなった。
前作のテーマが「タイムトラベル」であるのに対して、今作では「パラレルワールド」がテーマとなっている。
主人公セルジュは、「ホームワールド」と「アナザーワールド」という2つの世界を行き来し、パラレルワールドの秘密を解き明かしていく。

jack06101のレビュー・評価・感想

クロノ・クロス / Chrono Cross
9

出会い

言わずと知れたクロノ・トリガーの続編……ですが、ストーリー上のつながりは薄く、世界観も違います。
続編というよりはクロノ・クロスという別作品として魅力にあふれるゲームです。

最大の魅力は「選択」です。
二つのパラレルワールドを舞台としてストーリーが進行していきます。
一つは、主人公が幼少期に海でおぼれて死んでしまった世界(アウェイ)。そして、もう一つが主人公が海でおぼれた後に一命をとりとめた世界(ホーム)です。
どちらもマップや出てくる人物は同じですが、環境や境遇がすこし異なっています。ストーリーには直接絡んでこないモブキャラクターの職業や考え方が、ホームとアウェイでは大きく異なるのです。
例えば、ホームでは父親の後を継いで漁師になった男がアウェイでは宗教に依存する男になっています。それは、男の過去の選択の違いにより生じた結果の差異なのですが、こういった選択により未来が変わってしまうのです。

仲間に出来るキャラクターは総勢44名。ただし、一度のクリアで全員を仲間にすることはできません。選択によって、仲間に出来るキャラクターが変わるのです。あの時、こっちの道を選んでいれば、この出会いがあった、そうしたら今とは違う自分になっていたのかもしれない。そんなたらればの出会いと別れが、ファンタジックな絵柄、世界観でありながらどこか現実の人生とシンクロするところがあります。

二周目以降も魅力的。一回目のもしもの別の選択をすることで、まだ経験していないたらればの出会いを経験することができます。

選択による出会いと別れ、そこに感じるのは現実の人生での過去を懐かしむ気持ちです。郷愁が味わえる良作です。