逃げ上手の若君 / 逃げ若 / The Elusive Samurai

逃げ上手の若君 / 逃げ若 / The Elusive Samurai

『逃げ上手の若君』とは、日本の南北朝時代を舞台に歴史上の人物である北条時行の成長と活躍を描いた、松井優征による漫画作品。多くの文献や専門家の意見を元に、当時の文化や風俗、歴史的な背景が詳細に描かれる一方で、少年漫画らしい外連味に溢れた演出や物語が好評を博す。
1333年、重臣である足利尊氏の裏切りと新田貞義の挙兵により、鎌倉幕府が滅亡。北条家の遺児である時行は、諏訪頼重によって救い出され、長野へと逃げ落ちる。その地で仲間を集め、力を蓄えつつ、時行は北条家の再興のための戦いを始める。

逃げ上手の若君 / 逃げ若 / The Elusive Samuraiのレビュー・評価・感想

逃げ上手の若君 / 逃げ若 / The Elusive Samurai
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2024夏であったオススメなアニメ!!

2024年夏アニメとして登場したアニメで、『暗殺教室』や『魔人探偵脳噛ネウロ』を書いた松井優征先生がだしている漫画原作の作品です。『週刊少年ジャンプ』で連載され、コミックは全17巻でています。ちょいグロ、コメディありの面白い作品でサスペンス等が好きな方には超オススメです!!
アニメのオープニング「プランA」はDISH//さん、エンディングはぼっちぼろまるさんによる「鎌倉STYLE 」となっています。どちらもPOPな良いテンポの曲でつい口ずさみたくなるような歌になっています。
1話目から意外な展開が繰り広げられ、キャラクターの個性がかなり満載になっており、漫画を読んでいなくても楽しめる作品だと感じます。主人公は北条時行をモデルに8歳の少年時代が描かれています。時行は逃げることが昔から得意で、戦場のなかで逃げを極め、仲間を集めて足利尊氏を討ちとろうと奮闘するお話。この作品もですが松井先生は少年が好きなのかもしれません。たまらなく可愛い少年を描くのが上手だなぁと感じます。戦闘シーンも見やすく、見所の場面は絵やキャラクターの表情がぐっと美しく描かれていて惹き付けられます。声優陣の演技も迫力があり、漫画から見ている読者もあまり違和感なくアニメを楽しめると思います。

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滅亡後の鎌倉幕府の行き先が分かるアニメ

『週刊少年ジャンプ』で連載されている松井優征先生の漫画がアニメになったので視聴した。漫画自体は以前から存在を知っていたが、南北朝時代というマイナーな時代、名前を知らないオッサン武将たちなど、説明が多くてあまり頭に入って来ないため、読むのは敬遠していたのだが、アニメになった事で作画のクオリティが上がり、モノクロではごてごてした印象だった和服や鎧などがカラーで鮮やかに大化けした。
主人公の北条時行もワンシーンごとの動きや表情、台詞回しが良いため好感度が上がった。放送第1話では平和な日常シーンから、突然の鎌倉滅亡・兄や婚約者たちの惨殺描写があるので、やや人を選ぶのかもしれないが、残酷な描写も苦手でなければ敵方の足利尊氏の狂気や凶悪さも感じられるので面白いと思う。ついでに視聴を一番避けていた歴史要素についても、クイズショーや人生ゲームなどの現代風の演出を絡めた説明や物言いをしているために、意外なほどするすると頭に入って来る。やはり序盤は北条時行と、コミックチックな仲間たちの話が多く描かれているが、歴史に名前を残した天皇や武将なども合間合間に語られるので、段々と歴史に興味が持てる作りになっている。
ちなみにOPとEDの曲も一昔前のアニメ作品のようで、強烈に耳に残り、自然に歌いたくなる。

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鎌倉から室町へ時代の転換点を生きた少年の物語

主人公である北条時行は、鎌倉幕府執権の世継ぎとして登場する。
第1話、前半部分では平穏であった鎌倉の街がある日、だれもが教科書で目にしたことのある人物・足利尊氏が当時鎌倉幕府と争っていた後醍醐天皇の側に寝返ったことにより地獄と化す。1333年5月22日に鎌倉が陥落したとき父とともに自害しようとした時行であったが、諏訪の神官である諏訪頼重という人物により助けられ、鎌倉を脱出することとなった。
シリアスとコメディが入り混じったこの物語の作風はとても面白く、笑える場面もあれば緊迫感のある場面もあり、どちらも楽しみたいという方におすすめ。
歴史上の登場人物も多く出現しており、足利尊氏や後醍醐天皇、楠木正成などの有名人物から関東廂番と呼ばれる歴史書に一行しか出てこない者もいるマイナーな集団まで、さまざまな実在人物が登場するので、歴史好きの方にもおすすめだ。
また、純粋にキャラデザインが可愛いものから気持ち悪いものまでたくさんあるので、キャラクターの造形を楽しみたいという方にも読んでもらいたい。
鎌倉を追われ故郷の奪還を目指し、時代の主人公的存在であり作中では化け物のようにも描かれる足利尊氏を倒す北条時行の物語、ぜひ読んでみてはいかがだろうか。

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今期のダークホースだったアニメ

タイトル見てもピンと来ず、あらすじ読んでも興味を引かず。ただ、やたらと電子書籍市場で原作が推されて、とりあえず観てみたらダークホースでした!「歴史上にまだこんな未発掘ヒーロー残ってましたか~!」という感じ。原作者さん、よくぞ調べあげたなと感心しました。
日本史ではほとんど脚光を浴びて来なかった主人公だし、鎌倉末期~南北朝という、日本史でも随一のゴチャゴチャした分かりにくい時代。江戸や戦国、幕末なんかに比べたら派手さもない時代なので、読者の興味を引くのは相当難しいのに、アニメ化になるということは、内容に期待できそうです。まだ2話しか放送されてませんが、原作の読みにくさをキレイに解決して、分かりやすい構造や流れ、動きに仕上げています。見せ場の主人公の動きは、特にアニメで見るべきものだと思います。スピード感や滑らかさは漫画では表現しきれてなかったな、と感じました。OP・EDは、ふざけた感じで、全体として暗さの無い作品に仕上げたいんだと感じました。呪術廻戦の功績なのか、中村悠一さんが、ここでも「得体の知れない、やたら明るい指導者」を演じてます。こういう役=中村悠一さんのイメージが付いてきてしまいましたね。

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歴史漫画でも松井優征節健在!『逃げ上手の若君』

2021年から年から連載が始まった松井優征の『逃げ上手の若君』。2024年7月からアニメも放送されています。
松井優征氏は『週刊少年ジャンプ』で『魔人探偵脳噛ネウロ』や『暗殺教室』を連載し、人気を博しました。どちらも他の漫画にはないトリッキーな設定やエキセントリックな演出が持ち味で、それらは本作でも健在です。

まず設定について。そもそも南北朝時代を題材にした漫画自体が珍しく、そして北条時行を主人公にしています。「誰?」というチョイスです。そしてこの主人公、「逃げること」を得意としています。本来であれば自分よりも強い相手に対しても勇敢に立ち向かっていくことがお決まりであろうジャンプ漫画の主人公が、逃げることを得意としているわけです。それも戦って死ぬことこそが名誉だとされた南北朝時代で。ここがこの漫画最大の個性だと思います。
ただやはりそこは少年漫画。話が進んでいくにつれて逃げるというより「自分の強みを活かして立ち向かっていく」というシーンが増えてきます。そこに少年漫画としての主人公の成長が感じられる描写はしっかりとなされています。
演出もトリッキーなものが随所にちりばめられています。主人公の宿敵となる足利尊氏が、まるで人ならざるもののように描かれているシーンが多々あります。印象的だったのは尊氏の目がアップになった時、眼球がいくつもあるというコマでした。
他にも馬の面を被った武将とか、常人の3倍くらいある武将とか出てくるんです。しかも彼らはオリジナルではなく実在した武将たち。特徴がわかりやすく書かれているというか、原作者の松井氏に遊ばれているというか。この辺りの演出が松井氏ならではだと思います。
そして史実に基づいた漫画ということで、結末が気になります。史実とは変えて足利尊氏を差し置いて主人公が天下を取ることはおそらくないと思います。それをしてしまうと北条時行を主人公に据える意味がないでしょう。だから天下はとれなくとも得意の逃げることにおいてどこかで生き延びるのか。
『ONE PIECE』でいうところの「ひとつなぎの大秘宝を見つけて海賊王になる」という結末ではない、これまた独特な結末が見られるのだろうと思うと、とてもワクワクしますね。
史実に基づいた歴史系の内容であっても松井優征氏の個性が発揮されているので、トリッキーな設定やエキセントリックな演出が好きな方にはぜひおすすめしたい漫画です。

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知られていない英雄の歴史

鎌倉時代と室町時代の間の南北朝時代のお話。
鎌倉時代の支配者である北条家の若君・北条時行がお話の主人公で、登場時の年齢は8歳で逃げることや隠れることだけが得意の少年です。
室町幕府を作った足利尊氏(高氏)が北条一族を滅ぼしますが、1人逃げのびた時行が鎌倉幕府の復興を目指すというストーリー。
歴史はすでに結果がわかっているので今後どうなるかは一目瞭然ではありますが、歴史上あまり知られていない北条時行を主人公にし、この後の室町幕府を建てた覇者である足利尊氏をラスボス的存在として実際に健闘したという時行の戦いを描いています。漫画なのでこの物語の結末がどうなるかはまだわかりませんが。
2年後に若君が英雄となる未来が見えるという信濃諏訪の国のトップである神官の諏訪頼重の言葉を信じ、若君は仲間集めを始めます。
頼重は常にギャグ要員ですが、先の未来が神力で見える超重要人物で未来まで見ているような描写があり、笑えます。背景が光っています。
敵はみな劇画タッチですが若君とその仲間達の少年少女は常に可愛く描かれていて、絵の対比がすごいです。尊氏はカリスマ性全開なキャラクターになっています。
この史実をどう描ききるのか楽しみです。

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逃げることで天下を取る

「暗殺教室」の作者が描くマンガで、週刊少年ジャンプで連載されています。主人公は北条時行で、物語は北条家につかえる足利尊氏の裏切りから始まり、時行は地位も家族もすべて失ってしまいます。自害も考えていたところを諏訪頼重に匿われ、死の淵から逃げて生きることの悦びを知ります。そこで得た仲間とともに足利尊氏から鎌倉幕府を奪還することを目標に逃げ続ける話です。
ここまで書けばなんだか歴史漫画みたいで堅い印象かもしれませんが、「暗殺教室」の作者です。ギャグ要素も非常に多く、コミカルな場面で光る作画なので読んでいてとても面白いです。諏訪頼重の真面目な時と気持ち悪いときのギャップがまたなんともいえなません。
また、戦いと死こそ武士の名誉とされていた時代で、弓の稽古も馬術の稽古もさぼって、逃げることしか才のない時行が逃げ続けることでどうやって足利尊氏に立ち向かっていくのかが楽しみです。
一癖も二癖もありそうな諏訪頼重がこれからどんな無茶苦茶なことを言い出して、それに振り回されていくのかも楽しみですね。
どれだけ史実に基づいたものかは分かりませんが、歴史の授業で習ったことのある名前が何人も登場するのでそれも面白さの一つです。