鎌倉から室町へ時代の転換点を生きた少年の物語
主人公である北条時行は、鎌倉幕府執権の世継ぎとして登場する。
第1話、前半部分では平穏であった鎌倉の街がある日、だれもが教科書で目にしたことのある人物・足利尊氏が当時鎌倉幕府と争っていた後醍醐天皇の側に寝返ったことにより地獄と化す。1333年5月22日に鎌倉が陥落したとき父とともに自害しようとした時行であったが、諏訪の神官である諏訪頼重という人物により助けられ、鎌倉を脱出することとなった。
シリアスとコメディが入り混じったこの物語の作風はとても面白く、笑える場面もあれば緊迫感のある場面もあり、どちらも楽しみたいという方におすすめ。
歴史上の登場人物も多く出現しており、足利尊氏や後醍醐天皇、楠木正成などの有名人物から関東廂番と呼ばれる歴史書に一行しか出てこない者もいるマイナーな集団まで、さまざまな実在人物が登場するので、歴史好きの方にもおすすめだ。
また、純粋にキャラデザインが可愛いものから気持ち悪いものまでたくさんあるので、キャラクターの造形を楽しみたいという方にも読んでもらいたい。
鎌倉を追われ故郷の奪還を目指し、時代の主人公的存在であり作中では化け物のようにも描かれる足利尊氏を倒す北条時行の物語、ぜひ読んでみてはいかがだろうか。