勝負とは何かを教えてくれる作品
野球漫画・アニメは数あれど、そのほとんどは正攻法で正面突破しているもの。だがこの作品は、その逆を行くもの。主人公トクチは、その勘の良さと頭の回転の速さでバッターを牙抜きしていく。相手の心理の裏の裏まで読み、時として卑劣な手段も用いる。勝利の為にはあらゆる手段を使い、必要なら金も時間も惜しまない。物語の前半は、そのほとんどがトクチの手法に皆唖然とするばかりなのだが、後半になると、相手も負けじとかなり姑息な手段をとってくる。言わば如何様野球!こればかりはもうお手上げか…と思いきや、トクチはその如何様に対して如何様返し!ハムラビ法典かと突っ込みたくなるような展開。それこそ勝つためには手段を択ばないトクチの執念ともいうべきものが鳥肌もの。
反則行為をし、監督を金で買収、チームメイトを恫喝…そこまでして勝ってどうする?と疑問に思うかもしれない。でも、そこにはトクチの美学ともいうべきものがあるように感じる。勝つということ、勝負ということはどういうことか。勝負の世界は常に厳しい。弱き者は蹴落とされ、強き者のみが生き残る。生き残る為には何が必要か、どうすれば生き残れるのか、それを教えてくれる作品。