ONE OUTS / ワンナウツ

ONE OUTSは「ライアーゲーム」の作者でもある甲斐谷忍が書いた野球漫画。
すべての野球漫画に対するアンチテーゼとして書かれた作品と作者が公言しており、高校野球などのクリーンな雰囲気は一切見られない。
主人公は沖縄で賭野球「ワンナウト」に興じているギャンブラーの渡久地東亜。
プロ野球界屈指の強打者でありながら優勝できない「不運の天才打者」児島弘道と彼が出会い、プロにスカウトされることで物語は始まる。
この漫画の主人公は、他の野球漫画の様に剛速球や魔球を投げる、強いフィジカルや必殺技を持つ、といった特徴は一切持っていない。
その代わりに高い洞察力や相手の心理を読み利用する能力、どのような状況に陥っても動じない強い精神力を持ち、悪魔的ともいわれる駆け引きの強さでプロ野球界に挑んでいく。
真面目に努力を積み重ね、野球の技術を磨き上げてきた選手たちを相手に、チームメイトとの絆や身体能力の強さは一切見せず、時にはブラフを使い相手を揺さぶり、また時にはルールのスキを突いた方法を使い勝利を収めていく姿は他のスポーツ漫画には見られないこの作品の面白さといえる。

naotabibit_05のレビュー・評価・感想

ONE OUTS / ワンナウツ
9

王道な野球漫画ではないところが魅力

野球漫画ではありますが、多くが想像する内容とは全く違っており、そこが面白さのポイントです。
プロ野球の世界において、主人公は必ずしも優れた身体能力を持っているわけではありませんが、他者の心理を上手く突くことに長けており、それによって試合を常に有利に進めていくことができます。
通常とられる戦略ではない部分に勝機を見出し、そこを徹底的に攻めていくというのが主人公のやり方であり、それによってチームはどんどん勝利を重ねていきます。
王道の野球漫画とは明らかに違った路線だけに戸惑う人もいるとは思いますけど、内容的にはかなり面白く感じられました。
このタイプの作品が好きな人は世の中ではたくさんいるはずですし、野球が好きな人であれば恐らく楽しめるでしょう。
基本的には相手チームの選手らを上手く騙したり、利用したりするシーンが多く、爽快感を覚えられるケースが多いです。
現実味はあまりないものの、フィクションの世界だからこそ描くことができる状況もあって、新鮮さは大いに感じられると思います。
野球漫画は多くの作品が世の中にあって、それぞれ特徴があると思いますけど、本作は中でも特殊な設定であり、そこが最大の魅力ではないか?と感じています。