17歳のカルテ / Girl, Interrupted

17歳のカルテ / Girl, Interrupted

『17歳のカルテ』とはアメリカの映画。原題は、『Girl, interrupted』。青年期に精神疾患と診断された主人公スザンナ・ケイセンの精神病棟での成長を描いている。ベトナム戦争の長期化や貧困・人種差別による社会分断の深刻化、主要人物の暗殺など情勢が不安定だった60年代アメリカを舞台に、病棟の内と外、パーソナリティーの正常と異常、自己存在への疑問と確信、それらとは一体何なのかを「境界性パーソナリティー障害」と診断されたスザンナ・ケイセンの視点を通して描いていく。1999年公開。

17歳のカルテ / Girl, Interruptedのレビュー・評価・感想

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17歳のカルテ / Girl, Interrupted
8

アンジェリーナの役がいい。

若い人たちが入る精神病棟が舞台の作品です。とてもためになる映画でした。原作者の実話だという話です。
思春期に精神的におかしくなる子は多いと思います。まあ、入院まで必要になるかはわかりませんがあのころはイライラしたりシクシクしたりしたものでした。そこから立ち直るため、世俗から離れることは必要なのかもしれません。いろいろ制約もあるし、イライラする人もいるし、そこから出てきてまた元に戻っちゃう人もいるし、最悪の結果になる人もいる。とても現実的で悲しい話だと思いました。あの場面は見ていて涙が出てきます。
あと、アンジェリーナがやっている役がとても切なかったです。病院でも自分らしく楽しそうだし、リーダー格ぽいけど、実は治す気がないだけと主人公に言われてしまいます。たしかに彼女は結局、病院でしか生きられない人なのかもしれません。だから焦りもないし、どれだけ違反してもオーケーというか、またプログラムやり直しでもヘラヘラできるのでしょう。それは切ないことだなと思いました。アンジェリーナは金髪で若くて今の彼女と雰囲気が違っていて、興味深いです。主役のウィノナー・ライダーも線の細いかんじが、精神的に疲れた役に合っていてよかったです。

17歳のカルテ / Girl, Interrupted
8

思春期の女性たち

原作の作者が、17歳くらいのとき、入院した精神病院が舞台の話。なんか、いばってる患者がいたり、拒食症の人や、自分で顔を燃やしちゃった子がいたり、いろいろな子がいて、たしかに思春期っていろいろ悩みすぎちゃうし、そういうことあるよねと思った。主人公の子が、いばってる子にあなたは精神病院でしか生きられないからそんなえらそうにできるんだといって、その子が泣く場面はすごく胸にきた。人間誰しも、自分でもわかってても触れられたくないこと、認められないことがあるよねと思った。この映画は、主演のウィノナ・ライダーが原作を気に入って作った持ち込み映画らしい。ウィノナ自身、ちょっと不安定なところがあったので、共感したところがあったんだろうなと思う。私は入院してはいなかったが、やはり思春期には悶々としていたし、多くの人が共感できるのではないかなと思う。いばっている子は、アンジャリーナ・ジョリーが演じているのだが、ハッチャケた役で、すごく印象深い。髪も金髪で、なんかイメージが違うが、やっぱりかわいいなと思う。精神病院であれ、どこであれ、みんなで楽しく喋っている少女たちの姿はかわいらしいし、だからこそ、悲劇がすごくかなしくていい映画だと思う。

17歳のカルテ / Girl, Interrupted
7

内省的な気分になれる映画

精神病棟を舞台にして、そこに入院して生活している少女達を描いた作品です。主人公として登場するスザンナ・ケイセンの自伝小説を映画化しています。スザンナ・ケイセンの病は境界性人格障害というもので、同じくこの病気を患った経緯を持つウィノナ・ライダーが主演を務めています。精神病にかかってしまった少女達のストーリーは気軽に楽しめる話ではありませんが、ちょっと立ち止まって自分の内面と向かい合いたいときにオススメです。

病棟で暮らす少女達の一人、リサを演じたアンジェリーナ・ジョリーは、その迫真せまる演技でアカデミー賞を受賞しましたが、リサというキャラクターには「イラついた」と語っています。アンジェリーナ・ジョリーがそう言うのも納得で、リサはお山の大将のように振る舞う悪ガキで、自分の病気を治そうともしていないし、他の入院患者の少女達の病状が良くなることを願ってもいません。つまり、まったく建設的な考えがないのです。それが精神病が引き起こすものなのかもしれません。主人公のスザンナも自分の人生に対してポジティブな考えを持っておらず、むしろ破滅的な行動をした為に病気と診断され、病棟にやってきました。

前向きな気持ちや考えが持てないときというのは、自分にとってとても苦しいものです。しかし映画の中の少女達ほどではないとしても、そういうときは誰にでも訪れるものです。自分の人生や自分自身を壊してしまうようなとき、そんなときの脱出方法をこの映画の中に見つけられるはずです。