ユーモア溢れる男が、命をかけて守る愛
戦時中の社会派ヒューマンドラマとして名高い本作は、鑑賞した人を間違いなく魅了し、虜にしてしまう。
時代や年齢性別を問わず、多数の心を惹きつけるのは、本作が愛の物語だからであろう。
ホロコーストを題材として取り扱っている作品の中では、間違いなくトップクラスに明るく、鑑賞後に流す涙が温かい。
舞台は第二次世界大戦の真只中のイタリア。
物語の前半は、本当に戦争が始まるのか?と疑いたくなるほど、ほのぼのとした雰囲気で主人公グイドと妻ドーラの恋模様が描かれる。
本作を観て、恋人に声をかけるとき「今日は、お姫様」と言いたくなった人は多いのではないだろうか。
グイドとドーラが出会い、結婚し、息子ジョズエが生まれるまでは、多少長尺に感じてしまう人もいるだろう。
しかし、このほのぼのとした日常をしっかり表現することが、後半に効いてくるのだ。
後半は、ユダヤ人であるグイド一家が強制収容所に送られ、辛い展開となる。
迫害され、理不尽な扱いを受けるユダヤ人だが、グイドは息子ジョズエに辛い思いをさせないよう、「これはゲームだ」と伝えるのだ。
収容所の中でも機転の利いた言動を繰り広げるグイドのユーモアに、観客は常時クスッと笑わされる。
本作は第二次世界大戦中のユダヤ人の話なのにも関わらず、最初から最後まで、終始明るさを徹底している。
グイド役を演じ、自身で監督も務めたロベルト・ベニーニは、戦争の愚かさや恐ろしさだけでなく、それと同時に愛の素晴らしさ、人生の美しさを見事に表現しきった。
本作をまだ観たことがないという人は、絶対に一度は、是非観てほしい。
映画のエンドロールと共に、様々な感情をすべて含めた温かい涙を流すだろう。