大島渚監督の戦場のメリークリスマスを紹介!現代の若者にこそ観て欲しい!
『戦場のメリークリスマス』は映画監督・大島渚の代表作である。第二次世界大戦をテーマにした戦争映画でありながら戦闘シーンが描かれない異色の作品で、歴史の闇の部分も容赦なく描いていることで知られる。
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『戦場のメリークリスマス』は映画監督・大島渚の代表作である。第二次世界大戦をテーマにした戦争映画でありながら戦闘シーンが描かれない異色の作品で、歴史の闇の部分も容赦なく描いていることで知られる。
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2016年1月にデヴィッド・ボウイが亡くなったとき、坂本龍一が悲しみのコメントを出した。2人は『戦場のメリークリスマス』で共演した仲だ。この作品にはその他にもビートたけしや内藤剛志、内田裕也といった大物が出演している。
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『戦場のメリークリスマス』は大島渚が監督を務めた映画作品で、原作は南アフリカの作家ローレンス・ヴァン・デル・ポストの短編集『影の獄にて』に収録されている「影さす牢格子」と「種子と蒔く者」。第二次世界大戦をテーマに、歴史の闇を容赦なく描いている。
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「戦場のメリークリスマス」は、日本統治下にあるジャワ島の日本軍俘虜収容所を舞台に兵士たちの奇妙な友情や愛を描いた1984年公開 大島渚監督の映画で、主演と音楽を務めた坂本龍一の美しいテーマソングもとても有名な作品です。
この映画は、ロック歌手のデヴィッド・ボウイやコメディアンのビートたけし、そして、前述した坂本龍一といわゆる職業俳優では無いメンバーがメインキャストを務めています。これは、職業俳優が演じてしまうとその技術で小綺麗にまとまってしまい、リアルな表現が出来ないという大島渚監督の狙いがあったそうです。その狙い通り、極限の精神状態の中にいる兵士たちの感情の揺らぎが繊細に描かれています。
陸軍少佐ジャック・セリアズを演じるデヴィッド・ボウイの美しさはロック歌手である彼しか出せないものですし、軍曹ハラを演じるビートたけしのぶっきらぼうな演技はハラの憎めない人間性を見事に表現しています。この映画は、戦争映画なのに一切戦闘シーンがありません。描かれるのは、収容所での兵士たちの悲しい過去やプライド、性別を超えた許されない恋心や国境を超えた友情だけです。
それなのに、この映画を観終わった後には戦争に対して非常に強い嫌悪が生まれてきます。反戦をかっこいいアクションシーンで描かず、精神描写だけで描いた大島渚監督の傑作です。
まず何より音楽が素晴らしいです。あの音楽を聞くとなんか切なくなるというか、クリスマスを思い出します。
また、終わり方も良くて、あの時はそれが許されなかったことだった挨拶ができるというのが、戦争が終わったことを示しているなって感じました。捕虜と日本兵だったときも本当は友達みたいにクリスマスを祝いたかったのかなとか思いました。
話的には、よく分からないところもありました。あの時代のことがよく分からないし、あまり大きなこともおきてない、いや、おきてるんだけど映画的にはそんな盛り上がりがない感じだったように思います。坂本龍一さんの音楽は素晴らしいし、顔もすごく味があっていいのですが、役者じゃないし演技はちょっと…ですよね。そこが気になりました。
もともとこの映画は有名だけどどういう話かまでは知らずに見ました。なんか、思ったよりもBL要素があってびっくりです。でも、別に性別とかそういうことじゃなくて、戦争があり中に何もできない、人を好きにもならないという悲哀だったんだと思います。あの時はそれが正しいことやら、よくないことではあってもそうせざるを得ないこともあったのかもしれません。なんだか、そこらへんが切なくて戦争は怖いなと感じました。
名作には必ずと言っていいほど名曲がありますが、今作はそれに加えて奇跡のキャスティング!デヴィッド・ボウイ×坂本龍一×北野武。
★カッコイイというより美しい!ボウイの美的センスが光る
ボウイの美しいブルーアイズ、シュッとしたスタイル、上品な立ち振る舞いに終始うっとりしてしまいました。これは私の推測ですが、舞台は真夏で暑いはずなのに緑の薄手のマフラーをスカーフのように首に巻いていたのは、ボウイの発案では?と思うほど、おしゃれでした。少年時代のシーンで学生服にカンカン帽を斜めにかぶっているのですが、それがまた絶妙な角度でかぶっていたので分度器で図りたくなるくらい、めちゃめちゃおしゃれでした。美的センスや表面的な美しさはもちろん、セリフを発するだけでグッと吸い込まれるような、内から強烈に放つ魅力は凄まじかった。
★恥よりも死を選ぶ、あの時代の日本男児が信じていた正義と生き様
武士道精神が色濃く残っていた頃の日本兵、というよりは日本人男児の生き様を見たような気がしました。捕虜のヨーロッパ人側は肩に銃を持っていますが、日本人側は腰に日本刀を備えており、何か失態を犯すと腹切りすることで己の命をもって己の罪を償うという、今では考えられないことですが、当時は恥を抱えて生きるよりも尊厳を保ったまま死んだ方が、自分にとっても、また家族にとっても幸せであり、正しいとされていました。この思想が正しいかどうかはさておき、日本人の粋や高潔な精神、謙虚であることを大切にしてきたルーツは、ここから来ているのかもしれないと感じました。そう思うとメインの捕虜たちはイギリス人である設定も偶然ではない気がしました。イギリスにも騎士道精神みたいなものが少なからず存在していて、どこか共鳴できる共感できるところがあったからこそ、築けた友情があったと思います。デヴィッド・ボウイと坂本龍一、北野武とローレンスのそれぞれの友情や人としての繋がりを、名優たちの目線や表情、決して多くはない会話のやり取りで感じれるところも見どころです。
★奇跡のキャスティング!デヴィッド・ボウイ×坂本龍一×北野武(ビートたけし)
やっぱりこの奇跡のキャスティングが実現したのは、大島監督だからこそ成し得たことだと思います。名作には名曲あり、そして名優ありです。戦場シーンは一切ないのにも関わらず、戦争によって人生が狂わされる惨さを名優たちの目線や表情から十分に伝わってきます。彼らがすでに持ち合わせている人としての魅力が役に厚みと広がりを持たせ、それぞれのキャラクターに人間味を感じられるところも見どころです。
【こんな人におすすめ】
・戦闘シーンは苦手だけど、戦争をテーマにした名作を見たい。
・デヴィッド・ボウイの魅力、美しさを堪能したい。
・構図、色、光の使い方が素晴らしいショットの作品を見たい。
【こんな人は向いてない】
・大規模で迫力ある戦闘シーンが見たい。
・分かりやすくて、見やすい、笑える作品が見たい。
『戦場のメリークリスマス』でビートたけしが演じる『ハラ』は、戦時中に「正義」とされていたことに追従していた人だった。
時代の価値観がハラを生み、そしてハラは、戦犯となり裁かれる。
ハラは、加害者ではなく犠牲者だった。
一度この映画を最後まで見てから、もう一度頭から見ると、最初は極悪人に見えた『ハラ』が、ただの「かわいい人」に見えてくるのである。
人間は、一生懸命葛藤を抱えながら生きている。
性善説で見るか性悪説で見るかでまた変わってくるのだが、被害者側からすれば許せないことはあるにしても、俯瞰して見れば、どんな罪人も最終的には許されていいのかもしれないと、この映画を見て思う。
美空ひばりの『愛燦燦』の歌詞に、「人は可愛い可愛いものですね」とあるが、戦場のメリークリスマスでは悲しい戦争のシーンや体罰のようなシーンがあるが、それが時代の正義だったのだから仕方がない。
作家の永井荷風は、日本が戦争に負けることを知っていた。
フランスに留学していたためである。
それで、言語統制に引っかかったり引っかからなかったりしながら、遊郭などで遊んで暮らしていた。
ハラのような人間と永井荷風のような人間のどちらが聡明でどちらが真面目だったか、とこの映画を見て色々考えるきっかけとなった。