戦場のメリークリスマス

戦場のメリークリスマス

『戦場のメリークリスマス』(英:Merry Christmas, Mr. Lawrence)とは、1983年5月28日に日本で公開された映画作品。大島渚が監督を務め、日本、イギリス、ニュージーランドによる合作として製作された。テレビ朝日が映画製作に初参入した記念すべき第1作目でもある。
原作は、南アフリカ共和国の作家ローレンス・ヴァン・デル・ポストによる短編集『影の獄にて』。著者のジャワ島における日本軍俘虜収容所での実体験をベースにしている。第36回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されて高い注目を集めたほか、英国アカデミー賞で作曲賞を受賞するなど、世界的な評価を獲得した。近年ではデジタル修復版による国内外でのリバイバル上映が行われており、2023年には劇伴を手掛け出演も果たした坂本龍一の逝去に伴う追悼ロードショーも実施された。
物語の舞台は1942年、日本軍政下にあるジャワ島の日本軍俘虜収容所。日本語を解する英国陸軍中佐ジョン・ロレンスと、粗暴ながらもどこか人間味を残す軍曹ハラとの間に芽生える奇妙な友情や、厳格な収容所長である陸軍大尉ヨノイと、彼の心を揺さぶる反抗的で美しい英国陸軍少佐ジャック・セリアズとの言葉を超えた精神的結びつきが描かれる。文化や価値観の対立、戦時下という極限状態における男たちの絆を映し出し、敗戦後の1946年のクリスマス前夜、立場が逆転したロレンスとハラの切ない再会と別れで物語は幕を閉じる。
本作は毎日映画コンクールで日本映画大賞や男優助演賞(ビートたけし)などを受賞したほか、日本アカデミー賞でも多数の優秀賞や話題賞を獲得。デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしといった当時の最先端を行く異色のキャスティングと、坂本が手掛けた美しいテーマ曲とともに、日本映画史に残る不朽の名作である。

akiyama0のレビュー・評価・感想

戦場のメリークリスマス
8

戦場のメリークリスマスー戦争に翻弄された悲しき男たちー

「戦場のメリークリスマス」は、日本統治下にあるジャワ島の日本軍俘虜収容所を舞台に兵士たちの奇妙な友情や愛を描いた1984年公開 大島渚監督の映画で、主演と音楽を務めた坂本龍一の美しいテーマソングもとても有名な作品です。
この映画は、ロック歌手のデヴィッド・ボウイやコメディアンのビートたけし、そして、前述した坂本龍一といわゆる職業俳優では無いメンバーがメインキャストを務めています。これは、職業俳優が演じてしまうとその技術で小綺麗にまとまってしまい、リアルな表現が出来ないという大島渚監督の狙いがあったそうです。その狙い通り、極限の精神状態の中にいる兵士たちの感情の揺らぎが繊細に描かれています。
陸軍少佐ジャック・セリアズを演じるデヴィッド・ボウイの美しさはロック歌手である彼しか出せないものですし、軍曹ハラを演じるビートたけしのぶっきらぼうな演技はハラの憎めない人間性を見事に表現しています。この映画は、戦争映画なのに一切戦闘シーンがありません。描かれるのは、収容所での兵士たちの悲しい過去やプライド、性別を超えた許されない恋心や国境を超えた友情だけです。
それなのに、この映画を観終わった後には戦争に対して非常に強い嫌悪が生まれてきます。反戦をかっこいいアクションシーンで描かず、精神描写だけで描いた大島渚監督の傑作です。