死ぬまでに見るべき!名作『戦場のメリークリスマス』4K修復版の感想・レビュー
名作には必ずと言っていいほど名曲がありますが、今作はそれに加えて奇跡のキャスティング!デヴィッド・ボウイ×坂本龍一×北野武。
★カッコイイというより美しい!ボウイの美的センスが光る
ボウイの美しいブルーアイズ、シュッとしたスタイル、上品な立ち振る舞いに終始うっとりしてしまいました。これは私の推測ですが、舞台は真夏で暑いはずなのに緑の薄手のマフラーをスカーフのように首に巻いていたのは、ボウイの発案では?と思うほど、おしゃれでした。少年時代のシーンで学生服にカンカン帽を斜めにかぶっているのですが、それがまた絶妙な角度でかぶっていたので分度器で図りたくなるくらい、めちゃめちゃおしゃれでした。美的センスや表面的な美しさはもちろん、セリフを発するだけでグッと吸い込まれるような、内から強烈に放つ魅力は凄まじかった。
★恥よりも死を選ぶ、あの時代の日本男児が信じていた正義と生き様
武士道精神が色濃く残っていた頃の日本兵、というよりは日本人男児の生き様を見たような気がしました。捕虜のヨーロッパ人側は肩に銃を持っていますが、日本人側は腰に日本刀を備えており、何か失態を犯すと腹切りすることで己の命をもって己の罪を償うという、今では考えられないことですが、当時は恥を抱えて生きるよりも尊厳を保ったまま死んだ方が、自分にとっても、また家族にとっても幸せであり、正しいとされていました。この思想が正しいかどうかはさておき、日本人の粋や高潔な精神、謙虚であることを大切にしてきたルーツは、ここから来ているのかもしれないと感じました。そう思うとメインの捕虜たちはイギリス人である設定も偶然ではない気がしました。イギリスにも騎士道精神みたいなものが少なからず存在していて、どこか共鳴できる共感できるところがあったからこそ、築けた友情があったと思います。デヴィッド・ボウイと坂本龍一、北野武とローレンスのそれぞれの友情や人としての繋がりを、名優たちの目線や表情、決して多くはない会話のやり取りで感じれるところも見どころです。
★奇跡のキャスティング!デヴィッド・ボウイ×坂本龍一×北野武(ビートたけし)
やっぱりこの奇跡のキャスティングが実現したのは、大島監督だからこそ成し得たことだと思います。名作には名曲あり、そして名優ありです。戦場シーンは一切ないのにも関わらず、戦争によって人生が狂わされる惨さを名優たちの目線や表情から十分に伝わってきます。彼らがすでに持ち合わせている人としての魅力が役に厚みと広がりを持たせ、それぞれのキャラクターに人間味を感じられるところも見どころです。
【こんな人におすすめ】
・戦闘シーンは苦手だけど、戦争をテーマにした名作を見たい。
・デヴィッド・ボウイの魅力、美しさを堪能したい。
・構図、色、光の使い方が素晴らしいショットの作品を見たい。
【こんな人は向いてない】
・大規模で迫力ある戦闘シーンが見たい。
・分かりやすくて、見やすい、笑える作品が見たい。