長く愛される映画は見る価値がある
ジャック・ニコルソン主演、スタンリー・キューブリック監督作品、1980年の作品である。
公開された当初は、最先端の撮影技術を屈指した、技術優先の話題作だったが、40年の時を経た現在でも、この映画の面白さは健在だ。
雪深い冬に閉鎖される山奥の巨大ホテル。建物の品質を管理するため冬の間管理人として住み込みで働く売れない作家ジャック・トランスと
妻のウエンディ、息子のダニーの3人の家族。
息子のダニーは不思議な能力「シャイニング」を持つ少年。ホテルの中で次々と不可解な出来事を目撃する。
やがて父のジャックはアルコール中毒から幻想を見て狂い出し、斧で家族を惨殺しようとする。
見るからに幸薄そうな妻を演じるジュー・デュヴァルが恐怖におののき、逃げ惑う表情がさらに恐怖をかき立てる。
浴室に隠れ部屋から脱出を試みるがジャックに見つかり、斧で扉をたたき割り、穴から顔を覗かせて「I'm Home」と狂気に満ちた笑顔を見せる。
誰もが知るこの映画の名場面だ。
作品の撮影技術もさることながら、全編にわたって響き渡る不安定なブーストされた低音と突如金切り声を上げるかのようなバイオリンの不快な高音。
少しずつ狂って行くジャック・ニコルソンの演技は、本当に狂っているのではないのかと心配になるくらいだ。
雪の降り積もるホテル前に作られた、遊び場の迷路で息子のダニーを斧を持って追いかけ回る。
このシーンで映画史上で始めて作られた、ステディーカムは、カメラマンが走って演者を追いかけてもカメラがぐらつかない技術。
今となっては当たり前の撮影技法になったが、それでもこの映画の追われる恐怖を絶妙に表現している。
良い映画は永遠に残る。
ホラー映画が苦手な人にはお勧めできないが、映画の面白さを知りたい若い人たちに是非見て欲しい1本だ。