細かく描かれるキラとラクスの絆の行方、『SEED』 『SEED DESTINY』を観た方には是非観て欲しい作品!
人は自分の役割を知り、その役割のみをまっとうして生きていく──。
先のプラント評議会議長のギルバート・デュランダルが提唱した「デスティニープラン」を、キラは真っ向から否定した。そんな世界は傲慢だと、人々の未来は自分の手で得るものだと。否定したのは正しかったはずだ。
しかしデュランダルが死した後、世界は彼が口にした通り、戦争をしている。足元の火種を消したかと思えば、今度は別の場所で戦火が上がる。
人々はどうして争いをやめないのだろう、もしかしたら、デュランダルは正しかったのか?
世界平和監視機構コンパスの准将としてライジングフリーダムガンダムを駆るキラは、本当に正しいのは自分なのかデュランダルなのか、分からなくなりつつあった。
正しい選択をしたはずなのに、その選択に自信が持てなくなっていた。
一方ラクスは初代のコンパス総裁として、キラとは違った立場で戦争を止めようとしていた。
ある日、ラクス、キラをはじめとするコンパスは地球の一国家であるファウンデーション王国を訪れた。
戦争の原因となっているブルー・コスモスのミケールの捕縛に、ファウンデーションが手を貸そうというのだ。
そこでラクスは、かの国の宰相であるオルフェ・ラム・タオと奇異なめぐり逢いを果たす。彼と握手をしたとき、互いに着けていた指輪がふれあい、ラクスの脳内にオルフェの思念が流れ込んでくるのだ。
思わずオルフェの雰囲気に飲まれそうになるラクスだが、耳元でキラに名を呼ばれ、ハッとして我に返る。しかし脳に覚えた違和感が何だったのか、わからなかった。
それからキラはファウンデーションとコンパスのミケール捕縛作戦の中、ユーラシアとの軍事国境線を越えて攻撃したことで、協定違反を犯した。
原因は先のラクスと同じように、脳内に誰かからの思念を送られ、正気を保てなくなったことだった。ラクスとしてもこの事態だけはどうすることもできず、結果的にキラを討てと命じることしかできなかった。
その決断の直後、今度は核ミサイルが撃たれる。停止は間に合わない、避難することしができない。
ラクスはキラの安否を気遣いながらも、オルフェに促され、彼やファウンデーションの幹部とともに脱出。キラを撃ってしまった悲しみから昏倒するのだった。
そして、ファウンデーションに捕まってしまうという結果に陥った。
キラはキラで、ファウンデーションが率いるブラックネイトスコートに命を狙われていた。キラの精神を乱し、核を撃ち、キラを沈めようとファウンデーションが最初から企んでいたのだ。
キラが戦場で追い詰められる。敵に包囲された状況で、ライジングフリーダムもそう長くはもたないほどに損傷してしまっている。
そこに駆け付けたのが、赤いズゴックを操作するアスラン・ザラだった。彼は厳しい表情を崩さず、冷静にブラックナイトスコートのモビルスーツと戦い、絶望の中にいるであろうキラを助けた。
だがキラはラクスに裏切られたことへのショックを隠せない。
「ラクスに会いたい──」
弱気な自分を叱咤してくれたアスランに、その場に集う面々に、キラはポツリとそうつぶやいた。
そう、彼はただラクスに隣にいて欲しかっただけなのだ。ただ笑っていてくれたら、それだけで幸せだったのだ。
ようやく心の整理がついたキラに、アスランは手を伸ばす。一緒にラクスを助けに行こう、と。
ラクスもオルフェからの執拗なアプローチに困り果てていた。それに、自分はコーディネーターを超えたアコードという人間なのだとも打ち明けられた。
アコードとは遺伝子を操作して生まれたコーディネーターの上位種で、無言のうちの意志の疎通がはかれるという人種。世界を導き、繁栄をもたらす存在。ラクスはオルフェとは対の存在で、2人が手を取りあうのは必然なのだという。
アコードとはいったいどんな存在なのか。
キラはラクスを救えるのか、そしてきちんと自分の気持ちを伝えることができるのか。
『ガンダムSEED』、『ガンダムSEED DESTINY』ファンには必見の作品であることは間違いない。