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これが「目」と「表情」で語る映画だ!
沖野(二宮和也)の怒涛の取り調べシーン。あれは言わずもがなこの作品の見所です。アドリブだと言われている「その辺で首吊って死んでくれるか?」を初めて聞いたときは思わず震えあがりました。でも、見所はそれだけではないんです。最上(木村拓哉)の目で語る焦り、悔しさ、正義が導く矛先が変わった瞬間は観ているこちら側がゾクっとしてしまいます。また、最上の変化に気づき、疑問を抱き始める沖野の苦しみ、辛さ、葛藤が見える表情もこちらが顔をしかめてしまうほどです。さらに、橘(吉高由里子)の今にも消えてしまいそうなのに、芯の通っている声が、最上と沖野をより一層引き立てていると思います。私は、はっきり言ってこの映画は1回みただけでは分からないと思います。2度も3度も見ることで、やっと物語がなにを表しているのかが目に見えて来ます。映画のラストシーンでは、最上と沖野それぞれの正義が真っ向からぶつかり合います。なぜ沖野はあのタイミングで叫んだのか。最上はなぜハーモニカを持って外に出たのか。それを踏まえて2回目の鑑賞をすることをお勧めします。そして、現代の日本の社会問題についても勉強しておくとより良いかもしれません。あなたもこの映画を見たら、エンドロールの時間があっという間に感じますよ。