すずめの戸締まり所感
100点中55点。深海監督の作品を見るのは2作目。展開は見やすく飽きのこないスピード感で、スズメの好感度も嫌味がなく理想的と言える。スズメが各地に移動していくことで観客の地元が出て来たり銘菓も登場するため、今作の聖地巡礼などで地方が盛り上がるだろうことも予想され、その点においては拍手喝采である。ただ、キーキャラクター(ダイジン・サダイジン)の扱い方が雑で、観客は若干置いていかれる。ダイジンはもう一人の主人公ともいえるが、急にスズメになつきすぎで感情がついていかない。サダイジンについては、演出上グレイな状態にしておきたいことは理解できるが、もう少し丁寧な描き方をしても良かったと思う。また、取り上げたテーマについてはちょっと時期尚早な感じも否めない。こんな風になったらいいね、というゴールは方向性としては良いが、もう少し丁寧に作り込めたと思う。またスズメと草太との関係性にリアリティがなく入り込めなかったが、恋にあこがれている層にはとても刺さるかもしれない。泣かせにくるポイントもありきたりではあったものの、セリフが良かったことが上手くこの映画のターゲット層にはヒットしたのだろう。それ故の高評価になっていると思う。