ベティ・ブルー 愛と激情の日々(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
1986年制作、フランス映画。激しく愛し合うベティとゾルグ。ゾルグを深く愛するほど自分を失い、破滅に向かうベティとそんな彼女をありのままに受け入れるゾルグだが、やがてベティの行動はエスカレートしていく。刺激的なストーリーと美しい映像で世界的なロングランヒットとなった。原作はフィリップ・ジャンの同名小説。監督はジャン=ジャック・ベネックス。
ベティはゾルグが偉大な作家だと信じているが、ゾルグはそんな風には思っておらず、もらった仕事を受けるだけで気ままに暮らしている。
そんなゾルグに苛立つベティは買い物に行っても駐車場の車の上でふんぞり返っている。
「何をしているんだ」「お尻を温めてるの」
色彩のない背景に車の黄色と赤いドレスが際立つ。
ピアノの連弾
エディの母親の通夜に出席するベティとゾルグだが、疲れ切っていたゾルグは通夜の最中に寝てしまう。
眠気覚ましに階下のピアノ店に行きピアノを弾き始めると、いつの間にかベティが向かいのピアノを弾いている。
「ピアノが弾けるのか」「キーを叩いただけよ」
そんな会話をする何気ないシーンだが、印象に残る一幕である。
「書いてるの?」
監督のジャン=ジャック・べネックスの映画は青い色が特徴的に使われる。このラストシーンも空気が青く染められたように描かれている。
ベティがいなくなり、静寂が訪れた部屋の空気を青で表現しているかのようだ。
『ベティ・ブルー 愛と激情の日々』のエピソード・逸話
ベアトリス・ダルはベティそのもの
主演のベアトリス・ダルはこの映画でデビューし、鮮烈な印象を残した。当時のことを語るインタビューがある。映画と同様、人を愛することにかけては全身全霊を傾ける。
「あの映画の中の私は演技してるんじゃない。あれはわたしそのもの」
「人を愛してるときはその愛だけがすごく大切で、もうそれしか目に入らない。人を愛してるときは自分のくだらない人生なんかどうでもよくなっちゃうの。相手にもすべて投げ出してほしいと思う」
「自分に似た役をやりたい。妥協したくない。私と違いすぎるような人間は演じたくない」
後に宝石を盗もうとして捕まったり、獄中結婚したりと本人の生き方も破滅的で激しい。ベティを「わたしそのもの」と言うのもうなずける。
原作と違うベティの年齢
原作はフィリップ・ジャンの同名小説だが、その小説の中でのベティの年齢は29歳。
映画と同じくベティの誕生日を祝うシーンがあるが、そこでは「30歳おめでとう」となっている。
映画では20歳の誕生日を祝っている。原作と映画で10歳の差があるが、そのことについての説明は見当たらない。
本能のままに生きているようなベティなので、30歳のままでは設定が苦しかったのか、女優の年齢に合わせたのかは謎である。