ブリット(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ブリット』は1968年公開のアメリカ映画。主演は『傷だらけの栄光』など数多くの映画で知られるムービースター、スティーブ・マックイーン。監督はピーター・イェーツが務める。1968年の『アカデミー賞』では編集賞を受賞し、2007年には「文化的・歴史的・芸術的にきわめて高い価値を持つ」とされ、アメリカ国立フィルム登録簿に登録された。カーチェイスなどの派手な演出でも話題を呼び、70年代のポリスアクションブームの先駆けとなった、スティーブ・マックイーンの代表作のひとつとなっている。
『ブリット』の概要
『ブリット』は1968年公開のアメリカ映画。主演に『傷だらけの栄光』のスティーブ・マックイーンを起用し、監督は『ニューヨークの亡霊』など、様々なジャンルの映画を手掛けたピーター・イェーツが務める。
アメリカ本国では1968年10月17日、日本では1968年12月21日に公開された。1968年の『アカデミー賞』では編集賞を受賞、1970年代に大流行したポリス・アクション映画の先駆け的存在となった。2007年には文化的、歴史的、芸術的と総合的に高い価値を見出され、アメリカ国立フィルム登録簿に登録される快挙も成し遂げている。
日本での人気も高く、2015年3月7日にWOWOWで再放送された際、初回放送時にカットされた部分を、一部に代役を立てた同一キャストで追加収録したものが放送された。2018年6月6日発売の「吹替の力」シリーズから『ブリット 日本語吹替音声追加収録版 ブルーレイ』も、上記のWOWWOW版を収録したかたちで発売されている。
サンフランシスコ市警察本部捜査課の警部補、フランク・ブリットは、ある日裁判の重要証言者であるマフィアの組員の保護を命じられる。その組員は組の金を横領し、ヒットマンから狙われたために、司法取引によってマフィアを潰す証人となったのだ。しかしその証人は、彼が非番の日にヒットマンの手によって殺害されてしまったのだ。
その場に居合わせた刑事の証言により、その死の状況に違和感を覚えたブリットは、独自に捜査を開始する。
『ブリット』のあらすじ・ストーリー
事件のはじまり
サンフランシスコ市警察本部捜査課に所属する、フランクブリット警部補は、ある日上院議員のチャルマースから裁判の重要証言者の保護を命じられる。その証言者とはマフィアの組員の、ジョー・ロスという男だった。ロスは組の金を200万ドルも横領したことが露呈して命を狙われる立場に陥ったために、証言をして組を潰し、その間は安全に保護してもらうことを目的として司法取引に応じていた。
そうして護衛として白羽の矢が立ったブリットは、部下のデルゲッティ部長刑事やスタントン刑事と交代でホテルの一室にてロスを保護する。
ところがどういうわけか、ブリットが非番の日に、ロスは部屋のドアを開け、入ってきたヒットマンに射殺されてしまい、その場に居合わせていたスタントン刑事も重傷を負ってしまう。
不審な証人
ケガを負ったものの命は助かったスタントン刑事の「ロスが自らドアを開け不審者を部屋に入れた」という証言から何か裏があると感じ取ったブリットは、ロスが死亡していることを隠し、警護していることを装ってデルゲッティ刑事と共に独自の捜査を進めることを決意する。そこで生きていると思われているロスを追うヒットマンたちから、ブリットは命を狙われることになってしまった。
車を運転中にヒットマンに襲われ、激しいカーチェイスを制したブリット。追ってきたヒットマンはその事故で顔も判別できないほど焼けてしまい、ロスを殺した犯人と同一人物であることを決定づける証拠は何も得られなかった。
捜査のゆくえ
カーチェイスを制し、なんとか殺し屋から逃げ切ることに成功したブリットは、この任務の依頼人、チャルマースの行動に疑念を抱いていた。
自身をこの事件の担当から外させようとチャルマースから圧力をかけられながらも、上司に掛け合って何とか翌日までの猶予を得たブリットは、ロスが襲撃される前に電話をかけていたドロシーという女を訪ねて滞在先のホテルに向かう。しかし、時すでに遅くドロシーは殺され、彼女と夫が手配していたローマ行きの飛行機のチケットやパスポートが消えていた。ドロシーの素性を調べたことで、彼女の夫であるレニックという人物こそ、ロスとして殺された男だと突き止めるブリット。
本物のロスは大金でレニックを雇って出頭させ、ヒットマンに殺されるよう仕向けた上で、彼の妻であるドロシーを殺してパスポートを奪い、逃走ルートを確保していたのだ。
空港での激闘
チャルマースは裁判を確実にするため、ロスの影武者であるレニックをブリットに護衛させて本物のロスを隠していたのだ。すべてを理解したブリットは、押収したレニックの遺品を元に、ロスが乗るであろう飛行機を割り出した。ロスの出国を止めるために空港へ急いだブリットは、ロスがローマ行きではなく別の飛行機に乗り換えたのではないか、と推理して、出発直前のロンドン行きの機をゲートに戻らせる。
彼の推理は当たり、後部ドアから飛び降りてきたロスは滑走路へ逃げていった。
激しい逃走劇と戦闘を制したブリットは、証言が済むまで殺すなと命ずるチャルマースの言葉を無視し、ロスを射殺する。
『ブリット』の登場人物・キャラクター
フランク・ブリット(演:スティーブ・マックイーン)

テレビ朝日版日本語吹き替え:内海賢二
追加収録吹き替え:落合弘治
サンフランシスコ市警本部捜査課の警部補。無駄を嫌い、多くを語らない寡黙な人物。
証人であるロス(実際は影武者)の死を機に組織や権力に対する不信感を強め、チャルマースの命令に背いてロスを射殺することで自身の正義を貫いた。
卓越した運転技術を持っており、自身を殺そうと迫ってきたヒットマンとのカーチェイスを制している。
ブリットのクールでスタイリッシュなファッションや言動は、当時の若者を中心に大きな影響を与えた。
ウォルター・チャルマース(演:ロバート・ヴォーン)
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画像右がチャルマース
テレビ朝日版日本語吹き替え:矢島正明
追加収録版吹替え:矢島正明
上院議員。野心が強く、自身の権力と名声のためには手段を選ばない節があり、事件の重要証人であるロスを自身の政治的道具に利用しようとしたことから、ブリットに彼の保護を命じた。
ロスが殺害された後も、自身の立場を守るためにブリットの捜査に圧力をかけるなど、腐敗した権力の象徴として描かれている。
レニック(演:フェリス・オルランディ)
テレビ朝日版日本語吹き替え:宮田光
チャルマースがロスとして送り、ブレットに護衛するよう命じた人物。
ロスに大金で雇われて出頭して警察に保護され、ホテルの一室に滞在していたものの、ヒットマンに殺されてしまう。
その死の状況に疑問を持ったブレットは独自に捜査を始め、彼が替え玉として送られていた真相に辿り着く。
ジョー・ロス(演:パット・リネラ)
正真正銘本物のロス。マフィアの組員であり、組織の金を横領したため命を狙われている。
大金で雇ったレリックを自身の替え玉として警察に保護させ、その間にレリックの妻を殺害して海外への逃亡を目論んでいた。
イギリスへの逃亡を目論むが、自身の替え玉として殺害されたレリックの死に疑問を持ったブリットが真相を突き止めたことでこれに失敗、空港内で逃走劇を繰り広げた末射殺された。
『ブリット』の用語
1968年型フォード・マスタングGT390
目次 - Contents
- 『ブリット』の概要
- 『ブリット』のあらすじ・ストーリー
- 事件のはじまり
- 不審な証人
- 捜査のゆくえ
- 空港での激闘
- 『ブリット』の登場人物・キャラクター
- フランク・ブリット(演:スティーブ・マックイーン)
- ウォルター・チャルマース(演:ロバート・ヴォーン)
- レニック(演:フェリス・オルランディ)
- ジョー・ロス(演:パット・リネラ)
- 『ブリット』の用語
- 1968年型フォード・マスタングGT390
- 『ブリット』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ブリット「あんたは道の向こう側で仕事をすればいい。俺は自分の仕事をする」
- ブリット「いいか、チャルマース。お互い理解し合おうじゃないか。おれは、あんたが嫌いだ」
- ブリットと殺し屋のカーチェイス
- 『ブリット』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- テレビドラマ『太陽にほえろ!』の製作で参考にされた本作
- ブリットのモデルは連続殺人を担当した実在の刑事