失ったものを取り戻す物語『変態王子と笑わない猫。』

2013年春に放送されていたアニメ『変態王子と笑わない猫。』に関する記事です。この作品は、願う人が不要としているものを、必要としている他の人に引き渡す力を持つ「笑わない猫像」を中心に、人たちの願いを変わった形で叶えていく物語です。この記事では「笑わない猫像」に振り回されるキャラクター達を紹介します。

『変態王子と笑わない猫。』とは

日頃から女の子のことばかりを考えて過ごしていた横寺陽人は、所属していた陸上部の部長から次期部長に指名されます。人に言えないような不純な動機で陸上部に所属していたため、陽人は断ろうとしますが「建前」で喋ってしまう癖のせいで「本音」が言えずに断ることが出来ませんでした。ある日。町外れの一本杉の近くにある「笑わない猫像」の話を聞きます。その話によると「笑わない猫像」は、お供え物を捧げることで、自分のいらないものを、それを必要としている誰かに渡してくれるようでした。陽人は半信半疑でそこに向かうと一人の少女に出会います。

「本音」を捨てたい少女

その少女は筒隠月子という名前で、彼女も「笑わない猫像」に自分の「本音」を引き取ってもらおうと考えていました。月子と陽人は共に像に願います。すると、二人の供物が消えてしまい、それと同時に陽人は「建前」を、月子は「本音」をなくしてしまいます。月子は本音と共に感情もなくしてしまって困っていました。陽人に至っては、建前をなくしたことで考えていることが全て外に漏れてしまい、学校中の生徒から「変態王子」という不名誉なあだ名を付けられて避けられるようになります。陽人は月子と協力して、それぞれの失ったものを取り戻すために奔走します。

猫像に振り回される登場人物・キャラクター達

横寺陽人

人間性においての格言の数々を世に残したオスカー・ワイルドを心の師としている本作の主人公です。非常に忘れっぽい性格で、成績もあまりよくありません。日頃から女の子についての煩悩が絶えず、それに従った行為が善行だと誤解されながら生きてきました。「建前」のせいでその誤解も解かないままでいるので、周りには真面目な人間だと勘違いされています。活動場所から女子水泳部を覗き見が出来ることを理由に陸上部に所属し、毎日欠かさず部活に出席していた彼を部長に認められ、次期部長に指名されます。「建前」を失っていたときに自らの煩悩を常に口にしていた彼は、後に「変態王子」というあだ名を付けられます。

筒隠月子

陽人と同じ高校に通う1年生で、主人公の一つ下です。ショートヘアに左側に一房のお下げに幼い容姿と青みがかった瞳が特徴的です。物心つく前に両親を亡くしていて、姉と二人で暮らしています。本来は表情が顔に出やすい性格でしたが、猫像に「本音」を引き取ってもらって以来、感情が表情や言葉に表れなくなってしまいます。大食いで肉まんが大好物です。料理や絵、マッサージにクレーンゲームなど多彩な分野を得意としながらも、歌が下手なようです。姉の影響で児童福祉クラブに所属していて、同学年の部員達と仲が良いそうです。

小豆梓

陽人と同じ高校に通う2年生で、山吹色のゆるふわウェーブなロングヘアに胸が控えめな美少女です。意地っ張りで繊細な性格の彼女は、友人関係のトラブルで人間不信となり、2年の4月に転校してきました。努力家で、自他共に認める動物好きです。動物や昆虫の知識量が多く、それらにちなんだ比喩を口にすることがあります。

筒隠つくし

月子の姉で、高校3年生の陸上部部長です。ロングヘアをポニーテールにしていて、運動神経もスタイルも抜群な美人です。妹と同じく青みがかった瞳をしています。厳格な性格で感情もあまり表に出さないので、周囲から「鋼鉄の王」というあだ名で恐れられています。しかし、部内で「変態王子」と呼ばれ孤立していた陽人を気にかけるなど、思いやりのある一面を見せます。また、ファンタジーのようなわくわく感を与えてくれるものが好きで、人を信じやすく、思い込みが激しいです。手先が器用で「笑わない猫像」を作った張本人でもあります。

エミ(エマヌエーラ・ポルラローラ)

教会の聖歌隊をしていて、民俗学の教授をしている父を持っています。ライトピンクのツインテールで、イタリア人の血を引いています。可愛らしく振る舞っている彼女は、生意気でずる賢く、陽人と二人きりのときはその本性を露わにします。

「本音」をなくした少女と「建前」を手にした少女

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