父親キャラの鑑?目玉おやじについて(一部グロ注意)
物語に置いて、主人公の「父親」という存在はジャンルによってあらゆる役割を与えられるものです。時に立ちふさがる壁として、時に助言を与える役として、時に空気として物語に面白みを持たせてくれる存在。さて、『ゲゲゲの鬼太郎』の父親キャラと言えば何といっても「目玉おやじ」。体は小さくとも存在感はかなりなものです。
原作準拠の『墓場鬼太郎』が深夜放送されていたのと同時期、日曜の朝という時間を考慮してか、ファミリー向けと思われる別の『鬼太郎』が放送されました。基本的には水木先生の絵柄に沿っているものの、猫娘がやたらかわいくなっていた上に、女性キャラも概ね「萌えキャラ」状態。妖怪もマスコット的なデザインのキャラが多々いました。
この第五期『鬼太郎』において、目玉おやじの「マスコット化」が加速!流行の波に乗って「ちょい悪おやじ」に挑戦しーの、家族でレスキューやってる設定の海外ドラマにはまって救急隊を結成。「わしのことはダディと呼べ!」と言い出し―の、「ダメ息子」を持つ洋菓子店店主に共感しーの、シュークリーム食べたがり―の…。『墓場鬼太郎』の目玉おやじと同じキャラ、声優とは思えない萌えキャラと化しました。
その一方で「七つの最強伝説」なるものが語り継がれていたり、妖怪横丁の妖怪たちから慕われたりと「ただ者でない」ことを匂わせる描写がちらほらと。『墓場鬼太郎』と同じ出自だとすると生き返ってるわけですし、一目置かれるのも無理はない…。
それでも「父」には変わりなく
しかし「ちょい悪おやじ」エピソードでは、自分が捕まったのに息子の身を案じ、別のエピソードでは鬼太郎の為に自転車を買ってやりたいとアルバイトに奔走。レスキュー物のドラマにはまったのも、ドラマの父親キャラ(俳優の名前まで覚えているはまりぶり)に共感してのことでした。危険な妖怪退治を「ミッション」と称し、自ら危険地に赴くのは「ダディみたいになりたいから」。
実写映画版での目玉おやじ
ウエンツ瑛士氏主演の実写版鬼太郎ではCGで登場。鬼太郎にある嫌疑がかけられた際、「実の親だから」と証言は認められず。鬼太郎が自ら疑いを晴らすことが許されますが、「自分が地獄で責め苦を受ける」と申し出ました。幽霊族が人間に滅ぼされたことを知った鬼太郎から「何で隠してたんですか」と言われた際、観念したように「人間を恨んでほしくなかったんじゃよ」と。息子の為、心身の苦難を受け入れていたわけです。
朝ドラ『ゲゲゲの女房』より
原作者水木しげる先生の半生を描いた朝ドラ『ゲゲゲの女房』にて。長女が生まれた際にこんなシーンがありました。娘の名前を書いた紙に水木先生は目玉おやじを描き込んだのです。何せ初めての子。目玉おやじを描いた時はまだ子供はいなかったけれど、「今なら目玉おやじの気持ちが分かる」としての行為。「見守る父」の側面でもあったんですね。
まとめ
長年、実写版でさえ目玉おやじの声を担当されていた田の中勇さん、並びに原作者の水木しげる先生も鬼籍に入られました。実写映画版の目玉おやじは「人間はいつか死ぬ」として人間と妖怪の共存に反対していたようです。そこら辺を想うと感慨深いものがありますが、目玉おやじというキャラはまだまだ慕われて、生き続けるでしょう。メディアミックスで設定がどう変わろうとも、小さいのにちゃんと悪妖怪の退治のサポートが可能で頼もしい。そんな父親の鑑のようなキャラですから。
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