ナイト・チェイサー(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ナイト・チェイサー』(Night Fare)は、2015年のフランス映画。日本では2016年に劇場公開された。夜のパリを舞台とし、出来心からタクシーの乗車料金を踏み倒した不良青年2人が、運転手に執拗に追跡されて恐怖の一夜を過ごすというスリラー作品。80分という比較的短い尺の作品ながら、しっかりと散りばめられた伏線や、「強すぎる運転手」という強烈なキャラクターが評判となった。

『ナイト・チェイサー』の用語

タクシー

クリスとリュックが乗り合わせた黒いタクシー。無賃乗車をしたことで執拗に追い回される。悪人を乗せて更生させるための牢屋に裸で監禁して元兵士の回想録を読ませ、改心した彼らを運転手として新たな悪人を連れてくる役目を担っている。

元兵士の回想録

牢屋で監禁された悪人に差し入れられる本。1544年のブローニュ攻城戦において活躍した兵士の回想録で、戦犯として処刑されそうになった彼が命を救われて盗人となり、逮捕されてから改心するまでが綴られている。リュックや彼を監禁した運転手をはじめ、読んだものは改心し、新たな悪人を捕まえる側に回るようになることから、読んだ人の心を動かす不思議な魅力がある様子。

『ナイト・チェイサー』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

強すぎる運転手による悪人成敗シーン

どこへ行っても待ち構えている運転手

ちょっとした出来心の無賃乗車で運転手を怒らせ、執拗に追い回されたリュックとクリスが逃げ込んだのは、ドラッグの密売人たちの拠点となっている、とあるマンションだった。
ドラッグの売上金を汚職警官に奪われたリュックは「売上金を運転手に奪われた」と嘘をつき、これを真に受けて運転手に迫った売人たちは、もれなく彼の餌食になってしまう。
その後、家まで上がり込んできた運転手は、武装した売人たちをものともせず皆殺しにし、
逃げ出したクリスとリュックの通報で再び現れた汚職警官も殺害という「人間凶器」ぶりを発揮する。
しかし、邪魔するものを見境なく殺害しているように見せかけ、汚職に加担している様子のない警官や、リュックのいたずらである無賃乗車に巻き込まれたクリスは見逃していたりと、実は悪人だけを処分しているのである。
悪人にはとことん厳しく、改心した者は許し、自身の仲間として引き入れる。人類最強の運転手は、怒りに身を任せているだけではなく、きちんと分別のある人物であることがわかる。
運転手が悪人たちをバタバタと殺害していくシーンは、映像としても必見の、見ごたえのあるシーンだ。

『ナイト・チェイサー』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

運転手が絶対に2人に追いつけたわけは「同じような仲間がいっぱいいる」から

本作の最後には「同じようなタクシーが何十台も走行している」という意味深なシーンが挟まれており、これはリュックと同じように改心させられ、悪党から悪党を連れてくる側に転向した人物が他にもいることを示唆している。
このシーンは作中、彼らがどこへ逃げても、運転手が先回りすることができていたことの答え合わせでもある。要するに、この運転手やリュックと同じく改心した仲間達が多数存在しており、彼らのネットワークで包囲されていたという理屈だ。
悪人を改心させるために立ち上がった元・悪人たち。彼らの努力によって、作中のパリはどんどん平和になっていくのかもしれない。

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