エリザベス 神なき遺伝子(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『エリザベス 神なき遺伝子』とは、2014年に製作されたアメリカのSFスリラー映画。人類初の人間クローン誕生を巡り、科学と倫理、宗教の対立を描く。主人公のヴィクター博士は、クローン人間「エリザベス」の創造に成功するが、その発表は社会に大きな波紋を広げる。研究の正当性や人間の定義を巡る議論が激化する中、内部からの情報漏洩によって状況はさらに悪化し、ヴィクターとその周囲は次第に追い詰められていく。加えて、過去の研究に関わる問題も浮上し、事態は混迷を深めていく。

エリザベス

ヴィクター博士が生み出した、世界初の人間クローン。高度な遺伝子操作と医療技術によって誕生しており、ヴィクターによる積年の科学的成果の象徴であると同時に、「クローンは人間と呼べるのか」という議論を巻き起こす存在となる。
作中では研究対象として厳重に管理されているが、人間としての権利や尊厳を認められていない側面も強調して描かれた。
彼女自身は主体的に語ることのない赤ん坊であることから、ヴィクターの理想と科学の到達点を体現すると同時に、その危うさを浮き彫りにする象徴的な存在でもある。

『エリザベス 神なき遺伝子』(映画)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ヴィクターがエリザベスの遺体を見せつけるラストシーン

ヴィクターがエリザベスの死体を民衆に見せつけるシーンは、本作の中でも屈指のインパクトを持つシーンとして知られている。「神の意志に反するのか否かを、抽象的な議論ではなく、現実の問題として突きつけた」と解釈することもできる。それをまざまざと見せつけられ、黙りこくる人々の反応もまたリアリティがある。実際にその場面に遭遇しなければわからない部分も多いが、クローンといえども生まれたからには1つの生命であり、その亡骸を見せられたら、返す言葉もないというのが実際のところだろう。そのため、このラストには強烈なメッセージが刻まれており、それが観客に強い印象を残していることは間違いない。

しかし、全体を俯瞰すればどっちつかずの印象は拭えない。実際に「クローンを描きたいのならばもっと踏み込むべきだったし、ホラーを作りたいのだったらもっとクローンという未知の要素を最大限に活用するべきだった」という批判も上がっている。リアリティとホラーを両立させようとして、どうにも上手くいかずに失敗してしまったパターンだろうと推測できる。

『エリザベス 神なき遺伝子』(映画)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

世界観を活かした「小道具に頼らず雰囲気で恐怖を演出する」手腕

画面は終始暗い色調に覆われている。明るい雰囲気やクスリと笑えるようなシーンは一切なく、薄暗い道を仄かな明かりを頼りに進んでいくような印象を受ける作風が特徴となっている。ホラー映画に必要な雰囲気作りは完璧であるほか、登場人物の紹介やキャラの掘り下げに無駄な時間を割くことなく、ほぼ最短距離でストーリーを進めていくのも特徴的だ。
あえて情報を曖昧にしたりして、後に何かが起こることを視聴者に示している手腕も見事といえる。
クローンの誕生による世論の移ろいは予想通りといえば予想通りの展開で、賛成よりも反対の声が大きく上がるのは致し方ないといえる。今作はそんな世論と戦いながら進んでいくヴィクターの姿が描かれるが、途中から少し物語の色が変わってしまったような感は否めない。徐々にクローンの問題から焦点が離れていってしまい、段々とホラー方向に重点を置くようになってしまったのだ。
視聴者からは「問題提起はするものの、それ以上は踏み込まない。リアリティ志向なのかと思っていたので、その点は少し残念だった。」という感想も挙がっている。

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