雪の轍(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『雪の轍』(ゆきのわだち)とは、2014年に公開されたトルコの映画。ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督によって制作され、初公開の場となった第67回カンヌ国際映画祭において、グランプリに当該する「パルム・ドール」を受賞している。とある裕福な夫婦と、その周辺の人物たちがそれぞれに抱える葛藤を鋭く描き出し、人の心を奥深くまで暴いていくかのようなセリフの応酬が特徴の意欲作。全編をトルコのカッパドキアで撮影しており、その映像美も話題となった。

イスマイル(演:ネジャット・イシレル)

アイドゥンが貸し出している家に暮らす、イスマイル家の大黒柱。長期にわたって家賃を滞納しており、訴訟トラブルに発展してしまった。粗暴だが根は真面目なため、以前は鉱山で働いていたが、妻に付きまとう連中といざこざを起こしたことで服役。釈放後は怖がられて仕事に就くことができず、飲んだくれるという荒んだ生活を送り、生活の一切をハムディの稼ぎに依存している。他人からの施しは受けないというプライドから、ニハルが大金を渡そうとした際には激怒した。

ハムディ(演:セルハット・クルッチ)

イスマイルの弟で、職業は導師。人当たりが良く、他者には礼節を持った丁寧な言葉遣いで接する。服役した兄の代わりに一家を支えており、本職とは別に働いた収入で家族を養っている。兄一家が起こしたトラブルに対しても、当事者よりも先にアイドゥン達に対して謝罪に訪れているしっかり者。

『雪の轍』(映画)の用語

カッパドキア

物語の主な舞台となるトルコの都市。景観が美しく、多くの観光客が訪れる。アイドゥンたちはこの街でホテル「オセロ」を経営している。

『雪の轍』(映画)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「自分に甘く他人に厳しい人間たち」の会話劇

本作の登場人物は、誰もがどこか滑稽な感性の持ち主たちばかりだ。互いに足を引っ張り合いながら、自分だけ優位に立とうとして結局は同じ穴の狢に戻ってしまう。
他人がいなければ成り立たない自己を持ち、全員が全員、自分というものを勘違いしていて、他人に対してはいつも上から目線で接している。
本作の中軸となる「会話劇」を通じ、大量に交わされるセリフからそのような醜い内心が浮き彫りになっていく。そしてそれを観ている視聴者は彼らの自己中心的な考え方に不快感を覚えるが、次の瞬間には、自分の中にも同じような感性が潜んでいるのに気づかされ、愕然とするのである。
1シーンの掛け合いが長いうえ、同じところを堂々巡りしているような会話なので滑稽極まりない。
「一向に前に進まず、溝だけが深くなっていく会話劇のことを揶揄し、タイトルが『雪の轍』になったのではないか」と推測する視聴者の声もある。

『雪の轍』(映画)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

特に登場しないカッパドキアの美観

景色が美しいことで知られるカッパドキアだが、その自慢の景色の美しさは特に感じられない。そもそも「人間の内面」をテーマにしたような作品であるためか、本作にはあまり外でのシーンというものが存在しないのだ。しかしながら、「せっかく全編をカッパドキアで撮影したというのだから、もっと美しい景色を映しても良いのでは」という視聴者の声も挙がっている。

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