ビンテージ・キーボードの役に立たないウンチク~エレピ編

ビンテージ・キーボードはシンセサイザーだけではなく、エレクトリック・ピアノの中にもそう呼ばれるものはあります。有名なものだとアメリカ製のRhodes(ローズ)と、YAMAHA製のCP-80がそうです。ピアノとは似ても似つかない個性的なRhodesと、グランドピアノを電子楽器化したようなCP-80では音のキャラクターは全く違いますが、多くのミュージシャンに愛されたという意味では変わりません。

航空機の部品を利用して開発された代用品「Rhodes」

スティービー・ワンダーの「You are my sunshine of my life」、ビリー・ジョエルの「素顔のままで」。両方の冒頭を聴き比べると、イントロから特徴的なエレクトリック・ピアノの音が聞こえてきます。この音こそがRhodes(ローズ)です。Rhodesという名前そのものは知らなくても、音自体は馴染みの深いものなのではないでしょうか。
Rhodesは1940年代、前線の兵士たちの音楽療法を目的として、航空機の部品を流用し、ピアノの代用品として作られました。実際に販売されたのは1959年からです。ピアノのような弦ではなく、金属板をハンマーで叩いて音を鳴らす仕組みになっており、ピアノというよりも鉄琴に近い音がします。
Rhodesには大きく分けて、アンプが付属しているスーツケースピアノと、別にアンプが必要なステージピアノの2種類があります。下の画像はMark1のステージピアノです。

ピアノとは似ても似つかない音なので、発売当初はあまり人気がなかったのですが、1970年代からこの独特の音を気に入ったミュージシャンが使用するようになり、現在に至っています。
使用したミュージシャンは上の2人だけでなく、チック・コリア、エウミール・デオダート、ジョー・サンプルと挙げていけばきりがありません。下の動画では、ハービー・ハンコックがスーツケースピアノを使い、マイルス・デイビスを弾いています。

グランドピアノを電子楽器化「CP-80」

Rhodesのような「ピアノの代用品」ではなく、本物のグランドピアノを電子楽器化してしまおうという大胆な発想をそのまま形にしてしまったのが、1978年に発売されたYAMAHAのCP-80です。グランドピアノは200キロを超える重いもので、運ぶのが大変だという問題点があります。このCP-80はそれに比べると半分ほどの重さで(それでも100キロですからかなり重いですが)、しかも胴体と鍵盤を分離することができましたので、コンサートツアーなどで運搬するのに便利になっていました。
そうした使い勝手の良さから、国内外の多くのミュージシャンに使われ、ハワード・ジョーンズ、ドン・グルーシン、小田和正、小室哲哉らが使用していたことが知られています。

音の出し方は弦をハンマーでたたいて鳴らすという、グランドピアノと全く同じ方式でした。ただ、軽量化のためにグランドピアノよりも弦の数が少なくなっており、若干軽めの音がします。具体的にどのような音がするかは、下の動画をご覧になってください。

Rhodesは今も健在だが…

Rhodesはその後もモデルチェンジを繰り返し、最新モデルは2006年に発売されたMark7です。ちなみにこれを日本で最初に購入したのは山下達郎だとか。

CP-80の方は残念ながら後継機が発売されておりません。YAMAHAの子会社でもある独Steinbergから発売されているソフトシンセ「The Grand」にはYAMAHA自らサンプリングしたCP-80の音が収録されていますが、どうせなら本家が本物を復刻させてほしいと思ってしまうのはワガママでしょうか。
ちなみにRhodesもCP-80も、ここでは紹介しきてないほどのサンプリング音源が販売されています。安価なものからそれなりに高価なものまで(といっても実機ほどではないのですが)ありますので、サンプラーを所持している人は調べてみるのもいいかもしれませんね。

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