「ダイヤのA(エース)」は、2006年から週刊少年マガジンにて連載されている、寺嶋裕二さんによるマンガ作品。
地方の中学校に通い、ピッチャーとして弱小野球部を支えていた主人公の沢村栄純が、「ダイヤの原石」として発掘され、野球名門校へスカウトされるところから物語ははじまっていきます。
個性豊かな先輩方や同級生、他校のライバルたちと切磋琢磨していく中で「知識や理論はないけれどいいボールを投げることが出来る」という天才バカ系ピッチャーの沢村が成長していく姿が、読者に共感を呼び感動を与えました。
本誌では2015年第7号まで、コミックスでは全47巻まで発表されたあと、2015年夏より第二部となる「ダイヤのA act2」が連載開始となり、新たな舞台で活躍するキャラクターの姿が描き出されています。
緊迫した試合展開や、ドキドキはらはらさせられるシーンの連続で多くの読者を夢中にさせる「ダイヤのA」ですが、実はギャグを中心としたスピンオフ作品も発表されています。
それが「ダイヤのB!! 青道高校吹奏楽部」。
原作は「ダイヤのA」の寺嶋裕二さん、漫画は馬籠ヤヒロさんが担当。
週間少年マガジンの作品が無料で読めるアプリとして人気の「マガジンポケット(通称マガポケ)」で配信されており、コミックス一巻も発売となりました。
読み方は「ダイヤのブラス」。その名の通り、ブラスバンド部(吹奏楽部)が舞台となっています。
「ダイヤのA」本編では、前述の通り中学野球部でのプレーから名門高校へスカウトされた沢村がエースピッチャーを目指して奮闘しますが、「ダイヤのB」では、中学の定期演奏会でスカウトされたトランペッター沢村が、吹奏楽部のエースを目指し奮闘する……という具合にあくまで本編の軸を生かしながら展開されていきます。
だからと言って「響け!ユーフォニアム」のように、ブラスバンドを通じて人との摩擦や衝突、その先にある青春らしいドラマを描いたガチモノ吹奏楽作品!というのではなく、あくまで基盤は「スピンオフギャグ」。
クリス先輩が「指揮棒の振りすぎで肩を痛め選手生活を断念」していたり、春っちが「フルートを吹くと動物が集まってくる」という設定を盛っていたり……つっこみ所満載。
さらには、「ダイヤのA」本編でマネージャーを務める春乃ちゃんたちが「青道高校ソフトボール部所属」という設定になっているため、まさかこんなところにこんな形で本編要素を感じることになるとは……とニヤニヤしてしまうかもしれません。
スピンオフ作品「ダイヤのB!! 青道高校吹奏楽部」は、本編とシンクロする設定と「どういうこと!?」という展開が融合したギャグ漫画。
「本編のシリアスな空気が好き」「真面目に野球に打ち込む世界観を壊したくない」という人にとってはビックリするかもしれません。
しかし、だからこそ本編との温度差が笑いを誘い、箸やすめとして楽しめる作品として、オススメしたい一作です。