ぼくのじしんえにっき(大地震SF童話)のネタバレ解説・考察まとめ

『ぼくのじしんえにっき』とは、八起正道による児童書である。絵はいとうひろし。少年・和幸が綴る日記の形式で物語は進む。家族との穏やかな日常は、突如発生した大地震により壊滅。給水制限下での暴動や、友人の住む区域の鉄条網による隔離など、非常時の混乱と人々の変貌が少年の目で淡々と描かれる。阪神淡路大震災、東日本大震災前の作品ながら、災害の真実を突く記録文学的側面を持つSF童話である。
第36回福島正実記念SF童話賞大賞受賞作。

和幸が住んでいる地区から少し離れた場所に住む幼い女の子。震災後、はっきりとした理由は書かれてはいないが、彼女の住むエリアが突如として鉄条網で「隔離」されてしまう。
防毒マスクをつけた自衛隊員が、その網をくぐろうとする和幸を止める。和幸は隊員の目を盗んで水や食料を届けに行きますが、彼女の家の人からは「もう来てはいけない」と言われてしまう。彼女を巡るシーンもまた、震災を経た日本では他人ごとではない。

上級生たち

震災の混乱の中で和幸と喧嘩を繰り広げる少年たち。しかし、激しいぶつかり合いの末に和幸の根性を認め、互いの傷を笑い合うなど、子供同士の絆を結ぶ。

自衛隊員

防毒マスクを装着し、隔離された区域を監視する隊員たち。鉄条網を越えようとする和幸を制止するなど、日常を分断する境界として描かれる。

『ぼくのじしんえにっき』の用語

ぜいたく

作中の冒頭部分でよく登場する用語。和幸は、祖母の言った「ぜいたく」という言葉を独自に解釈(嫌いなにんじんを大量に食べさせられることを強制的な「ぜいたく」と表現)している。

狂犬病

ウイルスに感染した哺乳動物に咬まれることで発症する、致死率ほぼ100%の極めて危険な感染症。作中では、和幸が狂犬病についてよくわからないながらも一考している。

防毒マスク

作業中に発生する有毒ガスや蒸気を吸収缶(フィルター)で除去・浄化し、安全な空気を吸入するための呼吸用保護具。作中では震災後に防毒マスクを付けた自衛隊員が配置され、鉄条網で隔離された区域を監視していた。

『ぼくのじしんえにっき』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

あくまで少年の日記

本作は、あくまで和幸という少年の目から見た震災の日記という体裁になっている。記述は一貫して平易かつ簡素な文体で統一されており、震災当日の混乱や恐怖についても、過度に情緒的な修飾を排した客観的な筆致で綴られている。
日記の内容は、自身の心情を吐露する日もあれば、わずか一行の事実のみが記される日、あるいは祖母の影響を受けた宗教的な夢が描写される日などさまざまである。これらの記述を通じて、極限状態にある子供のリアルな心理的推移が表現されている。
物語の終盤、和幸はある「決意」を日記に記載するのだが、これは単なる希望的観測や絶望の表明ではなく、目の前の現実をありのままに受け入れ、生き抜こうとする個人の意思として描かれている。

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