『オオカミは嘘をつく』とは、2013年公開のイスラエルのブラックコメディ・スリラー映画である。少女誘拐殺人事件の容疑者となった教師、執念深く追う刑事、そして復讐に燃える被害者の父親という3人の男たちが、森の一軒家で凄惨な拷問と尋問を繰り広げる。過激な暴力描写に独特のユーモアを織り交ぜた脚本が世界的に高く評価された。クエンティン・タランティーノ監督が「2013年のベスト映画」と絶賛したことでも知られ、人間の内面に潜む狂気と真実の行方を描いた一作である。
『オオカミは嘘をつく』の概要
『オオカミは嘘をつく』(英題:Big Bad Wolves)とは、2013年のイスラエルのブラックコメディ・ホラー・スリラー映画である。イスラエルでは2013年8月15日に、日本では2014年11月22日に公開された。
アハロン・ケシャレスとナヴォット・パプシャドが脚本・監督を務めた本作は、イスラエル国内で発生した連続少女誘拐殺人事件を軸に、強引な捜査の末に容疑者を釈放せざるを得なくなった刑事、容疑者と目される気弱そうな教師、そして愛娘を殺害された被害者の父親という3人の男たちが、人里離れた森の中の一軒家で繰り広げる凄惨な拷問と尋問の行方を描いている。
2013年4月21日にトライベッカ映画祭で初上映された後、同年8月15日にイスラエル本国で公開され、暴力描写の中に差し込まれる独特のユーモアや緻密な脚本、俳優陣の演技が高く評価された。特に映画監督のクエンティン・タランティーノが本作を「2013年のベスト映画」と公言して絶賛したことは有名であり、その賛辞は米国版のポスターにも引用されるなど、世界的な注目を集める要因となった。
原題のヘブライ語は「悪いオオカミを恐れるのは誰だ」を意味しており、おとぎ話のようなニュアンスを含みつつも、誰が真の「怪物(オオカミ)」であるかを問いかけるオリジナリティ溢れる作品として知られている。
本作は、トライベッカ映画祭、スタンレー映画祭にて公式選出作品として選出されており、サターン賞では最優秀国際映画賞を受賞した。
『オオカミは嘘をつく』のあらすじ・ストーリー
少女誘拐事件の発覚
イスラエルの平穏な森で、3人の子供がかくれんぼをしていた。そのうちの1人の女の子が廃屋のクローゼットに隠れたところ、何者かに誘拐されてしまう。容疑者として浮上したのは、中学校で宗教学を教えている教師のドロールだった。
刑事ミッキ率いる捜査チームが彼を逮捕し、少女の居場所を吐かせるために法の枠を超えた過酷な拷問を行うが、その様子を近隣で遊んでいた子供が携帯電話で撮影し、動画サイトに投稿したことで世間の知るところとなる。上司の命令によりドロールは釈放され、暴走したミッキは警察を解雇された。
しかしその直後、匿名の通報によって、野原に遺棄された少女の遺体が発見される。少女は性的暴行を受けた末に、頭部が切断されるという無惨な姿であった。
三人の男たちと地下室の尋問
殺害された少女の父親ギディは、退役軍人としての冷徹な執念を燃やし、ドロールが犯人であると確信して独自の復讐を計画する。一方、警察を解雇されたミッキもまた、自白を引き出すことで自らの潔白を証明しようとドロールの再誘拐を企てていた。
先にドロールを拘束したのはミッキだったが、そこに現れたギディによって、ミッキとドロールの二人は、アラブの村々に囲まれた地域にある廃屋へと連行される。ギディは廃屋の地下室に二人を監禁し、手枷で拘束した。ドロールは必死に無実を訴え、ミッキを説得しようと試みるが、ベテラン兵士であるギディはその策略に動じることはなかった。彼はミッキから武器を取り上げ、自らの手で凄惨な尋問を開始する。
偽りの告白と残酷な結末
拷問が激化する中、重病を装っていたギディを心配して、彼の父親が温かいスープを手に廃屋を訪れる。同じく退役軍人である父親は、地下室の惨状を目の当たりにしても動じることなく、むしろ行方不明となっている孫娘の「頭部」を探し出すため、息子の拷問を手伝うことを決意する。
窮地に陥ったミッキは、逃走の時間を稼ぐため、ドロールに対して「少女の頭がある場所」について嘘の供述をするよう耳打ちする。ドロールの言葉を信じたギディは家を後にし、その隙にミッキも逃げ出して警察へ助けを求めた。
しかし、電話口でミッキは自分の娘も行方不明になっていることを知る。その瞬間、彼はドロールとの会話の中に、本来知るはずのない自分の娘に関する言及があったことを思い出し、ドロールこそが真犯人であると確信する。
明かされる真実
ミッキは真相を問いただすべく急ぎ廃屋へ戻るが、一足先に帰還していたギディは、教えられた場所から何も見つからなかった憤怒に任せ、鋸でドロールの首を切り始めていた。ミッキが地下室に踏み込んだとき、ドロールは娘の居場所を告げる間もなく息絶えてしまう。
一方その頃、事件を追う別の警察官ラミは、手がかりを求めてドロールの自宅を捜索していた。しかし、表面上は何の証拠も見つけられず、彼はそのまま家を去っていく。
ラミが立ち去った後の静まり返ったドロールの家、その偽の壁で仕切られた隠し部屋の中には、ミッキの行方不明の娘が意識を失った状態で横たわっていた。唯一の生存者へと繋がる道は、復讐という名の暴力によって永遠に閉ざされたのである。
『オオカミは嘘をつく』の登場人物・キャラクター
主要人物
ミッキ(演:リオル・アシュケナージ)
少女誘拐殺人事件を追うベテラン刑事。容疑者であるドロールに対して、法の枠を越えた強引な拷問捜査を行ったことで警察を解雇される。
自身の潔白を証明し、事件の真実を暴くために執念を燃やすが、物語の終盤で自身の娘も事件に巻き込まれていることを知る。
ギディ(演:ツァヒ・グラード)
一連の事件によって最愛の娘を惨殺された父親。自身も退役軍人であり、娘の遺体の「頭部」が見つかっていないことに強い憤りを感じている。
警察の捜査を信じず、自らの手でドロールを拉致し、廃屋の地下室で凄惨な復讐の儀式を開始する。
ドロール(演:ロテム・ケイナン)
少女誘拐事件の最有力容疑者として浮上した学校教師。気弱そうな風貌で、ミッキやギディから過酷な拷問を受けても一貫して無実を訴え続ける。彼が本当に「嘘をつくオオカミ」なのか、あるいは悲劇の被害者なのかが物語の核心となる。
親族・協力者
ヨラム(演:ドヴ・グリックマン)
目次 - Contents
- 『オオカミは嘘をつく』の概要
- 『オオカミは嘘をつく』のあらすじ・ストーリー
- 少女誘拐事件の発覚
- 三人の男たちと地下室の尋問
- 偽りの告白と残酷な結末
- 明かされる真実
- 『オオカミは嘘をつく』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ミッキ(演:リオル・アシュケナージ)
- ギディ(演:ツァヒ・グラード)
- ドロール(演:ロテム・ケイナン)
- 親族・協力者
- ヨラム(演:ドヴ・グリックマン)
- ヨラムの妻(演:リブカ・ミカエリ)
- エティ(演:ナティ・クルーガー)
- 警察関係者
- ラミ(演:メナシェ・ノイ)
- ツヴィカ(演:ドヴィル・ベネデク)
- イーライ(演:ガイ・アドラー)
- シャウリ(演:ガー・ベントウィッチ)
- その他
- 馬に乗った男(演:カイス・ナシェフ)
- 『オオカミは嘘をつく』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「タランティーノ絶賛」で高くなったハードル
- R18+指定は過剰という意見も
- 結末は賛否両論
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